天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3300語以上収録。随時追加・更新中!専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

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分配関数

統計力学において、ある系の物理量の平均を計算する際の規格化定数。状態和ともいう。ある閉鎖系において、それぞれのエネルギー固有状態をとる確率は温度の関数として表せる(カノニカル分布)が、とり得るすべてのエネルギー固有状態についての和をとったものを分配関数と呼び、これで確率分布の規格化を行う。

大気を持つ惑星では、惑星表面からの熱放射が、宇宙空間(大気圏外)に到達する前に、大気中の物質に吸収・散乱され、エネルギー輸送が妨げられるため、大気内の温度が上昇する。これを温室効果という。ビニールやガラスで覆われた温室の中の温度が外部より高いことの連想からこの名前が付けられたが、実際の温室では、地表で温められた大気を閉じ込めるために気温が上昇するので、原理は異なる。温室効果の原因となるガスを温室効果ガスという。
地球では、大気は太陽放射エネルギーのピークである可視光をよく通すので、雲が存在しなければ太陽から入射するエネルギーの多くが地表に到達する。実際には雲や地表面などで反射されて太陽からの入射エネルギーの約50%が地表に吸収される。このエネルギーは地表面から、波長10 μm あたりにピークがある熱放射として赤外線波長域で地球大気に放出される。大気中にある二酸化炭素、水蒸気、メタンなどの分子はこの赤外放射を吸収し、地表に逆放射する。このために温室効果が起きる。温室効果は雲によってももたらされる。大気上端から宇宙空間に放出される放射量は、地表面からの放射の約60%である。
地球放射のスペクトルを見ると、地表面からの放射は絶対温度約288K(15℃)の黒体放射のスペクトルに近いが、大気上端からの放射スペクトルにはさまざまな分子による吸収のパターンが見られる。二つのスペクトルの間の面積が全温室効果で、二酸化炭素(CO2)はその約25%を占める。大気上端からの放射量と等しい量の放射を出す黒体の温度は約254K(-19℃)である。このことから、もし温室効果がなかったら、地球の放射平衡温度は約-19℃であるが、温室効果によってそれが約15℃に保たれていると言うことができる。
電波観測で明らかになった金星の高い表面温度を二酸化炭素大気の温室効果で説明したのは、セーガン(C. Sagan)である。大気の底の温度は730 Kに達する。金星への太陽光の80%は雲で反射され、さらに大気が厚いため表面に到達するのは2%ほどである。しかし、大気量が多いため赤外放射の宇宙空間への散逸が妨げられ、表面温度は非常に高くなる。実際には、二酸化炭素のほか、水蒸気、二酸化硫黄、硫酸からなる雲も温室効果に寄与している。
火星では、現在では大気が薄く温室効果はほとんど働いていない。しかし、40億年前は二酸化炭素大気量が多く、温室効果により、液体の水が表面に存在可能であった(生命生存が可能であった)と考えられる。

火星軌道と木星軌道の間には無数の小惑星が存在し、小惑星帯と呼ばれている。小惑星帯の小惑星の数を軌道長半径の関数として表すと、いくつかの場所で小惑星数が極端に少なくなっているところがある。これをこの特徴の発見者であるカークウッド(D. Kirkwood)にちなんでカークウッドの間隙と呼ぶ。この間隙は、小惑星と木星の公転周期の比が簡単な整数になる、平均運動共鳴の位置にあり、木星の重力作用が強く働いた結果、小惑星の軌道が不安定になって取り除かれ、間隙が形成されたと考えられている。

表面輝度の低い銀河のこと。夜空(背景光)とのコントラストが低いため、観測で見落としやすく、光度関数を作成するときなどに注意が必要である。特に遠方宇宙では赤方偏移 z のマイナス4乗で表面輝度が減衰するため、観測が困難になる。

分光器を通して得られたスペクトルは、使用された分散素子や光学系の特性により結像する位置と波長の関係が決まっている。この関係をアークスペクトルなどを用いて実測し、光学的に計算された波長と位置の関係と合わせることで、すべての位置での波長を決定することができる。このようにして得られた関係式を用いて、測定されたスペクトルを波長の関数となるように変換することを波長校正という。

