天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3300語以上収録。随時追加・更新中!専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

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南極

本項では天文観測の適地としての南極(南極大陸)に関して述べる。

南極大陸は4000 m近い厚さの氷に覆われている。ドームふじからドームA、ドームBを経てドームCに至る標高3000 mを越す南極高原と呼ばれる高い台地は天文観測に取っては理想的な条件を備えている。南極点には成層圏から下降気流が吹き込み海岸線へと流れ下るが、高原では風は穏やかで、典型的な風速は5 m/s程度で10 m/sを超えることはまれである。冬には極夜となり数ヶ月にわたる夜の継続観測ができる。さらに人工光や人工電波もほとんどない暗い静寂な観測環境である(ただしオーロラが発生するので光学域では特定の波長に輝線を生じることがある)。気温は非常に低いので大気が乾燥していて水蒸気が極めて少なく(飽和水蒸気量は0℃に対してドームふじの平均気温-54℃では1/123、最低気温-80℃では1/3800)また安定しており、特に赤外線からサブミリ波の観測では地上で最も適している。近赤外線ではドームふじではハワイのマウナケア山頂に比べて大気放射が2桁小さく、波長10 μmでも1桁低いので、他にはない高感度の赤外線観測が可能である。冬には乱流が生じる境界層の厚さは15 m程度しかなく、その上ではシーイングが極めて良い(冬季の半分以上の期間で0.2”)。また、上空大気は南極大陸で周回しているので気球による長期観測が可能である。

このような恵まれた天文観測条件を活かすために、望遠鏡・観測装置の設置や周回気球に望遠鏡を搭載して観測する実験などが行われている。南極点(標高2835m)にあるアメリカのアムンゼン-スコット基地では、1995年から約10年間、口径1.7 mのサブミリ波望遠鏡AST/RO(Antarctic Submillimeter Telescope and Remote Observatory)が運用され、南極での天文観測の可能性を実証した。2006年からは宇宙マイクロ波背景放射の偏光パターンを高精度で観測することを目指すBICEP(Background Imaging of Cosmic Extragalactic Polarization)シリーズの望遠鏡(最新のBICEP3は口径52 cm)、2007年からは口径10 m の南極点望遠鏡(SPT)が運用されて科学的な成果をあげている。米国はまたリッジA(4050 m)にサブミリ波干渉計を設置する構想を持っている。中国はドームA(4090 m)で完全自動観測可能な口径0.5 mのサーベイ望遠鏡AST3-2(Antarctic Survey Telescopes)を運用しており、またゾンシャン(Zhongshan)基地に小望遠鏡を多数並べた広視野サーベイ望遠鏡の設置を計画している。フランスのチームは口径40 cmの太陽系外惑星探査用の望遠鏡ASTEP(Antarctic Search for Transiting ExoPlanets)をドームC(3260 m)で2010-2013年に運用した。1998年の気球によるブーメラン実験では、宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎを精密に観測して、宇宙が平坦(曲率が0)であるとするΛCDMモデルの予想と合致することをはじめて明確に示した。日本のJAXA宇宙科学研究所も昭和基地から大気球を放球して大気重力波等の観測を行っており、天文への応用も検討されている。現在南極における最大規模の観測施設はアムンゼン-スコット基地におけるアイスキューブ実験である。

筑波大学等を中心とする日本のグループも2004年から南極天文学の実現を目指して調査等を開始し、国立極地研究所と協力して2006年と2009年の夏季にドームふじで220 GHzの大気透過率を測定し、極めて良好かつ安定していることを明らかにした。2010年~2012年の夏季には東北大学のグループが40 cm赤外線望遠鏡やシーイングモニター装置等により大気の測定を行い、0.2”に達するシーイングを得ている。また筑波大学を中心に、ドームふじ近くの標高3800 mの地点に口径30 cmのサブミリ波望遠鏡を建設中で2026年度からの観測を目指している(夏季)。またドームふじからさらに南側約40 kmのところに新しい越冬基地を建設し、ここに口径12 mテラヘルツ望遠鏡(ATT12)を設置してテラヘルツ波で南天全体の掃天観測を行う計画を進めている。将来的に口径30mテラヘルツ望遠鏡(ATT30)を設置する構想やテラヘルツ強度干渉計計画も提案されている。また赤外線でも大気が極めて良好で高感度高空間分解能の観測が可能なので赤外線望遠鏡の設置も期待されている。

宇宙の真昼を参照

ビッグバン以降現在までの間で、宇宙全体を平均して星形成活動が最も激しかった時期のこと。宇宙の星形成率密度を赤方偏移zの関数で表したマダウ図のz~2のピーク(今からおよそ100億年前)を指す。できた星により宇宙が最も明るくなることから、「宇宙の夜明け」との対比でこう呼ばれる。

