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分光器

高

よみ方

ぶんこうき

英 語

spectrometer

説 明

天体からの光(電磁波)を分光することにより、波長ごとのエネルギー分布であるスペクトルを測定する装置。スペクトルから天体の組成や物理状態や運動を調べることができる。大きく分散型と非分散型に分けられる。
分散型分光器の基本構成は入射スリット、コリメータ、分散素子、カメラ、検出器である。まず、望遠鏡焦点面に置いた入射スリットによって入射光を細長い領域に限る。スリットから広がって行く光をコリメータ(レンズやミラー)によって平行光にした後、分散素子によって波長ごとに進行方向を異なる方向に曲げる(分散)。分散された光をカメラによって結像させると、波長ごとに異なる位置に焦点を結び、スペクトルを得る。分散素子としてプリズムを用いるものはプリズム分光器、回折格子(グレーティング)を用いるものはグレーティング分光器という。また、グレーティング分光器の一種として主に高波長分解能の分光器として用いるエシェル分光器がある。
非分散型の分光器としてはフーリエ分光器ファブリー-ペロー分光器などがある。

2019年09月11日更新

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    * 全反射型グレーティング分光器の光学系配置図とパラメータ間の基本関係式(岡村定矩氏提供)
    原図は G. Walker, ‘Astronomical Observation’ (Cambridge Univ. Press) より
    * レンズを用いたプリズム分光器の原理図。(原図は前原英夫氏による http://www.kcv.ne.jp/~maehara1/HP105.htm)