トゥーシ(Nasir al-Din Tusi;1201-74)はペルシャの数学者・天文学者。1259年にイラン北部のマラガ(マラーゲ)に天文台を建設して観測を行ない、1272年頃に『イルハン表』(Zīj-i Īl-khānī)と呼ばれる天文表を作成した。トゥーシ時代のマラガ天文台には多くの天文学者が集まり、天文学研究の中心地になった。著作には、プトレマイオス(Ptolemaeus)の天文学の概要を記した『天文要覧』、『ユークリッド幾何学要論』などがあり、生物学、医学、鉱物学、化学、物理学、論理学の分野でも研究成果を残した。

 

光の偏光状態を変換する光学素子の1つで、入射光の電場振動を波長板の特定の方向(光学軸)とそれに直交する2つの成分に分けたときに、一方の他方に対する相対的な位相をシフトさせるもの。光の電場の振動方向によって屈折率が異なる複屈折性結晶を利用して製作する。媒質中の光の速度は屈折率に反比例するので、複屈折性結晶中では一方の振動方向の光は他方に対して遅れることになる。したがって、光が結晶の厚さの分だけ進んだ後には、遅れた距離に対応する分の位相がずれることになる。この位相ずれがちょうど必要な量となる厚さに結晶を研磨したものが波長板として用いられる。広く用いられるのは、半波長板(1/2波長板: 位相ずれが180°)と1/4波長板(位相ずれが90°)である。半波長板は、入射光の直線偏光の方向を、波長板の光学軸に対して対称な方向に回転させる。したがって、半波長板をある角度回転させると、出射光の直線偏光の方向はその2倍の角度だけ回転する。この性質を利用して直線偏光の測定を行う。1/4波長板は、直線偏光を円偏光に、円偏光を直線偏光に変換する。この性質を用いて円偏光の測定を行う。偏光子も参照。

日本の物理学者、天体物理学者(1923-92)。宇宙線超新星起源説、およびガンマ線天文学の提唱者。愛媛県新居浜生まれ。東京帝国大学物理学科の朝永振一郎ゼミで素粒子論を学ぶ。卒業後、気象研究所、大阪市立大学物理学教室、京都大学基礎物理学研究所教授、名古屋大学教授、同学長を歴任。米コーネル大学、マサチューセッツ工科大学に滞在した。
星間空間において宇宙線による中性パイオン崩壊でガンマ線が観測されることを指摘し、宇宙線原子核組成から超新星起源を唱えた。名古屋大学および東京大学宇宙航空研究所(現宇宙科学研究所)でロケット、気球、人工衛星のチームをつくり、サブミリ波X線を観測した。また星間物質の加熱と冷却も論じた。基礎物理学研究所では、新分野における物理学者と天文学者の橋渡し的役割を演じ、赤外線天文学、重力波天文学のリーダーも務めた。日本学士院賞、マルセル・グロスマン賞受賞。
日本天文学会は、元理事長であった早川幸男氏の遺志に基づく御遺族よりの寄付を創設基金として1993年より、若手天文学研究者の海外学術研究援助を目的とする早川幸男基金(若手海外学術研究援助基金)を設けている。

 

「天文月報」追悼記事
http://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/1992/pdf/19920910.pdf

太陽系を取り囲む大きさ1万から10万 auの球殻状の微惑星の分布。惑星形成期に巨大惑星の領域にあった氷微惑星は巨大惑星から受ける重力作用によって跳ね飛ばされ、円から大きくずれた細長い楕円軌道をとるようになる。遠日点距離が1万 au程度になるまで楕円がゆがむと、太陽系外から受ける力、すなわち天の川銀河銀河系)が及ぼす潮汐力や近傍を通過する恒星や分子雲の重力の影響のため、微惑星軌道の近日点が次第に太陽から離れていく。このようにして太陽系を取り囲む大きさ1万から10万 auのオールトの雲ができる。彗星のうち軌道長半径の大きいものはここからやってきたと考えられており、この彗星の巣のことを、この考えの提唱者にちなんでオールトの雲と呼ぶ。実際、軌道長半径の大きな彗星の軌道面傾斜角は等方的に分布しており、このモデルで説明できる。一方、軌道長半径が10 au以下の彗星のほとんどは軌道面傾斜角が30度以下に集中しており、これらは海王星からの重力散乱により太陽から30-40 auのところに跳ね飛ばされた天体が起源であると考えられている。