宇宙全体を平均した単位体積当たりの星形成率(星生成率)を赤方偏移z)の関数として表した図。マダウプロットとも呼ばれる。宇宙における星形成史および金属(重元素)の生成史を理解する鍵となる情報である。この図をはじめて提案したのが1996年に発表されたマダウ(Piero Madau)らの論文であったので、それ以降マダウ図と呼ばれるようになった。この論文で初めてハッブル宇宙望遠鏡による赤方偏移zが2を越える銀河に基づくデータが示され、宇宙の星形成活動がz~1-2でピークになっていることが示唆された(宇宙の真昼を参照)。

星生成率密度は空間にある銀河の星生成率の総和をその空間の共動体積で割ることで求める。多くの銀河の観測データが必要なので、マダウ図にデータ点を打つには銀河サーベイが必要である。銀河サーベイが遠方の(高赤方偏移の)銀河に届くにつれて、マダウ図も宇宙の過去へと伸びていっている。現在の最も過去のデータはジェイムズウエッブ宇宙望遠鏡による銀河サーベイに基づいている。

MuSCAT(マスカット)シリーズは、2014年から2023年にかけて開発され、世界各地の 4 台の 1.5-2 m 望遠鏡に搭載された3 色(バンド 1.を参照)ないし 4 色の同時撮像測光装置である。主に太陽系外惑星のトランジット(トランジット法を参照)を多色で同時に、かつ高精度に観測することを目的として開発された。名前は1号機を設置した岡山県の名産にちなみ、Multicolor Simultaneous Camera for studying Atmospheres of Transiting exoplanets(トランジット系外惑星の大気研究のための多色同時撮像カメラ)の頭文字から作られたアクロニムである。

MuSCATの1号機は3色の装置で、2014 年 12 月 24 日に国立天文台岡山天体物理観測所でファーストライトを迎え、2015 年から1.88m望遠鏡の共同利用観測に供された。その後、4色の装置が2017年にテネリフェ島のテイデ観測所(MuSCAT2)、2020年にハワイのマウイ島ハレアカラ観測所(MuSCAT3)、2023年にオーストラリアのサイディングスプリング天文台(MuSCAT4)に設置され運用が続いている。北半球の時差の離れた 3 台の望遠鏡に搭載されているため、北天で起こるトランジットを効率的に観測できる。2023年からは南天の望遠鏡も加わり、南天のトランジット観測も開始した。

MuSCATシリーズは観測時間が比較的多く使えることから、同じ太陽系外惑星のトランジットを繰り返し観測することで、各色でのトランジットの深さのわずかな違いから惑星の大気を調べることが可能である。2018年に TESS衛星 が打ち上げられてからは、TESS衛星と連携した新たなトランジット惑星の発見確認が主な科学目標となっている。2024年までに赤色矮星を周る50個以上のトランジット惑星の発見に貢献した。その代表的な成果にハビタブルゾーン(生命居住可能領域)を公転するスーパーアースSPECULOOS-2cの発見がある。太陽系外惑星の観測以外にも、超新星突発天体などの観測により時間領域天文学への貢献も期待されている。

時間領域天文学を参照

メートル条約の全加盟国が採用しやすい一つの実用計量単位系の確立を目指す国際度量衡委員会(CIPM)の努力と加盟国の協力により制定・維持されている単位系。フランス語の名称“Le Système International d'Unitès”から略称SIと呼ばれることが多い。

1960年の第11回国際度量衡総会でSIの規則と名称が定められた。SIは7つの量に対するSI基本単位とそれらから作られるSI組立単位を基に定められている。基本単位の名称と記号は以下の通りである:長さ(メートル m)、質量(キログラム kg)、時間(秒 s)、電流(アンペア A)、温度(ケルビン K)、物質量(モル mol)、光度(カンデラ cd)。物質量は1971年の第14回CGPMで追加されたものである。

科学の発展とともにSI基本単位の多くの定義が改訂されてきた。例えば時間の秒は、1799年にフランス革命政府が公布したメートル法で、地球自転周期を基に1日(1平均太陽日)の 1/86400 としていたが、1956年のCGPMで、地球の公転周期(1太陽年)の 1/31556925.9747 と変更され(暦表時も参照)、更に1967年の第13回CGPMで、セシウム133原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の9192631770倍(国際原子秒)という現在の定義に変わった。長さの定義であるメートルは、当初 1879 年に白金とイリジウムの合金で鋳造された国際メートル原器の長さで定義されたが、1960年の第11回CGPMでクリプトン86原子の放射する光の波長を基に定義され、1983年の第17回CGPMで更に真空中の光速度と秒を基にした現在の定義へと変わった。これらの改訂は、測定精度の向上に定義が十分対応しきれなかった結果であり、科学の発展と測定精度の向上の歴史である。

