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宇宙線

高

よみ方

うちゅうせん

英 語

cosmic ray

説 明

宇宙空間に存在する高エネルギーの放射線や、それらが宇宙空間を伝搬する過程や地球大気に入射した際に作る放射線のこと。前者は1次宇宙線、後者は2次宇宙線と呼ばれる。1912年にオーストリアの物理学者ヘス(V.F. Hess)によって発見された。1次宇宙線の主成分は陽子などの荷電粒子であるのに対し、2次宇宙線の主成分はミューオン(μ粒子)である。1次宇宙線は強度(単位エネルギーあたりの宇宙線個数流束)が大まかには

$$F(E)\propto E^{-\alpha}(\alphaは2.5\sim3)$$

で表されるべき型のスペクトルをもつ。ここで $E$ は宇宙線のエネルギーである。現在までに1020 eVに達する高エネルギー宇宙線の存在が確認されている。黒体放射のような熱的な過程ではこのような高エネルギーの粒子は生成することができないため、非熱的な宇宙線加速過程がはたらいていることになる。

関連画像の図に示した宇宙線のエネルギースペクトルを細かく見ると、3×1015 eV 付近と1019 eV付近で折れ曲がり、べき指数$\alpha$はそれぞれ約2.7から約3.1、約3.1から約2.7に変化しており、これらの構造はそれぞれ「ひざ(ニー、Knee)」および「くるぶし(アンクル、ankle)」と呼ばれている。さらに、約6×1019 eV 以上では再び急激な減少がみられ(ただし、統計量がまだ十分でないため正確な形はまだよくわかっていない)、これはGZKカットオフの現れであると一般に解釈されている。

宇宙線の起源はまだ完全に理解されてはいない。超新星爆発に伴う衝撃波等の天の川銀河銀河系)内の高エネルギー天体、また、活動銀河核ガンマ線バーストなどで生成・加速されると考えられている。

2023年04月18日更新

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    関連画像

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    *宇宙線のエネルギースペクトル。
    手嶋政廣「宇宙線」、シリーズ現代の天文学第8巻、小山・嶺重編『ブラックホールと高エネルギー現象』 4.1節 図4.1(日本評論社)
    (原図は Swordy, S. P. 2001, Space Science Reviews, Volume 99, Issue 1–4, pp 85–94)