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地球温暖化

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よみ方

ちきゅうおんだんか

英 語

global warming

説 明

地球の平均気温が長期的に上昇すること。地球全体として、気温、降水量、地表の氷の量、気圧配置、海流や海水温度などはさまざまな時間スケールで変化している。そのうち比較的に長い時間スケールの変化を気候変動という(数年以下の周期で変化するエルニーニョ現象などは気候変動には含まれない)。気候変動の原因には、太陽活動の変化、火山噴火による大気中の微粒子の増加などの自然現象によるものと人間活動によるものがある。地球温暖化はほとんどの場合、このうちの人間活動に起因する20世紀以降の急速な平均気温の上昇を指す。
急速な地球温暖化の主な原因は、産業革命以降人間の活動に伴って、温室効果を引き起こす大気中の二酸化炭素やメタンなどのいわゆる温室効果ガスの濃度が急速に高まってきたためである。地球温暖化については、自然の影響が主な原因で、人間活動の影響(人為影響)はないか、あるとしても影響は少ないという人為影響への「懐疑論」もあったが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次報告書では、複数の精密な気候モデルを用いた解析から、人為影響が支配的であると明確に述べられている。2018年10月発表された特別報告書では、将来の平均気温の上昇幅が産業革命以前の水準から1.5℃と2℃の場合の影響の違いは大きく、ここ数年で世界各国が何をすべきかがとても重要であることを指摘している。さらに、2021年8月に公表されたIPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書の政策決定者向け要約(SPM)において、IPCCは季候の現状に対し、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。大気、海洋、雪氷圏及び生物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れている。」という表現を用いている。
これらIPCCに関する資料は以下から参照できる。
第5次評価報告書 https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar5/index.html
1.5℃特別報告書 https://www.env.go.jp/press/files/jp/110087.pdf
1.5℃特別報告書の概要
https://www.env.go.jp/earth/ipcc/6th/ar6_sr1.5_overview_presentation.pdf
第6次評価報告書 https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar6/index.html
アメリカの二つのメディア誌、コロンビア大学の「コロンビア・ジャーナリズム・レビュー」と「ザ・ネーション」の呼びかけで始まった、気候変動の報道を強化するキャンペーン「Covering Climate Now」には、2019年9月現在、世界の約250以上のメディアが参加している。これに参加するイギリスの新聞ガーディアンは、2019年5月にスタイルガイドを更新し、「気候変動(climate change)」よりも「気候緊急事態(climate crisis)」、「気候危機(climate crisis)」、「気候崩壊(climate breakdown)」などを、また地球温暖化(global warming)」よりも「地球酷暑化(global heating)」を使用することを勧めている。ただし、ここに示した新用語の日本語訳はまだ定着したものではない。
https://www.coveringclimatenow.org/
1992年6月にブラジルのリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)で、当時12歳のカナダのセバーン・スズキさんが、「子どもの環境団体」(ECO:the Environmental Children’s Organization)を代表して行ったスピーチは、大人が行動すべきと子どもの視点から出席者に強く訴え、後にとても有名になった。
2019年9月23日にニューヨークで開かれた国連気候行動サミットでは、スエーデンの環境活動家である女子学生のグレタ・トゥンベリさんが、地球温暖化への取り組みが遅れている各国リーダーを前にスピーチを行った。温暖化対策を訴えるため、学校の授業をボイコットし、ストックホルムの国会議事堂前で座り込みを始めた彼女には、世界の多くの若者から共感が寄せられ、スピーチに先立つ9月20日には、気候危機への対応を求める世界一斉デモが日本を含む163の国と地域で行われた。
地球温暖化とその対策に関する情報はたとえば以下のようなサイトで知ることができる。
環境省COOL CHOICEサイト https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/about/
気象庁地球温暖化ポータルサイト https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/index_temp.html
国立環境研究所 http://www.nies.go.jp/
全国地球温暖化防止活動推進センター http://www.jccca.org/
一般社団法人 地球温暖化防止全国ネット https://www.zenkoku-net.org/
公益財団法人 日本環境協会 http://www.jeas.or.jp/
また地球温暖化に対する懐疑論もあるが、懐疑論の主な論点毎に科学的データに基づいた反論をまとめた資料が以下にある。
https://web.archive.org/web/20131202221617/http://www2.ir3s.u-tokyo.ac.jp/web_ir3s/sosho/all.pdf


リオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議(地球サミット)におけるセバーン・スズキさんのスピーチ(1992年6月)

https://youtu.be/embed/T9YaagLB5Fg


2019年9月23日の国連気候行動サミットでのトゥンベリさんの演説

https://youtu.be/OAQ-JCYPGac


2100年 未来の天気予報(環境省)
元サイト https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/2100weather/
産業革命以前からの気温上昇を1.5℃に抑える目標を達成した2100年と、達成できなかった2100年の天気予報(夏)です。環境省の元サイトには冬の予報もあります。

https://youtu.be/XYgyDIDa8H0


世界気象機関(WMO):2050年の天気予報(NHK)

https://youtu.be/NCqVbJwmyuo

2021年09月17日更新

関連画像

地球温暖化
*自然影響のみでは観測されている急激な気温上昇を説明できず、人為影響を含めると説明できることを示す図。CMIPは気候モデルの名前。
住明正「地球温暖化」、シリーズ現代の天文学第1巻、岡村・池内・海部・佐藤・永原編『人類の住む宇宙』第2版 6.5節 図6.39 (日本評論社)
(原図は IPCCの第5次報告書)
世界の気温変化の歴史と近年の昇温の原因。
(左図)古気候記録から復元した世界平均気温の変化(灰色の実線、西暦1~2000 年)及び最近の観測による世界平均気温の変化(黒色の実線、1850~2020 年)。いずれも1850~1900 年の値を基準とし、10 年で平滑化した。左側の縦棒は、現間氷期(完新世)中の約6500 年前に起きた、少なくとも過去10 万年間で最も温暖だった数世紀の期間の推定気温を示す。(右図)過去170 年間に観測された世界平均気温の変化(黒線)。1850~1900 年の値を基準として、CMIP6気候モデルによるシミュレーションで推定した人為起源と自然起源の両方の駆動要因を考慮した気温(茶色)及び自然起源の駆動要因(太陽活動及び火山活動)のみを考慮した気温(緑色)と比較した年平均値。各色の実線は複数モデルの平均値、着色域は個々のシミュレーション結果に基づく可能性が非常に高い範囲を示す。
出典 IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書の政策決定者向け要約
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar6/index.html
1850~1900 年を基準とした2010~2019 年の観測された昇温への寄与の評価。
(左)観測された地球温暖化(世界平均気温上昇量)。(中央)人為的要因と自然要因の寄与。(右)人為的要因の中の各要因の寄与。
出典 IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書の政策決定者向け要約
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar6/index.html

IPCCの第6次報告書で使用した5つの例示的なシナリオの下での地球規模の気候変動に関する主な指標。SSP(Shared Socioeconomic Pathway)は将来の温室効果ガスの排出予想シナリオ(多いものから少ないものまで5種類を想定)。
出典 IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書の政策決定者向け要約
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar6/index.html
地球全体の年平均気温が上昇した場合の世界各地域の年平均気温の変化と降水量の変化。出典にある原図を編集して作成。
出典 IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書の政策決定者向け要約
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar6/index.html

累積CO2排出量と世界平均気温上昇との間のほぼ線形の関係。
「過去の地球温暖化」の部分にある中心線を含む灰色の領域は、人為的に引き起こされた温度上昇の推定範囲を示す。
出典 IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書の政策決定者向け要約
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar6/index.html
1400年以降の北半球の年平均気温の変化を示した図。1900年以降に平均気温が急速に上昇していることが分かる。ホッケーのスティックを横にした形に似ているので「ホッケースティック曲線」とよばれる事がある。
出典:Robustness of the Mann, Bradley, Hughes reconstruction of Northern Hemisphere surface temperatures: Examination of criticisms based on the nature and processing of proxy climate evidence, Eugene R. Wahl & Caspar M. Ammann 2007, Climatic Change, Volume 85, Issue 1-2, pp. 33-69
* 地球表面の気温変化をさまざまな時間スケールで見た図。それぞれの原図の出典はurlで示されている。それぞれの図の縦軸が基準としている温度は必ずしも同じではない。下段中央の図の複数の線は、過去の気温を再現するモデルの違いに対応している。この図の横軸の目盛は比較しやすいように原図のものを左右反転してある。