太陽系外惑星
よみ方
たいようけいがいわくせい
英 語
extrasolar planet
説 明
太陽以外の恒星の周りを公転する惑星、つまり太陽系以外の惑星のこと。天文学分野では、太陽系の外惑星との混同を避けるため、単に系外惑星と呼ぶことも多い。英語では extrasolar planet や exoplanet と呼ばれる。
太陽以外の恒星の周りを回る惑星の発見に天文学者は18世紀末から長年取り組んできた。1992年にはパルサー(中性子星)の周りを回る地球程度の質量の天体が3つ発見されたが、太陽系外惑星探査の元年は太陽型恒星まわりの巨大惑星が発見された1995年と考えられる。この年ジュネーブ大学のマイヨール(Michel Mayor)とケロー(Didier Queloz)は、ドップラー法によって、ペガスス座51番星の周りをわずか4.2日の周期で公転する、木星の0.45倍の質量を持つ惑星(51 Peg b)を発見した。それ以降、発見数は飛躍的に増加し、2023年10月時点で5500個以上の系外惑星が確認されている。
惑星は恒星とは異なり水素を燃焼して自ら輝くことがないため(惑星自身の熱放射はあるので赤外線では自ら輝いていることに注意)、惑星の明るさは一般に恒星の数桁以上も暗いので、明るい星のごく近傍にある暗い惑星を検出することは難しい。このため系外惑星の検出は主に惑星の存在が中心星にもたらすさまざまな効果を観測する間接法によっている。最も古くからあるドップラー法に加え、アストロメトリ法、トランジット法、重力マイクロレンズ法、パルサータイミング法などがある。トランジットを起こす惑星の場合、トランジット法から得られる惑星の大きさの情報とドップラー法から得られる惑星の質量の情報を合わせると惑星の密度を推定できる。
明るい星の光を隠して惑星を撮像する直接撮像法は、2008年に初めて海王星軌道程度を公転する惑星の検出に成功した。近年、差分撮像法や偏光法など新しい技術も開発されている。2009年に打ち上げられたケプラー衛星はトランジット法により約4800個の太陽系外惑星候補を発見し、そのうち約2800個が確認されている。
これまでに発見された惑星系は、木星や土星と同等の質量で軌道長半径が0.1 au(天文単位)以下であるホットジュピター(または灼熱巨大惑星)と呼ばれるもの、あるいは軌道の離心率が非常に大きいエキセントリックプラネットと呼ばれるものが多数見つかるなど、太陽系とは大きく異なっており、従来の太陽系形成論の修正と拡張が必要となっている。ケプラー衛星の成功を受けて、スペースからの太陽系外惑星探査はTESS衛星に引き継がれている。2020年には、TESS衛星のデータをきっかけに、白色矮星WD1856+534の周りを周期1.4日で公転する木星とほぼ同じサイズの惑星(褐色矮星の可能性もある)が発見された。ガイア衛星の測光データからトランジット法で二つの太陽系外惑星が見つかった。ガイア衛星のアストロメトリデータは太陽系外惑星の候補検出にも有効である。
太陽以外の恒星の周りを回る最初の惑星を発見したマイヨールとケローは2019年度のノーベル物理学賞を受賞した。浮遊惑星も参照。
太陽系外惑星のデータをまとめたサイト:http://exoplanet.eu/
2023年11月21日更新
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