質量の単位であるキログラムは、1889年の第1回CGPMで定められた「国際キログラム原器の質量」という定義が2018年まで用いられて来たが、2018年11月13-16日に開催された第26回CGPMで改訂された(施行は2019年)。この第26回CGPMは、SI基本単位のうち四つ、すなわちキログラム、アンペア、ケルビン、そしてモルの定義を改訂する歴史的な会議となり、「新しいSI」の時代の幕が開いた。これらの単位の新しい定義は、キログラムはプランク定数(h)、アンペアは電気素量(e)、ケルビンはボルツマン定数 (k)、そしてモルはアボガドロ定数(NA)の確定値(定義値)にもとづくことになった。この結果、SIの7つすべての基本単位が、物ではなく物理定数の式で表現されることになった。そして、これら基本単位の定義を実用的に実現する手段として、具体的な現示(実現)方法も規定された。この決議は2019年の5月20日(世界計量記念日:1875年のメートル条約締結を記念して定められた)から施行された。ただし、今回の定義の改定で問題としている精度は極めて高いので、この改定が日常生活に影響を及ぼすことはない。

2019年5月20日から施行された現行のSIの7つの定義定数とその定義値は以下のものである。
真空中の光速度  $c=2.99792458\times10^8\,{\rm m\,s}^{-1}$
セシウム133原子の基底状態の超微細遷移周波数 $\Delta\nu_{\rm Cs}=9.192631770\times10^9\,{\rm Hz}$
電気素量  $e=1.602176634\times10^{-19}\,{\rm C\, (=A s)}$
ボルツマン定数  $k=1.380649\times10^{-23}\,\,{\rm J\,K}^{-1}\,\,(={\rm kg\,m}^2 {\rm s}^{-2}{\rm K}^{-1})$
アボガドロ定数  $N_{\rm A}=6.02214076\times10^{23}\,\,{\rm mol}^{-1}$
周波数 $540\times10^{12}\,{\rm Hz}$ の単色放射の発光効率 $K_{\rm cd}=683\,\,{\rm lm\,W}^{-1}\,\,(={\rm cd sr W}^{-1})$

表1にSIの7つの基本単位の2018年までの定義と2019年から施行された新しい定義の比較を示す。また、表2には固有名称を持つSI組立単位、表3にはその他のSI組立単位の例(いずれも「理科年表」2019年版(丸善)より)を示す。

今回の定義改訂により、その基礎となった物理定数は「定義定数」となりその定義値は今後変わることがないが、それは決してそれらの物理定数を今後より高い精度で測定する努力を否定するものではない。物理量の高精度の測定は科学の進歩の基礎である。
SIの基本単位と組立単位の一覧は本辞典の「有用な諸データの表」にもある。
https://astro-dic.jp/about/table/
SIの基本単位と組立単位
https://astro-dic.jp/si-units/


第26回国際度量衡総会で「新しいSI」決議を採択したセッションの録画画像。日本の議決権行使はタイムスタンプの10:09。

https://youtu.be/gimwAPQbHOw

スーパーカミオカンデの後継観測装置として、岐阜県神岡鉱山の地下に日本を中心とする国際協力で建設中の巨大な水チェレンコフ検出器。超純水26万トンを密封した直径68 m、高さ71 mの円筒形のタンクと、チェレンコフ光を観測する光センサーとしてタンクの壁に据え付けられた約4万本の光電子増倍管とその信号を扱う電子回路などから構成される。

空洞掘削工事は2021年5月に開始され2025年6月に完了し28-29日にかけて空洞掘削完了記念見学会が行われた。その後水槽の建設、2026年に水槽への光センサーの取り付け、2027年に注水開始、2028年に観測開始を予定している。
ニュートリノ天文学も参照。

ホームページ:https://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/hk/

極めて短時間(典型的には1秒から10秒程度)に、軌道をほぼ同じくする流星が数個から数十個、ほぼ同時に出現する現象。1997年のしし座流星群で初めて存在が認識された。

2001年のしし流星群の例の解析の結果、比較的大きな流星体が地球に突入する直前(数日から一週間程度前)に分裂したものと考えられ、そのメカニズムを提案した論文で使われた流星クラスターという言葉が定着したものである。これまで10例ほどしか観測されていない非常に希な現象だが、高感度カメラのおかげで観測例は増えつつあり、特に朝日新聞と国立天文台が協力してハワイ・マウナケアのすばる望遠鏡施設に設置された星空カメラ(朝日新聞宇宙部を参照)では2021年から2024年まで3例のクラスター現象を観測することに成功している。

 

2025年8月13日 00:57:04(JST)頃に観測されたペルセウス座流星群に属する流星クラスター現象(青森県・星と森のロマントピア天文台「銀河」撮影・提供)

