アーノ・A・ペンジアス(Arno A. Penzias; 1933-2024)はアメリカの天文学者、物理学者。宇宙マイクロ波背景放射の発見によってウィルソン(R.Wilson)とともに1978年のノーベル物理学賞を受賞した(ノーベル賞参照)。
ドイツのミュンヘンに生まれ、6歳の時にナチスによる迫害から逃れるため、イギリスに逃れた。アーノが脱出した後に両親もドイツを離れ、1940年に一家はアメリカのニューヨークに移住、1946年にアメリカに帰化した。1954年にニューヨーク市立大学シティカレッジを卒業、1962年にコロンビア大学で博士号の学位を得た。その後、ニュージャージー州ホルムデルのベル研究所に就職、そこでウィルソンとともに、高性能電波アンテナの開発研究を行なった。
1964年、この高感度アンテナによる観測中に二人は説明のつかない電波ノイズを観測した。そのノイズはアンテナの向きによらず全天から受信され、1964年7月から1965年4月までの観測では季節変化も見られなかった。ちょうど同じ頃、近くにあるプリンストン大学のディッケ、ピーブルスらのグループは、熱い火の玉(ビッグバン)として生まれた宇宙を満たしているはずの電波を観測しようとしていた。この情報を得たペンジアスとウィルソンは、すぐに彼らとの議論をはじめた。その結果この電波ノイズがビッグバン宇宙論の予言する黒体放射であることを確信した二つのグループは、1965年にアストロフィジカル・ジャーナル誌に、連続する2編の論文を出版した。これが宇宙マイクロ波背景放射発見の論文となった。
参考:https://www.nobelprize.org/prizes/physics/1978/penzias/biographical/