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ヒッグス粒子

高

よみ方

ひっぐすりゅうし

英 語

Higgs boson

説 明

素粒子の質量は、電荷0、スピン0のボソンが真空に凝縮することによって現れる。この凝縮した状態を真空期待値を持つといい、このボソンをヒッグス粒子という。ヒッグス粒子によって素粒子が質量を獲得するメカニズムをヒッグス機構、あるいは自発的対称性の破れという。これらの名前は、1964年に理論的にこのことを予想する論文を書いたイギリスのヒッグス(Peter Higgs)に由来する。
ヒッグス機構は素粒子の力の統一理論に用いられる。弱い力電磁気力の統一に必要なヒッグス粒子は2012年7月に欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突加速器(LHC)によって発見され、これによって現在の素粒子の標準模型の正しさが確認された。この功績によりヒッグスはベルギーのアングレールとともに、2013年にノーベル物理学賞を受賞した。

2022年01月12日更新

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    関連画像

    * LHCの実験でヒッグス粒子を発見した二つのチームのうち日本も参加しているATLASチームの報道発表。https://indico.cern.ch/event/197461/contributions/1478916/attachments/290953/406671/ATLAS_Higgs-CERN-seminar-2012.pdf にある図より作成。