宇宙マイクロ波背景放射(CMB)を観測するために南極に設置されたマイクロ波からミリ波帯域の電波望遠鏡。略称のSPTで呼ばれることが多い。ファーストライトは2007年で、北アメリカの9つの大学及び研究機関が参加するSPT Collaborationが運用を行っている。近年ではイベントホライズンテレスコープを構成する望遠鏡の一つでもある。設置場所はアムンゼン-スコット基地から1キロメートルほど離れた南極点のごく近くの標高約2800メートルの地点である。

この望遠鏡は口径10 mの軸外しグレゴリー式望遠鏡(グレゴリー焦点を参照)である。架台経緯台式であるが、設置場所が南極点に近いため、実質上赤道儀式と同じになる。約1平方度という広い視野を有し広天域のサーベイ観測を行っている。

初代の検出器(SPT-SZカメラ)は2011年に南天2500平方度をサーベイして、スニアエフ-ゼルドビッチ効果により多数の銀河団を検出した。第2代のSPTPolカメラは500平方度の天域を非常に深くサーベイした。2017年に95,150,220 GHzが観測できる約16,000の検出素子を有する第3代のSPT-3Gカメラが搭載され、インフレーション理論の証拠となるCMBの偏光(Bモード)およびダークエネルギーの性質を調べるための観測を行っている。

ジェレミア(ジェリー)・ポール・オストライカー(Jeremiah "Jerry" Paul Ostriker; 1937-2025)はアメリカの宇宙物理学者である。

ニューヨークのマンハッタンで生まれ、ハーバード大学で物理学と化学の学士号を取得し、在学中の1958年に妻のアリシアと結婚、1964年にシカゴ大学で天体物理学の博士号を得た。その後イギリスのケンブリッジ大学で研究員を務め、1965年にプリンストン大学の教員となり1971年に教授となった。1979年から1995年までは宇宙物理学科の学科長兼プリンストン大学天文台長、1995年から2001年までは副学長を歴任した。2001年から2003年までケンブリッジ大学のプルミアン教授職を務めた。2005年にプリンストン大学に戻り、プリンストン計算科学工学研究所(PICSciE)の所長を務めた。2012年にプリンストン大学名誉教授となり、同年から2017年まではコロンビア大学教授を務めた。

オストライカーは1970年代初頭から多くの若手研究者を指導育成し、宇宙物理学と宇宙論の幅広い分野で重要な貢献を果たした。特に1973年にピーブルズ(P.J.E. Peebles)と共著で出版した、渦巻銀河の力学的安定性に関するコンピュータシミュレーションの論文は、銀河ダークマターの巨大なハローの中にあることを最初に提唱したものとして有名である。さらに1974年にはヤヒール(A. Yahil)も加えた論文で、銀河のダークマターハローは通常の物質(バリオン)の10倍以上の質量をもつことを示し、宇宙の物質密度の新たな推定値を求めた。

また彼は、恒星からの電離放射や超新星爆発によって注入されるエネルギーにより、星間物質にさまざまな相ができ、その中で星生成が起きる物理過程を明らかにした。この研究は銀河間物質の研究にも広がり銀河形成過程の理解にも貢献した。とりわけスーパーコンピュータを用いた宇宙論的流体シミュレーションによる研究は、宇宙のミッシングバリオン問題の解決に向けて大きな影響を与えた。超新星爆発の衝撃波による宇宙線衝撃波加速についても研究した。1995年にはシュタインハート(P.J. Steinhardt)とともに、現在の宇宙の標準モデルであるΛCDMモデルの原型ともいえる調和モデル(Concordance Model)を提唱した。新世代の銀河サーベイの端緒となったスローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)でオストライカーは、多くの国々の天文学者たちの国際協力体制の構築において重要な役割を果たした。

1980年にアメリカ天文学会ヘンリー・ノリス・ラッセル講師職、2000年にアメリカ国家科学賞、2004年にイギリス王立天文学会ゴールドメダル、2011年にブルースメダルなど数多くの賞を受賞している。2025年4月、ニューヨーク・マンハッタンのアッパー・ウエスト・サイドの自宅で死去。87歳。

プリンストン大学の追悼記事
https://www.princeton.edu/news/2025/04/14/astrophysicist-jeremiah-p-ostriker-pioneer-modern-cosmology-and-source-inspiration

さまざまな天文観測装置が生み出した公開データ(観測者などが占有する期間が過ぎたものなど)を一般に広く提供し、利用を促進するとともに研究結果の検証を可能とするシステムを開発・提供するサイトおよびその活動の名称である。国立天文台(NAOJ)の天文データセンター(NAOJ/ADC)が中心となって開発と運用を行っている。国立天文台のすばる望遠鏡、同岡山天体物理観測所(現ハワイ観測所岡山分室)の188cm望遠鏡、 東京大学木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡、東京科学大学のMITSuME望遠鏡群、広島大学東広島天文台のかなた望遠鏡、兵庫県立大学西はりま天文台のなゆた望遠鏡、京都大学岡山天文台のせいめい望遠鏡のデータを提供している。名前は、Subaru-Mitaka-Okayama-Kiso-Archiveの頭文字を取った略語で、エスモカと発音される。

