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天の川

小

よみ方

あまのがわ

英 語

Milky Way

説 明

月のない暗い晩に肉眼で見ると、夜空を大きく横切るように見える淡く輝く帯状の天体で、その正体は天の川銀河銀河系)の円盤部にある無数の恒星の集団である。我々(太陽系)が中心から離れた円盤部に位置しているので、内部から見た円盤部の恒星が天球に投映されて天の川として見えている。日本からは観測不可能な範囲まで含めた全天を見渡すと、天の川の帯は地球を一周取り巻いていることがわかる。その様子を写真などでみると、いて座からさそり座にかけて明るさも幅も大きくなる。これは天の川銀河の中心がこの方向にあるためである。暗黒星雲によって生じる暗い影もあちらこちらに見られ、全体の分布を見ると、天の川の中央に集中している(ダークレーンを参照)。暗黒星雲に代表される星間ダストによる星間減光の影響で、太陽系から可視光で見える範囲は、望遠鏡を用いても数キロパーセク(数 kpc=数千光年)の範囲に限られる。これに対して天の川銀河全体は直径約30キロパーセク(30 kpc=10万光年)にも及ぶので、可視光で見られる天の川は、そのごく一部だということができる。天文学的には天の川が見える領域は銀河面と呼ばれることが多く、ここに沿った帯状の領域は、天の川銀河の構造やそこに含まれる天体の研究を目的として、電波からガンマ線に至るさまざまな波長での観測が行われている。
なお、日常語としては天の川と同義で銀河という語を用いることもあるが、天文学では両者は明確に区別されており、一部の複合語を除き、銀河という単語で天の川を意味することはない。

2021年12月30日更新

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    関連画像

    天の川
    *南半球の地上から撮影した天の川。最も幅広く明るく見える、いて座さそり座付近を中心とした写真。画像出典:シリーズ現代の天文学 銀河Ⅱ 口絵1 (Serge Brunier撮影)
    天の川
    南北両半球で撮影した多数の画像から合成した全天の天の川の可視光画像。エイトフ図法による。
    http://galaxy.phy.cmich.edu/~axel/mwpan2/mwpan2_Aitoff_2000x1000.jpg
    * 天の川と銀河系の関係を示す概念図
    (作成 岡村定矩)