天体の位置について研究する天文学の一分野。最近はアストロメトリと呼ぶことが多くなった。アストロメトリを参照。
天体の位置は最寄りの位置基準となる天体との相対的位置関係により決定される。その際、位置基準として用いられる天体が位置標準星で、 位置基準星ともいう。天体の精密位置を決める際の基準となる星。その位置は固有運動の情報などとともにカタログ化されている。代表的なものとして、可視光ではFK5カタログ、ハッブル宇宙望遠鏡のポインティング用に作られたGSC、ヒッパルコス衛星によるヒッパルコスカタログ、アメリカ海軍天文台によるUCAC、USNO-A2.0 などのカタログがあり、近赤外では 2MASS カタログが用いられる。近年、撮像装置の広視野化が進み、多くの位置標準星を同時に用いて精度の高い位置決定が可能となっている。
コンプトンガンマ線衛星を参照。
光解離領域を参照。
炭素原子と酸素原子が1個ずつ結合した分子である。永久電気双極子モーメントを持つため電波のミリ波領域に回転エネルギー準位間の遷移による輝線を放射する。星間空間では水素分子(H2)の10-4 程度の存在量であるが、他の分子よりはるかに多いことと、電気双極子モーメントが小さいために熱平衡状態になりやすいことから比較的強い輝線を放射し、分子雲の主要な観測手段となっている。12COだけでなく13COやC18Oなどの同位体を含む分子からの輝線も観測される。CO(J=1-0)輝線が観測されるための臨界密度は103 cm-3 程度であるが、光学的厚みが大きいので、実際には102 cm -3 程度の低密度でも観測される。
クェーサーを参照。
1989年に打ち上げられたアメリカの人工衛星で、Cosmic Background Explorer(宇宙背景放射探査衛星)の頭文字を取ってCOBE衛星と呼ばれた。
FIRAS(Far-Infrared Absolute Spectrometer; 遠赤外絶対分光計)、DMR(Differential Microwave Radiometer; 差動型マイクロ波測定器)、DIRBE(Diffuse Inrared Background Experiment; 拡散赤外背景放射実験装置)と呼ばれる3つの検出器が搭載され、FIRASとDMRによって宇宙マイクロ波背景放射(CMB)、DIRBEによって宇宙赤外線背景放射が測定された。特に、FIRASによってCMBが高い精度で温度2.725±0.002 Kの黒体放射であることが示され、DMRによってCMBの全天に渡る温度分布のゆらぎが10万分の1 Kの精度で決定された。WMAP衛星、プランク衛星も参照。
ホームページ:https://lambda.gsfc.nasa.gov/product/cobe/
歳差を参照。
アインシュタイン(A. Einstein)が特殊相対性理論提唱の10年後、1915年から16年にかけて到達したニュートン(I. Newton)の重力理論にとってかわる重力理論である。ニュートンの理論では重力は遠方まで届く遠隔作用でその伝搬速度は無限大となる。これは明らかに特殊相対性理論と矛盾する。重力の法則を特殊相対性理論と矛盾しないように拡張した理論が一般相対性理論である。
特殊相対性理論では個々の観測者の測る時間の進みと空間尺度は絶対性を失い、ミンコフスキー時空上の座標系の選択にすぎなくなったが、ミンコフスキー時空は絶対的な存在とみなされる。一般相対性理論ではミンコフスキー時空すら絶対性を失い、力学的自由度をもって運動することになる。したがって重力の存在はミンコフスキー時空からのずれとして幾何学的に表される。ミンコフスキー時空からのずれを時空の曲がり(あるいは時空のゆがみ)と表現する。時空の曲がりは4次元では20個の独立な成分をもったリーマンテンソルで表される。リーマンテンソルが重力場の数学的な表現である。物理法則はこの曲がった時空上の任意の座標変換に対して不変な形で表されるという要請(一般相対性原理)から導かれるのが一般相対性理論である。
一般相対性原理を満たす時空の曲がりを規定する方程式がアインシュタイン方程式で、物質のエネルギーと運動量の分布を表すエネルギー運動量テンソルからリッチテンソルを決める式である。リッチテンソルはリーマンテンソル(4次元では20個の独立成分をもつ)から作られるが、独立な成分が4次元では10個であるため、リーマンテンソルのすべての成分を規定することができない。すなわち物質が存在しない状況(真空)でも時空は曲がり、重力場が存在できる。例えば重力波やブラックホールはアインシュタイン方程式の真空解であり、天文学的にも非常に重要な解である。現在までのところ一般相対性理論と矛盾する実験や観測は知られておらず、天文学では一般相対性理論が正しいいとして観測事実を解釈することが行われている。たとえば重力レンズ現象では、レンズにより歪められた像の観測から重力源(レンズ天体)の質量分布を決定したり、重力波の観測から連星系の質量や軌道運動を決定したりする。
