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土星

小

よみ方

どせい

英 語

Saturn

説 明

土星は巨大ガス惑星の一つである。軌道長半径は約9.6 au、質量は地球質量の約95倍、自転周期は約10時間半である。平均密度は 690 kg m-3であり、惑星の中で最小である(常温常圧の水よりも小さい)。
内部構造は木星と似ており、中心に岩石からなるコア、その周りに金属水素の層があり、外層は水素とヘリウムを主成分とすると考えられている。木星と同様、土星の外層大気も帯状の構造を持つが、木星ほど明確ではない。また木星と似た楕円状の渦構造も観測されているが、木星の大赤斑のように長期間持続するものではない。北極を中心にして、一辺が地球の直径ほどの大きさの六角形の模様が見られるが、その起源は明らかではない。土星は磁場を持っているが、木星ほど強力なものではない。
2023年8月末時点で86個の衛星が確認されている(国際天文学連合IAUによって登録番号がつけられているのは66個)。このうち、タイタンが飛び抜けて大きく、土星の衛星総質量の9割以上を占める。その他の衛星は氷を主成分とする。このうち、エンセラダスは氷微粒子のジェットを噴出していることがカッシーニ探査機の観測により明らかになった。
土星の大きな特徴は、立派な環を持っていることである。主要リングと呼ばれる最も明るい部分は、外から順にA, B, Cリングと名前が付けられており、AリングとBリングの間の間隙はカッシーニの間隙と呼ばれる。Cリングの内側には、さらに希薄なDリングがあり、Aリングの外側には、羊飼い衛星により細い形状が保たれているFリングがある。さらに外側にはダストからなる希薄なG、Eリングがある。Eリングはエンセラダスの軌道を中心とする幅広い領域に広がっており、エンセラダスから噴出する氷微粒子が起源である考えられている。最近、土星半径の200倍以上の軌道を逆行方向に公転する衛星フィービーの軌道のすぐ内側から広い領域に広がる非常に希薄なダストリングが発見され、フィービーへの隕石衝突により生成されたダストが起源だと考えられている。


Farewell to Saturn: Highlights from the End of NASA’s Cassini Mission

https://youtu.be/kBfFSMAK-V0

2023年06月19日更新

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    関連画像

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    カッシーニ探査機が2004年に撮影した土星(NASA)
    https://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/pia05389
    土星の環の傾きの変化 2014年6月27日、石垣島天文台
    土星の環の傾きの変化 2010年7月4日、石垣島天文台
    カッシーニ探査機による土星の環の広がりを示す画像。構造の名称も記載されている。
    https://saturn.jpl.nasa.gov/resources/4381/a-full-sweep-of-saturns-rings-with-labels/ (クレジット:NASA)にある図を元に作成。