銀河
よみ方
ぎんが
英 語
galaxy
説 明
多数の星と星間物質(ガス、ダスト(塵))、およびダークマターなどで構成された天体で、互いの重力でまとまっている自己重力系である。日常語としては銀河を天の川と同義で用いることもあるが、天文学では両者は明確に区別されており、銀河座標系など一部の複合語を除き、銀河という単語で天の川を意味することはない。天の川銀河(銀河系)についてはそれぞれの項目を参照されたい。
銀河には、1000億個以上の星を含む明るいものから100万個程度以下の星からなる暗いものまで、明るさと質量には何桁もの幅がある。含む恒星数が少なく暗い銀河は球状星団よりも小規模なものもある。この場合、質量の大部分が暗黒物質(ダークマター)であるものを銀河、暗黒物質を持たないものを球状星団と呼ぶとされるが、その違いは明確とは言えない。一般にUBV測光のBバンドでの絶対等級が-18等程度より暗いものは矮小銀河と呼ばれる。以前は、矮小銀河ではない明るい銀河を矮小銀河と区別するために、巨大銀河あるいは通常銀河と呼ぶこともあったが、現在ではそのような使い方はほぼしなくなった。
銀河は、さまざまな観点に基づいて分類される。
よく知られているのは、見かけの形状(形態)に基づく形態分類である。楕円銀河や渦巻銀河などが形態に基づく分類名である。さまざまな分類法が複数の天文学者によって提唱されてきた。その中で今日でも広く用いられているのがハッブル(E.Hubble 1889 -1953)が1920-30年代に提案したハッブル分類である。当時は矮小銀河が見つかっていなかったので、矮小銀河はハッブル分類の対象外であるとされる。
矮小銀河の詳細な観測は長い間困難であったので、その形態分類の研究は半世紀ほど遅れて1980年代から始まった。観測の感度向上により、矮小銀河の中でも著しく表面輝度の低い銀河が複数発見され、これを低表面輝度銀河と呼ぶ。
形態の起源は長らく研究者の関心を集めており、銀河の形成期および成長期の違いを反映していると予想されているが、未だに完全には解明されていない。例えば、巨大な楕円銀河は銀河団の中心付近でのみ観測され、銀河団の周辺部ほど渦巻銀河の割合が高くなること(形態-密度関係)が、解明のヒントになると考える人も多い。
形態分類には限界もあり、多数の銀河を観測すると類型が見られない形態の銀河も相当数ある。これらを特異銀河、他を通常銀河と呼ぶことがある。特異銀河のうち、2つ以上の銀河が互いに重力を及ぼした結果、形態が著しく変わったと考えられる銀河を相互作用銀河と呼ぶ。また、多数派の銀河に比べて銀河全面にわたって星形成が異常に活発な銀河もあり、これを爆発的星生成銀河(スターバースト銀河)と呼ぶ。爆発的星形成銀河には相互作用銀河も多く、両者には密接な関係がある。
他の観点による分類としては、単に恒星や星雲の集団としてだけでは説明が困難な特性の有無に基づく分類もある。こうした特性は銀河の活動性と呼ばれ、それを示す銀河を活動銀河と呼ぶ。これには、異常に強い電波を放射する電波銀河、中心核が分コンパクトで異常に明るい銀河などがある。後者はさらに他の観測的特性に基づいてセイファート銀河やクェーサー、コア卓越型電波銀河(ブレーザー)などに細分される。銀河の活動性は銀河中心に存在する巨大ブラックホールに起因しており、細分される特徴は、ブラックホール周囲にあるガス円盤を見る方向によって説明できる(活動銀河核統一モデル)。
銀河本体の性質以外に、見かけの形態が地球から見た向きの互いによる分類もある。円盤銀河では、銀河の見かけの形状によって地球から見た銀河円盤の傾きを推定できるため、これによって銀河を分類することができる。これに基づく分類として、銀河円盤をほぼ真横から(円盤の垂線に垂直で円盤が最も薄く見える方向から)見る場合を横向き(エッジオン:edge-on)、それにほぼ垂直で銀河円盤を正面から見る場合を正面向き(フェイスオン:face-on)と呼ぶ。このように見えている銀河をそれぞれ横向き銀河(エッジオン銀河)、正面向き銀河(フェイスオン銀河)と呼ぶことがある。ただし、傾き角の数値による厳格な規定はない。
銀河は宇宙空間に宇宙空間に一様に分布しているのではなく、銀河群や銀河団、あるいは宇宙の大規模構造のようなさまざまな規模の集団を成している。
130億光年より遠方(宇宙年齢にして8億歳以下)の若い時代の宇宙にも銀河が見つかっていることから、銀河の年齢は非常に古いことが示唆される。銀河の進化は、階層的集団化モデルを基礎とした銀河進化モデルで記述される。
2025年02月04日更新
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