日本の天体物理学者(1920-2010)。恒星誕生の過程における林フェーズの発見、恒星の進化に関する林-蓬茨-杉本(HHS)論文、太陽系生成の京都モデル、ビッグバンでの元素生成理論などの業績がある。京都市生まれ、東京帝国大学理学部物理学科を卒業、京都大学湯川秀樹研究室助手になり、宇宙物理学教室でビッグバン元素合成の研究を行った。中間子やニュートリノの素粒子論を導入して陽子と中性子の混合から元素合成が出発することを示し、ガモフ(G. Gamow)などの理論を訂正した。またその結果をもとに、星の進化と元素の起源に関するいわゆる武谷-畑中-小尾(THO)理論と論争している。研究室では恒星進化を内部構造計算で系統的に追跡した。その際、星全体に対流が発達して重力収縮エネルギーを能率よく放つため、温度がほぼ一定で光度が高い時期があることを発見した。それより表面温度が低いと星にならないので、HR図上でその領域は林の禁止領域と呼ばれ、高光度にある時期は林フェーズと呼ばれた。さらにその研究を基礎にして、太陽系がガスとダスト原始太陽系円盤からできる過程を調べ、京都モデルをつくった。主宰した天体核研究室では多くの研究者を養成した。英国王立天文学会エディントンメダル、日本学士院恩賜賞、文化勲章受章。
日本天文学会では、林忠四郎博士が1995年に第11回京都賞を授与されたのを記念し、同博士からの寄付金を基金として1996年から、「天文学の分野において独創的でかつ分野に寄与するところの大きい研究業績に対して」林忠四郎賞を授与している。
これまでの受賞者: https://www.asj.or.jp/jp/activities/prize/hayashi/recipients/

 

「天文月報」追悼記事
http://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/2010_103_06/103_394.pdf

磁場を持つ惑星の極域に見られる大気の発光現象。惑星磁気圏中のプラズマ粒子が、磁力線に沿って惑星に降下して大気粒子と衝突すると、大気粒子を励起し、励起状態から戻るときに発光する。降下粒子の種類及びエネルギーと大気粒子(原子、分子、イオン)の種類によってX線から赤外線までさまざまな波長域の光が放出される。出現しやすい場所は磁気緯度がほぼ一定の、惑星磁極を取り囲むリング状の領域なのでオーロラ帯と呼ぶ。

以下では地球のオーロラについて解説する。太陽からのプラズマの流れである太陽風は常に地球に吹き付けており、地球磁場と相互作用して、その中の粒子は磁気圏の夜側に広がるプラズマシートと呼ばれる領域を中心に溜まっている。プラズマシート中のプラズマ粒子が何らかのきっかけで磁力線に沿って加速し、地球大気の電離圏に高速で降下することがある。この高速粒子が大気粒子と衝突すると、大気粒子が励起されそれが元の状態に戻るときに発光する。

オーロラは地表からの高度100 km から500 km の電離圏内に現れる。この高度での地球大気の主成分は、窒素分子、酸素分子、酸素原子であり、上空に行くほど軽い酸素原子と窒素分子の割合が大きくなる。可視光のオーロラは主に電子の降下による発光で、酸素原子による赤色(波長630 nm)と緑色(558 nm)のオーロラが卓越している。緑のオーロラの最も明るい部分は高度110 km 付近、赤いオーロラの最も明るい部分は250 km 付近である。