1994年2月に、国立天文台の天文学データ解析計算センター、岡山天体物理観測所(いずれも当時の名称)、東京大学木曽観測所の担当者や有志により、SMOKAの前身であるMOKAの開発が始められ、1995年6月に運用が開始された。2001年6月には、MOKAのシステム拡充を行った上ですばる望遠鏡のデータを加えた現在のSMOKAの運用が開始された。

公開データの観測装置数は運用開始から年々増え続けており、2025年現在約40 にのぼる観測装置のアーカイブデータを検索するためのさまざまな手法が用意されている。また、SMOKAの基本システムとは別に提供しているデータがある。それらは、木曽観測所の105 cmシュミット望遠鏡による約7000枚の写真乾板をデジタル化したデータ、SMOKAに収蔵されている観測データに対応したデジタル一眼レフカメラによる全天モニタ画像(対象設備は、岡山天体物理観測所、東広島天文台、MITSuME望遠鏡(明野)、木曽観測所、すばる望遠鏡)、およびトモエゴゼンのデータ(一部)である。これらは検索やデータ提供の仕組みが異なるため、それぞれSMOKAとは別のシステムで提供している。

SMOKAが提供するデータ(大部分は生データだが一部の観測装置については処理済データもあり)は、さまざまな波長の天文観測データの保存に最も広く使われている FITS形式である。SMOKAの利用は非営利の研究教育の目的に限られているが、利用登録は天文研究者のみならず教員や社会教育施設関係者、アマチュア天文家、天文愛好家など広い範囲に開かれている。

SMOKAは海外の天文研究コミュニティの間にも広く知られており、国内だけではなく国外からも登録がある。SMOKA からダウンロードしたデータを利用した主な査読論文誌での論文数は2025年現在で累計で300本以上に上っている。
ホームページ:https://smoka.nao.ac.jp/index.ja.jsp

イタリアとアメリカの研究者を中心とするグループが、気球に搭載した口径1.3mのミリ波望遠鏡により、南極上空の高度約40 kmから宇宙マイクロ波背景放射(CMB)を観測した実験。アメリカの南極観測基地であるマクマード基地から気球を放球した。名称は Balloon Observations Of Millimetric Extragalactic Radiation And Geophysics (気球によるミリ波の銀河系外放射と地球物理学の観測)の英語名称の頭文字から付けられた。

1998年の観測では、南極上空を渦巻く極渦と呼ばれる気流に乗り、10.5日間で約2000平方度の天域を4つの周波数帯(90, 150, 240, 410 GHz)で観測し、CMBの温度ゆらぎを精密に測定し、宇宙が平坦(曲率が0)であるとするΛCDMモデルの予想と合致することをはじめて明確に示した。このことは後のWMAP衛星(2001年)とプランク衛星(2009年)によっても確認された。2003年の観測ではCMBの偏光を測定した。

ハワイのマウナケア山頂のすばる望遠鏡カナダ-フランス-ハワイ望遠鏡(CFHT)、および東京大学木曽観測所をはじめとする日本各地からの星空のライブ配信や天文ニュースの解説を行っているYouTubeチャンネルとそれに付随する活動プロジェクト。朝日新聞の内部組織である。東山正宜記者が立ち上げ、少人数で個人活動に近い形で運営されている。

2019年に東山記者が木曽観測所の協力を得て構内から星空中継を開始したことに始まる。2021年には、天文イベントの解説やはやぶさ2探査機などの話題を取り上げるYoutubeの「宇宙部」チャンネルとして始動するとともに、すばる望遠鏡施設(ドームの作業用足場キャットウォークの手すり)にライブ中継カメラを設置した。2020年に朝日新聞社と東京大学の協定が結ばれ、2022年には国立天文台とも締結されて朝日新聞社の公認プロジェクトとなった。2023年には星空カメラを4K対応に更新した。マウナケア山頂のカメラでは東向きの撮影しかできなかったが、2025年からは、CFHTの協力を得て新たにカメラを設置し、西向きの撮影もできるようになった。2025年現在でのチャンネル登録者数は11万人を越えている。

Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/@astroasahi

すばる望遠鏡超広視野多天体分光器を参照。

すばる望遠鏡のために開発されたファイバー型多天体分光器で、直径1.25度という主焦点超広視野中の最大約2400個の天体の紫外線から近赤外線までのスペクトルを同時に取得(分光観測)することができる(分光器本体は望遠鏡ドーム内にある)。暗い銀河の分光サーベイ(サーベイ観測を参照)用としては、2025年時点で世界最高性能を有する分光装置である。略称のPFSが広く用いられている。

