ノーベル賞
よみ方
のーべるしょう
英 語
Nobel Prize
説 明
ダイナマイトの発明者として知られるスウェーデンの発明家・企業家アルフレッド・ノーベル(Alfred Bernhard Nobel)の遺言に従って、彼の遺産に基づいて創設された世界的な賞。1901年から始まり、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和および経済学(1968年創設)の分野で顕著な功績を残した人物に贈られる。
本項では、過去の物理学賞のうち天文・宇宙に関わりの深いものについて、受賞者と受賞タイトルおよび、本辞典の中の関連深い主な項目を列挙する(日本人受賞は全て含む)。天文・宇宙に関わりの深い分野での受賞頻度は近年増加している。
【2021年】
・真鍋淑郎(Syukuro Manabe)(アメリカ、日本)
・クラウス・ハッセルマン(Klaus Hasselmann)(ドイツ)
「地球の気候の物理的モデリング、気候変動の定量化、地球温暖化の確実な予測」
気候モデル、IPCC、地球温暖化、温室効果ガス、気候変動、オゾン層
【2020年】
・ロジャー・ペンローズ(Roger Penrose)(イギリス)
「ブラックホールの形成が一般相対性理論の強力な裏付けであることの発見」
特異点定理、ペンローズ時空図、宇宙検閲官仮説
・ラインハルト・ゲンツェル(Reinhard Genzel)(ドイツ)
・アンドレア・ゲズ(Andrea M. Ghez)(アメリカ)
「我々の銀河系の中心にある超大質量コンパクト天体の発見」
ブラックホール、いて座A*
【2019年】
・ジェームズ・ピーブルス(Jim Peebles)(アメリカ)
「物理宇宙論における理論的発見」
宇宙マイクロ波背景放射、宇宙の晴れ上がり、原始銀河、宇宙の大規模構造、ダークマター
・ミシェル・マイヨール(Michel Mayor)(スイス)
・ディディエ・ケロー(Didier Queloz)(スイス)
「太陽型恒星を周回する太陽系外惑星の発見」
太陽系外惑星、ドップラー法、ホットジュピター
【2017年】
・レイナー・ワイス(Rainer Weiss)(アメリカ)
・バリー・バリッシュ(Barry Barish)(アメリカ)
・キップ・ソーン(Kip Thorne)(アメリカ)
「LIGO検出器および重力波の観測への決定的な貢献」
重力波、重力波検出器、LIGO
【2015年】
・梶田隆章(Takaaki Kajita)(日本)
・アーサー・B・マクドナルド(Arthur B. McDonald)(カナダ)
「素粒子「ニュートリノ」が質量を持つことを示すニュートリノ振動の発見」
ニュートリノ、ニュートリノ振動、素粒子、スーパーカミオカンデ
【2013年】
・フランソワ・アングレール(Francois Englert)(ベルギー)
・ピーター・ヒッグス(Peter Higgs)(イギリス)
「欧州原子核研究機構 (CERN) によって存在が確認された素粒子(ヒッグス粒子)に基づく、質量の起源を説明するメカニズムの理論的発見」
ヒッグス粒子、ヒッグス場、素粒子、真空の相転移、自発的対称性の破れ、電弱統一理論、欧州原子核研究機構
【2011年】
・ソール・パールムッター(Saul Perlmutter)(アメリカ)
・ブライアン・P・シュミット(Brian Schmidt)(オーストラリア)
・アダム・リース(Adam Riess)(アメリカ)
「遠方の超新星の観測を通した宇宙の加速膨張の発見」
Ia型超新星、光度曲線(超新星の)、加速膨張、ダークエネルギー、宇宙定数、ハッブル時間、地平線(宇宙の)
【2009年】
・チャールズ・K・カオ(高錕)(Charles K. Kao)(イギリス、アメリカ、中華民国出身、1948年香港移住)
「光通信を目的としたファイバー内光伝達に関する画期的業績」
・ウィラード・ボイル(Willard Boyle)(アメリカ、カナダ)
・ジョージ・E・スミス(George E. Smith)(アメリカ)
「撮像半導体回路であるCCDセンサーの発明」
CCD、多天体分光器、赤方偏移サーベイ
【2008年】
・南部陽一郎(Yoichiro Nambu)(日本)
「素粒子物理学および原子核物理学における自発的対称性の破れの機構の発見」
自発的対称性の破れ、真空の相転移、ヒッグス場、ヒッグス粒子
・小林誠(Makoto Kobayashi)(日本)
・益川敏英(Toshihide Maskawa)(日本)
「自然界においてクォークが少なくとも3世代以上存在することを予言する、対称性の破れの起源の発見」
素粒子、CP対称性、キャビボ-小林-益川理論、反物質
【2006年】
・ジョン・C・マザー(John C. Mather)(アメリカ)
・ジョージ・スムート(George F. Smoot)(アメリカ)
「宇宙マイクロ波背景放射が黒体放射の形をとることおよびその非等方性の発見」
宇宙マイクロ波背景放射、黒体放射、宇宙の晴れ上がり、COBE衛星、WMAP衛星、プランク衛星
【2002年】
・レイモンド・デービス(Raymond Davis Jr.)(アメリカ)
・小柴昌俊(Masatoshi Koshiba)(日本)
「天体物理学への先駆的貢献、特に宇宙ニュートリノの検出」
ニュートリノ天文学、太陽ニュートリノ問題、SN1987A、カミオカンデ、スーパーカミオカンデ
・リカルド・ジャコーニ(Riccardo Giacconi)(アメリカ)
「宇宙X線源の発見を導いた天体物理学への先駆的貢献」
ジャッコーニ、X線天文学
【1993年】
・ラッセル・ハルス(Russell A. Hulse)(アメリカ)
・ジョゼフ・テイラー(Joseph Hooton Taylor, Jr.)(アメリカ)
「重力研究の新しい可能性を開いた新型連星パルサーの発見」
パルサー連星、重力波、二重パルサー連星