宇宙から地球を見た時に、「その瞬間瞬間にオーロラが現れている場所」はオーロラ帯とは異なり、昼間側では「オーロラ帯」よりも高緯度側にシフトした卵型(オーバル)をしているので、オーロラオーバルと呼ばれる。地球の磁気圏の形は、太陽活動(太陽風の強度)や太陽風の中の磁場の向きなどにより常に変動している。したがって、オーロラは太陽の活動と密接に関係している。黒点フレアが多く太陽活動が活発な時期には、プラズマシートの密度が高くなりオーロラオーバルが明るくなって、普段はオーロラが見えない低緯度地域でもオーロラが見られることがある。2024年5月11日には日本各地で低緯度オーロラが見られた。オーロラが低緯度でも見られるということは、大量のプラズマが低緯度地域にも侵入しているので、地磁気が乱れる磁気嵐による通信障害や送電網への悪影響などの災害にも注意が必要である。

地球以外でも、木星土星天王星海王星などにオーロラは観察されており、大気と固有磁場を保有する惑星では普遍的な現象である。木星では、太陽系最大の磁気圏中にイオという粒子源があるため、広い波長にわたりさまざまなオーロラ発光が観測されている。太陽系外惑星でも磁場と大気を持つ天体であれば、オーロラは存在する可能性が高い。固有磁場のない火星では、オーロラは存在しないと考えられていたが、マーズエキスプレス探査機は、火星の残留磁場による紫外線のオーロラを発見した。

 

 

 

大きな太陽系外縁天体冥王星型天体の一つ。2005年に、カリフォルニア工科大学のマイケル・ブラウンらのグループが、パロマーシュミット望遠鏡で2003年に撮影した画像の調査から発見した。1989年にUKシュミット望遠鏡で撮影された写真乾板にも写っていることがわかり軌道計算が行われた。その結果、海王星より遠方にあることがわかり、後に冥王星に近い大きさであることもわかった。エリスと命名される以前は2003UB313という仮符号で呼ばれていた。エリスの発見が惑星の定義が改訂される一因となった。

軌道長半径離心率軌道傾斜角はそれぞれ 68.0 au、0.434、43.9° である。近日点距離、遠日点距離はそれぞれ38.5 au、97.6 auである。現在は遠日点付近をゆっくりと移動している。エリスは太陽系外縁天体の中では、海王星などの重力散乱の影響で軌道離心率、傾斜角が大きくなった散乱円盤天体に属する。

ハッブル宇宙望遠鏡の観測などをもとに推定されている直径は2326 kmであり、冥王星よりは少し小さい。2006年にはエリスに衛星が発見されて、その後エリスの命名と同時にディスノミア(Dysnomia)と命名された。エリスはギリシャ神話では不和の女神であり、ディスノミアはその娘の無法の女神である。エリスの発見が惑星の定義をめぐる争いを引き起こしたことも、この命名の理由と言われる。ディスノミアの軌道から求められたエリスの平均密度は2500 kg m-3で、冥王星よりも大きい。軌道要素も参照。

1940年カースト(D. Kerst)によって開発された、磁場を変化させて生じる誘導起電力によって電子を加速する加速器がベータトロンであるが、同じ原理で、天体において変化する磁場により電子が加速される機構をベータトロン加速と呼ぶ。宇宙線加速フェルミ加速衝撃波加速も参照。

マグマオーシャン仮説を参照。

土星のリング(環)の主要リング(A, B, Cリング)のうち一番外側のAリング中にある、幅約325 kmの溝状の構造。溝中に軌道をもつ小衛星パンが、周囲のリング粒子を重力作用により跳ね飛ばすことによって、この構造を形成維持している。カッシーニ探査機はエンケの間隙とパンの詳細な観測を行い、パンがエンケの間隙の縁に作る詳細な波状の構造を明らかにした。Aリングのエンケの間隙近傍の領域には、Aリングの外側の軌道を回る衛星の重力作用によって生成される密度波が数多く観測されている。エンケの間隙には物質がまったく存在しないわけではなく、小粒子からなる薄いリングが間隙中に観測されている。エンケの間隙と同様の機構により形成された溝構造として、同じく土星Aリング中のキーラーの間隙がある。これは幅約42 kmの溝で、小衛星ダフニスによって維持されていることがカッシーニ探査機の観測によって明らかにされた。カッシーニの間隙も参照。