PFSが宇宙における銀河の三次元分布(宇宙地図)を描く能力は、現在の宇宙地図の限界(約20億光年まで)を遥かに超えて100億光年以上の彼方まで届き、宇宙と銀河の進化過程の研究を飛躍的に発展させる推進力になると期待されている。東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)と国立天文台(NAOJ)を中心とする大規模な国際共同研究組織(PFSコラボレーション)は、およそ15年の歳月をかけてこのPFS装置の開発を行うとともに、研究者の組織作りと科学目標の策定、360夜に及ぶ大規模なサーベイ観測の検討を進めた。この観測計画はすばる戦略枠サーベイとして採択され、2025年上半期(2/1-7/31)の3月から、一般共同利用観測と並行して本格的に観測が開始された。

PFS装置のハードウェアは、ファイバーとその駆動装置(ファイバーポジショナー)などを搭載した主焦点装置(PFI)、焦点面上のファイバー先端の位置を正確に測定するメトロロジカメラシステム(MCS)、分光器システム(SpS)、焦点面に結像した天体の光をSpSへと伝達するファイバーシステムからなる。また、これらとは別に夜光スペクトルをモニターするための装置(SuNSS)がある。PFSの主焦点補正光学系ハイパーシュプリームカム(HSC)用に開発されたものを利用している。

SpSは専用の恒温クリーンルームに設置された4組の同じ規格の分光器(モジュール)からなる。それぞれのモジュールは入射する可視光全域から近赤外線の一部まで(波長380 nm - 1260 nm)の光を2枚のダイクロイックミラーによって青、赤、近赤外の3つの波長帯に分割して3つの受光素子(カメラ)で低分散スペクトル(波長分解能は2500から4500)を撮影する。赤チャンネル(波長630 - 970 nm)には分散素子交換機構があり、一部の波長域(710 - 885 nm)において少し高い波長分解能(5500; 中分散)のスペクトルを取得するセッティングも可能である。各モジュールが約600本のファイバーを担当し、全体で約2400のスペクトルを同時取得できる。

光ファイバーの先端は主焦点面上で8 mm間隔の蜂の巣状(6角形パターン)に並べられているが、それぞれのファイバーは直径9.5 mmの円形内を動くことができるので、6角形の視野の100%の領域が観測可能である。ファイバーポジショナーがコブラ(Cobra)と愛称されるのは、先端を移動させる細長い器具の動きがコブラの首の動きを想像させるからである。目的とする天体の位置にファイバーを精密配置する時間は2分以内を目標としている。

MCSはカセグレン焦点に取り付けられた大フォーマットのCMOSカメラで、分光器側から照らされた主焦点面上の2400本のファイバー先端の画像を撮影し高精度で位置を測定する。これによりファイバーを天体の位置に正確に配置することが可能になる。望遠鏡の主焦点から望遠鏡ドーム内の分光器に至るファイバーの全長はおよそ65 mあり、約600本ずつ4組にまとめられてそれぞれの分光器モジュールへと接続される。

一方PFS装置のソフトウェアは、観測計画立案から観測の実行、観測データの処理・較正までを複数のパッケージや関連データベースで網羅する構成になっている。特定の夜における単一の露出だけでなく、複数回にわたる観測の進捗が最大となるよう望遠鏡の指向中心や焦点面でのファイバー配置等を最適化して観測計画は立案される。計画に沿って望遠鏡と装置を制御して露出を行い、取得されたデータ(2次元スペクトル画像)からまず2次元パイプラインで較正済1次元スペクトルを抽出し、さらに1次元パイプラインで恒星銀河の物理的性質を表す種々のパラメータを測定する。

PFSプロジェクトは、2025年3月から本格観測が始まったすばる戦略枠サーベイで次の大きな科学目標を掲げている。
銀河の暗黒物質 -- 宇宙はどのようにして生まれたのか?
宇宙論 -- 宇宙に終わりはあるのか?
銀河形成の歴史 -- なぜ我々は存在するのか?

PFSプロジェクトへは、Kavli IPMUとNAOJに加え、アメリカ、フランス、ドイツ、ブラジル、中国、台湾から20以上の研究機関が参加している。また、PFSによるすばる戦略枠サーベイには日本の多くの研究機関から多数の研究者が参加し貢献している。

PFSプロジェクトは8 mというすばる望遠鏡の大口径を活かして、同時期に実施されている赤方偏移サーベイであるダークエネルギー分光装置(DESI)サーベイよりも高品質のデータを得て、宇宙論やさまざまな分野の天文学研究に大きな貢献をすることが期待されている。
PFSのホームページ
東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli-IPMU)
https://pfs.ipmu.jp/ja/
国立天文台(NAOJ)
https://www.nao.ac.jp/research/project/pfs.html

