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惑星

小

よみ方

わくせい

英 語

planet

説 明

一般には、恒星を周回する天体のうち、内部の核融合反応によるエネルギー放出のない天体を惑星と呼ぶ。ここでは太陽系内の惑星について述べる。太陽以外の恒星の周りを回る惑星については太陽系外惑星を参照されたい。
天球上でお互いの位置を変えない恒星の間を動くように見える明るい星があることは古くから知られており、それらはギリシャ語では「迷う人」を意味するプラネーテスと呼ばれていた。これをもとに英語ではプラネット(planet)と呼ばれ、日本語では「惑星」と訳された(「遊星」と呼ばれたこともある)。コペルニクス(N. Copernicus)の地動説により、惑星は太陽を周回する天体であることが示された。古代から知られていた、水星金星地球火星木星土星の6惑星のほか、天王星が1781年に、海王星が1846年に、冥王星が1930年に発見された(海王星はガリレオ(G. Galilei)がすでに観測していた証拠があるが運動は確認しておらず、恒星と判断していたようである)。
観測技術の進歩により、20世紀終わり頃から海王星軌道の外側に小天体が多数発見され(太陽系外縁天体)、なかにはエリスのように冥王星より大きいことが確認されたものもあった。この状況を受けて、国際天文学連合(IAU)は2006年にプラハで開催された第26回総会で惑星の定義を採択した(それまで惑星には定義がなかった)。それによると、(太陽系の)惑星は、
1. 太陽を周回し、
2. 十分大きな質量を持つために自己重力が固体に働く種々の力よりも勝る結果、重力平衡形状(ほぼ球状)を持ち、
3. その軌道近くから(衝突合体や重力散乱により)他の天体を排除した天体である。
この条件のうち3.は満たさず衛星ではない天体を準惑星(dwarf planet)と呼ぶことになった。 2006年のこの定義により、冥王星は惑星ではなくなり準惑星となった(この惑星の定義は太陽系に限って適用されるものである)。したがって太陽系の惑星は、太陽に近いものから、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8個となった。
この結果を受けて日本学術会議は「太陽系天体の名称等に関する検討小委員会」を発足させ新たに導入された用語の日本語名称を検討した。その結果、初等中等教育現場では「準惑星」の使用は奨励しないこと、冥王星を含む太陽系外縁天体の中の大きな天体の種族(太陽系外縁天体でありなおかつ準惑星)には冥王星にちなむ名称を与えることが望ましいとの見解を公表した。その後2008年にオスロで開催されたIAUの執行委員会でこの種族は冥王星型天体(Plutoid)と命名された。この件に関する参考資料は以下にある。
準惑星問題に関する日本学術会議の「対外報告」(2007年)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t35-1.pdf (第一報告)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t39-3.pdf (第二報告)
国立天文台のわかりやすい解説
http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000304.html
http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000387.html
https://www.nao.ac.jp/contents/naoj-news/data/nao_news_0159.pdf
「日本学術会議 太陽系天体の名称等に関する検討小委員会」編
「新太陽系図2007」リーフレット
「新太陽系図2007」ポスター


惑星の自転 (@physicsJ 日本語版)

https://youtu.be/T1MrJvcllpY


惑星・準惑星の大きさと自転速度の比較 (@physicsJ 日本語版)

https://youtu.be/xSrSDMGwHa0

2023年11月05日更新

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    関連画像

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    惑星の定義の採択風景(2006年8月IAUプラハ総会)(クレジット:IAU)
    * 2006年の「惑星の定義」採択に伴う太陽系像の変化。この図では、軌道の比は正しく描かれているが天体のサイズは正しく描かれていない(軌道と同じ縮尺ではない)。日本学術会議太陽系天体の名称等に関する検討小委員会対外報告(第二報告)にある図をもとに作成。
    「新太陽系図2007」リーフレット(表)
    「日本学術会議 太陽系天体の名称等に関する検討小委員会」編
    高解像度のものは本文最後のurlからダウンロードできます。
    「新太陽系図2007」リーフレット(裏)
    「日本学術会議 太陽系天体の名称等に関する検討小委員会」編
    高解像度のものは本文最後のurlからダウンロードできます。
    「新太陽系図2007」ポスター
    「日本学術会議 太陽系天体の名称等に関する検討小委員会」編
    高解像度のものは本文最後のurlからダウンロードできます。
    * 太陽系の主な天体の性質。『理科年表 2019』のデータから原則として有効数字3桁までとって丸めた数値(ただし赤道傾斜角は1度までの数値)。冥王星については Seidelmann 他2007, Cel. Mech. Dyn. Astr., 98, 155-180 のデータも用いた。
    * 太陽系の主な天体の性質。放射量と直径は『理科年表2019』、大気の主成分は複数の文献を参照した。平均温度の出典はhttps://solarsystem.nasa.gov/resources/681/solar-system-temperatures/