国際日付変更線を参照。

地球型惑星は集積段階で、微惑星集積により解放される重力エネルギーを原始大気の保温効果などにより取り込むことで、溶融状態にある。これをマグマオーシャンと呼ぶ。その中で、金属質物質は中心に沈み中心核を形成し、その際に解放される重力エネルギーは天体を溶融状態に保つのに使われる。やがて天体集積速度が遅くなると、マグマオーシャンは冷却を始め、その段階でマントル内部の成層構造や原始地殻が形成される。
アポロ計画からもたらされた多様な岩石の分析から、斜長岩地殻の下にカンラン石と輝石を主成分とする下部地殻とマントルが存在するという月の内部構造が提案され、マグマオーシャン仮説はこれを説明するために考案された。厚い斜長岩地殻をつくるためにはAl, Caを効率よく集めなければならない。
月が表層から数100km以上溶融して深いマグマオーシャンが形成されたと考える。冷却にともない結晶が析出する。最初に凝固点が高く密度が大きいカンラン石と輝石がマグマオーシャンの底に沈む。これらの鉱物はAl, Caを取り込まない。マグマ中のAl, Ca濃度が十分に高くなると密度の小さい斜長石が析出して浮上し、斜長岩地殻を形成する。最後に固化したマグマにはイオン半径の大きい希土類元素などが濃集して、KREEP岩(カリウム、希土類元素、リンなどの濃度が高いためK-REE-Pと名付けられた)のもとになる層を作る。
質量の小さな月では微惑星集積の重力エネルギーは小さいため、マグマオーシャンを形成する熱源が問題であったが、巨大衝突説による月形成モデルでは、溶融状態から月が生まれたことは必然となっている。
火星よりも大きな地球型惑星では、マグマオーシャンの維持に原始大気の保温効果が重要な役割を果たしたと考えられている。

土星から23万8000 kmのところを周回している直径500 kmの衛星。エンケラドス、エンケラドゥスとも書く。氷に覆われている反射率の高い天体で、質量は1.08x1020 kg、密度は1610 kg m-3 である。エンセラダスの表面は、衝突クレーターの多い古い地域(北半球)と、クレーターが少なく割れ目のある新しい地域(南半球)に分かれる。ボイジャー探査機は、エンセラダスに氷地殻の水平運動による横ずれ断層を発見している。

土星との潮汐作用によりエンセラダス内部が潮汐加熱されて南極域に地下海が存在すると推測されていたが、カッシーニ探査機の観測から、南極付近の割れ目タイガーストライプス(Tiger Stripes)は周囲よりも温かく、地下海の海水が間欠泉プルームとして噴き出されていることがわかった。カッシーニ探査機はそのプルームの中を飛行して噴出物を分析した。プルームはガスと固体粒子からなる。ガスは大部分が水蒸気である。固体粒子には水の氷の他に有機物やケイ酸塩。炭酸塩などが含まれている。また、地球上では温泉などの熱水環境で作られるナノシリカ粒子も含まれていた。エンセラダスの地下海は生命の存在環境の有力候補となっている。また、エンセラダスから放出されたダストは、土星のEリングの源になっている。

 

参考:3Dモデル https://science.nasa.gov/saturn/moons/enceladus/

地球上のある地点における鉛直線の方向は、概ねその地点の測地学上の経度・緯度の基準となる準拠楕円体(地球の形状、より正確には地球の等重力ポテンシャル面であるジオイド面に近い回転楕円体のこと)に降ろした垂線の方向に近い。しかし、鉛直線の方向は重力の働く方向であるから、局所的な密度分布の違いによって両者にずれが生じる。このずれのことを鉛直線偏差と呼ぶ。天文経緯度と測地経緯度の差といってもよい。

線形重ね合わせの成り立たない系に特徴的な効果のこと。非線形成長も参照。