PFSプロジェクトの科学目標と観測のイメージを紹介する動画。Kavli-IPMUの上記サイトにあるものを転載。
Credit:Kavli IPMU/NAOJ/Studio LiNDA

キットピーク国立天文台の口径4 mメイヨール望遠鏡主焦点用の広視野主焦点補正光学系とともに開発された、約5000本の光ファイバーをもつ多天体分光器(Dark Energy Spectroscopic Instrument: DESI; デジーと発音される)システム。約110億年昔(赤方偏移にしてz~2.3)から現在までの宇宙膨張の歴史を描き出すことにより、ダークエネルギーの理論モデルを検証することを主目的とするサーベイ観測のために開発された。

DESIサーベイでは、全天の約1/3にあたる14000平方度の天域を観測し、そこにある約3000万個の銀河のスペクトルを取得して銀河およびクェーサーの赤方偏移を測定する。赤方偏移から各銀河とクェーサーまでの距離を推定して、それらの三次元分布(宇宙地図)を作成する。その三次元分布の詳しい解析から、宇宙において天体の距離を測る標準尺となるBAOスケール、すなわちバリオン音響振動(BAO)が銀河分布に刻み込んだパターン(BAOバブル)の大きさ、の観測から宇宙膨張の歴史を描きだす。

可視光の検出装置が写真乾板からCCDに代わった新世代の銀河サーベイと見なされたスローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)を、望遠鏡の口径と多天体分光器のチャンネル数および技術進歩による効率化で凌駕する大規模サーベイである。5年間を予定している主観測は2021年5月に開始された。2022年に大規模な山火事があったが幸いにも望遠鏡と装置に被害はなかった。最初の1年分の観測データは2025年3月に公開され(DR1)、その後のデータも含めた初期成果も公表された。観測は2028年まで継続される予定である。

DESIサーベイの分光対象を選び出すために、チリのセロトロロ汎米天文台の口径4 mのブランコ望遠鏡と、キットピーク天文台の口径2.3 mのBok望遠鏡とメイヨール望遠鏡の3つの望遠鏡による三色(g, r, zバンド)での撮像サーベイ観測が行われた。それらから選び出された分光対象は以下のカテゴリーに分かれている。
(1) 約20等より明るい銀河(BG: z=0.4 まで; 月のある夜でも観測できる)
(2) 明るい赤色銀河(LRG: z=1 まで)
(3) 輝線銀河(ELG: z=1.6 まで)
(4) クェーサー(z=3.5 程度先まで)
(5) クェーサーのスペクトルに見られるライマンα雲(2.1<z<3.5)
(6) 天の川銀河銀河系)内の恒星(ダークエネルギーの研究とは別の目的)

新たな補正光学系を備えたメイヨール望遠鏡の主焦点の視野直径は3度である。DESIは、その焦点面で5000個の光ファイバー端を制御するロボット式ファイバーポジショナー、天体の光を分光器まで送る長さ50 mの5000本の光ファイバー、10台の分光器、それらを制御する制御系およびデータ解析システムなどからなる巨大なシステムである。新しい視野を観測するためファイバーポジショナーが5000本のファイバー端の配置換えを行うのに必要な時間はわずか3分である。10台の分光器は主焦点のはるか下のドーム床にある温度制御された部屋に置かれている。各分光器は入射光を青(${\small 360<\lambda<555\,{\rm nm};R= 2,000-3,200}$)、赤(${\small 555<\lambda<656\,{\rm nm};R= 3,200-4,100}$、赤外(${\small 656<\lambda<800\,{\rm nm};R= 4,100-5,000}$)の3つの波長帯に分けてスペクトルを記録できる(${\small\lambda}$ は波長、${\small{R}}$波長分解能)。

DESIは、オーストラリア、中国、コロンビア、フランス、ドイツ、韓国、メキシコ、スペイン、スイス、イギリス、アメリカなど世界各国の70を越える研究機関に属する450名以上の研究者からなる国際共同研究の成果である。装置の建設費用は主にアメリカ合衆国エネルギー省科学局とアメリカ国立科学財団(NSF)、イギリス、フランス、メキシコの科学技術担当局、ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団、ハイジング・シモンズ財団、及び多数の協力機関によって賄われた。DESIサーベイの運用は、エネルギー省科学局の資金によりローレンス・バークレイ国立研究所が行っている。

2025年3月19日に公開されたデータ(DR1)には、約1310万個の銀河、160万個のクェーサー、および4万個の恒星のスペクトルが含まれる。この初期データは現在の標準宇宙モデルであるΛCDMモデルと合致するものであったが、ダークエネルギーの影響が時間とともに弱まっている兆候がはじめて検出されたことで、学界に多くの議論を巻き起こしている。近く公表が予定されているより精度の高い報告が待たれている。
ホームページ
https://www.desi.lbl.gov/
レガシーサーベイのビューワー
https://www.legacysurvey.org/viewer


