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渦巻銀河

高

よみ方

うずまきぎんが

英 語

spiral galaxy

説 明

渦巻腕を持つ銀河。渦状銀河ということもある。レンズ状銀河円盤は持つが渦巻腕は持たない:近年はS0(エスゼロ)銀河と呼ばれることが多い)と合わせて円盤銀河(disk galaxy)と総称されることがある(ハッブル分類も参照)。

現在の宇宙において最もありふれた銀河の形態であるが、巨大楕円銀河ほど大きなものはなく、矮小銀河にもない形態である。

銀河団のような銀河密度の高い場所には少ない傾向がある。星の集団として見た場合、渦巻銀河は、中心部のバルジ、(渦巻腕を含む)銀河円盤(ディスク)、バルジと円盤を包み込むハローの3つの成分で構成されている。円盤内の星やガスは銀河中心の周りを回転している。

中心部から顕著な棒状の構造が伸びているものは棒渦巻銀河と呼ばれ、ハッブル分類では、その有無のよって2分されているが、多くの渦巻銀河は大なり小なり棒状構造を持つことがわかっている。天の川銀河銀河系)は棒状構造を持つ棒渦巻銀河である。渦巻銀河のバルジは楕円銀河と同様に年齢の古い赤っぽい星からなり、現在では星形成はほとんど起きていない。

銀河円盤部(ディスク)には若い青い星が多数含まれ、不規則銀河と同様に活発な星生成活動が見られる。ガスとダストおよび、それから生まれたばかりの若い星は円盤の赤道面の薄い層に集中しており、渦巻腕に集中している。ハッブル分類では重視される渦巻腕の巻き込み度合いはバルジと円盤部の大きさの比と関係があるとされ、渦巻腕の巻き込み度合いがわかりにくい方向を向いている円盤銀河ではバルジと円盤部の大きさの比でハッブル分類の形態を推定することも多い。近年の研究ではバルジは形状や色によって古典的バルジと疑似バルジの2種類に分けられることがわかった。古典的バルジは赤くて3次元形状が楕円体的であるが、疑似バルジは円盤部同様に青くて円盤部と垂直方向の厚さがあまり変わらない(横から見ると矩形的)である。前者は円盤部に先行して形成されたが、後者は円盤部の星が力学的な作用により厚さ方向に広がったものであるとされる。

ハローには球状星団や希薄なガスに加えて暗黒物質ダークマター)が広く分布している。他の銀河と同様、渦巻銀河もその質量の大部分は暗黒物質(ダークマター)が担っている。

形態分類とは別に、銀河を見る角度による分類として、円盤銀河では、銀河円盤をほぼ真横から(円盤の垂線に垂直で円盤が最も薄く見える方向から)見る場合を横向き(エッジオン:edge-on)、それにほぼ垂直で銀河円盤を正面から見る場合を正面向き(フェイスオン:face-on)と呼ぶ。このように見えている銀河をそれぞれ横向き銀河(エッジオン銀河)、正面向き銀河(フェイスオン銀河)と呼ぶことがある。ただし、傾き角の数値による厳格な規定はない。

渦巻銀河の光度と回転速度の間にはタリー-フィッシャー関係というスケーリング則があり、対象銀河までの距離の見積もりや銀河形成の手がかりとして利用されている。

2025年02月16日更新

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    さんかく座にある渦巻銀河M33。アンドロメダ銀河に次いでわれわれから近い渦巻銀河である。銀河系からの距離は約250万光年。すばる望遠鏡撮影。
    http://www.naoj.org/Pressrelease/2009/01/22/fig01_m.jpg
    * ハッブル分類を表すハッブルの音叉図
    (土居守「銀河の種類と形態分類」、シリーズ現代の天文学第4巻、谷口・岡村・祖父江編『銀河I』第2版 1.1節、図1.1(日本評論社)
    (原図はE. Hubble 1936, The Realm of the Nebulae (Yale University Press))
    フェイスオン銀河とエッジオン銀河。各銀河の画像の出典は以下である。
    NGC 524
    https://www.nasa.gov/content/goddard/hubble-eyes-a-mysterious-old-spiral
    Image Credit: ESA/Hubble & NASA, Acknowledgement: Judy Schmidt
    NGC 4762
    https://www.spacetelescope.org/images/potw1443a/
    Credit: ESA/Hubble & NASA
    NGC 628(M74)
    https://apod.nasa.gov/apod/ap011004.html
    Credit: Gemini Observatory, GMOS Team
    NGC4565
    https://apod.nasa.gov/apod/ap040409.html
    Credit: Bruce Hugo and Leslie Gaul, Adam Block (KPNO Visitor Program),
    NOAO, AURA, NSF