【1983年】
・スブラマニアン・チャンドラセカール(Subrahmanyan Chandrasekhar)(アメリカ、インド)
「星の構造および進化にとって重要な物理的過程に関する理論的研究」
チャンドラセカール、チャンドラセカール限界質量、恒星の進化、白色矮星、中性子星
・ウィリアム・ファウラー(William Alfred Fowler)(アメリカ)
「宇宙における化学元素の生成にとって重要な原子核反応に関する理論的および実験的研究」
ファウラー、ジェフリー・バービッジ、マーガレット・バービッジ
【1978年】
・アーノ・ペンジアス(Arno Allan Penzias)(アメリカ)
・ロバート・W・ウィルソン(Robert Woodrow Wilson)(アメリカ)
「宇宙マイクロ波背景放射の発見」
宇宙マイクロ波背景放射、ビッグバン、ビッグバン宇宙論、宇宙の晴れ上がり、定常宇宙論
【1975年】
・オーゲ・ニールス・ボーア(Aage Niels Bohr)(デンマーク)
・ベン・ロイ・モッテルソン(Ben Roy Mottelson)(デンマーク、アメリカ)
・レオ・ジェームス・レインウォーター(Leo James Rainwater)(アメリカ)
「核子の集団運動と独立粒子運動との関係の発見、およびこの関係に基づく原子核構造に関する理論の開発」
量子力学、ボーア半径、ボーア磁子、ボーア
【1974年】
・マーティン・ライル(Martin Ryle)(イギリス)
「電波天文学における先駆的研究(観測および発明、特に開口合成技術に関して)」
ライル、開口合成、電波干渉計
・アントニー・ヒューイッシュ(Antony Hewish)(イギリス)
「電波天文学における先駆的研究(パルサーの発見に果たした決定的な役割)」
パルサー
【1970年】
・ハンス・アルベーン(Hannes Olof Gosta Alfven)(スウェーデン)
「プラズマ物理学の様々な部分への有意義な応用を伴う、電磁流体力学における基礎的研究および発見」
アルベーン、アルベーン波、電磁流体波、電磁流体力学、イオンサイクロトロン波
【1967年】
・ハンス・ベーテ(Hans Albrecht Bethe)(アメリカ)
「原子核反応理論への貢献、特に星の内部におけるエネルギー生成に関する発見」
ベーテ、CNOサイクル、ppチェイン、核融合、熱核融合反応、太陽
【1965年】
・朝永振一郎(Shin-ichiro Tomonaga)(日本)
・ジュリアン・シュウィンガー(Julian Schwinger)(アメリカ)
・リチャード・P・ファインマン(Richard P. Feynman)(アメリカ)
「量子電磁力学の分野における基礎研究と、素粒子物理学についての深い結論」
早川幸男
【1949年】
・湯川秀樹(Hideki Yuakawa)(日本)
「核力の理論的研究に基づく中間子の存在の予想」
パイオン、素粒子、強い力、核力、四つの力
【1933年】
・エルヴィン・シュレーディンガー(Erwin Schrodinger)(オーストリア)
・ポール・ディラック(Paul Adrien Maurice Dirac)(イギリス)
「原子論の新しく有効な形式の発見」
量子力学、不確定性原理、ディラック、磁気単極子
【1921年】
・アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)(スイス)
「理論物理学に対する貢献、特に光電効果の法則の発見」
アインシュタイン、一般相対性理論、宇宙定数、アインシュタイン方程式、アインシュタインリング、アインシュタイン係数、アインシュタイン衛星
【1918年】
・マックス・プランク(Max Karl Ernst Ludwig Planck)(ドイツ帝国)
「エネルギー量子の発見による物理学の進展への貢献」
プランクの法則、プランク関数、プランク分布、黒体放射、プランク定数、プランクスケール、プランク衛星
【1911年】
・ウィルヘルム・ウィーン(Wilhelm Wien)(ドイツ帝国)
「熱放射を支配する法則に関する発見」
ウィーンの近似式、ウィーンの変位則、ウィーンスペクトル、黒体放射
【1907年】
・アルバート・マイケルソン(Albert Abraham Michelson)(アメリカ)
「彼が考案した精密光学機器マイケルソン干渉計とそれによる分光学および計量学の研究」
マイケルソン干渉計、マイケルソン-モーリーの実験
【1904年】
・レイリー卿(Lord Rayleigh; (John William Strutt)(イギリス)
「重要な気体の密度に関する研究、およびこの研究により成されたアルゴンの発見」
レイリー-ジーンズの近似式、レイリー散乱、レイリー-テーラー不安定、レイリーの解像限界
【1902年】
・ヘンドリック・ローレンツ(Hendrik Antoon Lorentz)(オランダ)
・ピーター・ゼーマン(Pieter Zeeman)(オランダ)
「放射現象に対する磁性の影響の研究」
ゼーマン効果
ノーベル賞の公式ホームーページ
https://www.nobelprize.org/
物理学賞のホームページ
https://www.nobelprize.org/prizes/physics/
物理学賞の全受賞者リスト
https://www.nobelprize.org/prizes/lists/all-nobel-prizes-in-physics/
日本語版のノーベル物理学賞の全受賞者とその受賞タイトルの一覧は以下のサイトにある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ノーベル物理学賞
2022年01月12日更新
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