DESIの観測データから作られた数百万銀河の分布する空間を旅する動画。Fiske Planetariums による。

https://www.youtube.com/embed/fQkFS5yot5I?si=lzsof88JL-ZT1twc"


天の川銀河(銀河系)の研究のためにDESIで観測された恒星の分布を描く動画。青色から赤色になるにつれて恒星の金属量が多い(年齢が若い)恒星を表している。

https://www.youtube.com/embed/jkWHrOPow-U?si=iIMBlstU2Qs1vObN"

真の大きさがわかっているか、何らかの方法でそれが精度良く推定できる天体のこと。英語では standard rod と呼ばれることもある。標準尺の見かけの大きさを観測して求め、これと真の大きさを比較すれば、三角測量の原理でその天体までの距離が分かる。これまでに標準尺として銀河団中心の巨大楕円銀河電波源のごく中心領域などの天体が提案されたが、最近ではバリオン音響振動(BAO)の作り出すパターンであるBAOピーク(BAOバブルともいう)が有望な標準尺として研究が進んでいる。

真の明るさが既知あるいは推定可能な天体は標準光源と呼ばれる。標準光源と標準尺は宇宙膨張の歴史を知る上で必須のものである。宇宙の距離はしごも参照。

差動回転する薄い円盤構造が重力不安定性を起こすかどうかを判定するパラメータ。恒星からなる銀河円盤(ディスク)やガスからなる原始惑星系円盤の性質の研究に重要な役割を果たす。トゥームレの $Q$ パラメータと呼ばれることもある。名称は、銀河円盤の重力不安定性の研究で1964年の論文でこの判定基準を提唱したトゥームレ(A. Toomre; 1937- )に由来する。彼は、初期の相互作用銀河のコンピュータシミュレーションでも大きな業績を挙げた。

このパラメータは、ジーンズ不安定性基準の「回転する薄い円盤バージョン」とも言える。差動回転する薄い円盤の力学状態は、自己重力によって重力収縮しようとする効果と、それを妨げる効果、すなわちジーンズ不安定性の場合の圧力のみならず差動回転によるシアーが重力収縮を妨げる効果をそれに加えたものとの兼ね合いで決定される。前者を分母に、後者を分子に取った値がトゥームレの $Q$ 値である。 $Q$ 値は円盤内の場所毎に定義され(局所的な解析)、 $Q$ が1よりずっと大きければ円盤は安定で、密度ゆらぎ(密度の粗密パターン:摂動)は成長しない。逆に $Q$ が1より小さいと、わずかな密度ゆらぎにより渦巻腕状のパターンができたり、密度の高い場所が重力収縮して円盤が分裂して惑星が形成されたりするなどの重力不安定が起きる。
ガス円盤に対する具体的な $Q$ 値は

$$Q=\frac{\kappa{c_{\rm s}}}{\pi{G}\Sigma}$$

と表される。ここで $\kappa$エピサイクリック運動の周期(半径方向の摂動の波数)、 $c_{\rm s}$ は音速、 $\pi$ は円周率、 $G$ は重力定数、 $\Sigma$ は円盤の密度である。恒星からなる円盤に対しては

$$Q=\frac{\kappa\sigma_{\rm R}}{3.36{G}\Sigma}$$

となる。ここで$\sigma_{\rm R}$ は、星の速度分散の半径方向成分である。大局的な銀河円盤全体のシミュレーションからは、$Q\sim1-2$ の銀河円盤で渦巻腕状のパターンが保持されると考えられている。

ロバート・W・ウィルソン(Robert W. Wilson; 1936-  )は、アメリカの天文学者、物理学者。テキサス州ヒューストン生まれ。1957年ライス大学を卒業、カリフォルニア工科大学へ進み、ジョン・ボルトンのもとで天の川の電波地図作りを手掛け、1962年に博士号を取得、1963年からニュージャージー州ホルムデルのベル研究所に所属した。そこでペンジアス(A.Penzias)とともに、高性能電波アンテナの開発研究を行なっている最中に、宇宙マイクロ波背景放射である電波ノイズを観測した。これはビッグバン宇宙論を実証する重要な発見だった。1970年にはチームを率いて、リオン星雲などに含まれる一酸化炭素(CO)の回転スペクトル線を初めて検出している。

ペンジアスとウィルソンは1977年、全米科学アカデミーのヘンリー・ドレイパー・メダルを受賞、1978年にノーベル物理学賞を受賞した(ノーベル賞参照)。1994年までベル研究所に残り、ケンブリッジのハーバード・スミソニアン天体物理学センターの上級科学者に任命されている。
参考:https://www.nobelprize.org/prizes/physics/1978/wilson/biographical/