天の川銀河(銀河系)の中心に対応する電波天体。地球から見ていて座の方向に見える。初期の電波観測ではいて座で最も強い電波源であったため、この名で呼ばれるようになった。分解能が高い観測が行われるようになると、電波放射の特徴および形態から3つの部分に分けられるようになり、今では、電波アークとアーチ状フィラメントとを除いた銀河中心を含む部分だけをいて座Aと呼ぶ。そこにある直径3分角ほどの環状の電波源は超新星残骸、その西寄りにある点状電波源いて座A*が天の川銀河の中心にあるブラックホールに対応する。いて座A*周囲では回転するガス円盤と落ちつつあるガスによる渦状の天体(いて座A*ないしミニスパイラルと呼ばれる)が電波や赤外線で観測されている。
急冷炭素質物質を参照。
望遠鏡の観測装置焦点面に投影した天球上の角度縮尺のこと。通常、焦点面上の1ミリメートルが角度の何秒に相当するか、すなわち、角度秒/ミリメートル(arcsec mm-1)の単位で表す。写真乾板(フォトグラフィックプレート)が天文学の主たる検出器であったことを反映して、プレートスケール(あるいは乾板縮尺、乾板スケール)ともいう。またCCDに代表される近年の電子的二次元検出器では1ピクセル(画素)が角度の何秒に相当するかを表すピクセルスケール(画素スケール)という概念も使われる。イメージスケールは望遠鏡の焦点距離のみで決まり、焦点距離を $f$ (m)とすると $\frac{206}{f}$ [arcsec mm-1] となる。
距離指標を参照。
望遠鏡焦点面上の天体像を複数の短冊状に分割して、分光器の入射スリットに導入する光学素子。ボウエン-ウォルラーベン型とリチャードソン型に大別される。ボウエン-ウォルラーベン型は焦点面に配置した細長い斜平面鏡群と対向するプリズムまたは反射鏡により、二次元像を短冊状にスライスしてスリット上に一列に再配置する光学系で、恒星分光だけでなく拡がった天体の分光に用いることもできる。リチャードソン型は、一対の円柱レンズを用いて星像に非点収差を発生させ、各レンズの曲率中心をスリット幅分ずらすことによって非点収差像を順次シフトさせ、スリットからあふれた星像の光を最終的にはスリットに導入する光学系で、主に恒星分光に用いられる。
降着円盤内の降着流のモデルの一つで、移流が優勢なもの。英語のAdvection-Dominated Accretion Flowを略してADAFともいう。(乱流や熱拡散などを伴わない流れを移流という。)
高温で低密度のガス流は放射冷却が効かないので中心に向かって降着するにつれてガスはさらに高温になる。すると粘性が大きくなり角運動量の輸送効率が高まる。こうして降着速度は自由落下速度くらいまで大きくなる。重力エネルギーの解放により発生した熱は、放射で失われるのではなく、高速ガス流に乗って中心天体へと運ばれる。放射が非効率的な降着流(放射非効率降着流)を一般にRIAF(radiatively inefficient accretion flow)というが、ADAFはその一種である。
太陽などの天体が放射する光の放射強度の波長(または周波数)分布を黒体放射で近似したときの、その黒体放射の温度のこと。色温度が高くなると青く見え、低くなると赤く見える。太陽光の色温度は有効温度5780Kと概ね一致する。
屈折率と色分散の異なる複数のガラスを用いて、像位置色収差と倍率色収差を複数の波長で打ち消すように設計したレンズ系。1733年に英国のホール(C.M. Hall)がクラウンガラスとフリントガラスを用いて初めて色消しレンズを発明したが特許出願をしなかった。特許は1758年にドロンド(J. Dollond)が取得した。フラウンホーファー(J. von Fraunhofer)が色消しレンズを用いた望遠鏡の実用化に貢献した。
大部分の銀河は中心部から外側に行くにつれて色が単調に変化する。多くは外側ほど青いが、矮小銀河などでは逆の傾向のものも存在する。このような、動径方向の色の(単調な)変化のことを色勾配という。一般に色は色指数(等級差)で表示され、赤い色ほど値が大きい。したがって、動径が増すにつれて色が赤くなる場合を正の勾配、青くなる場合を負の勾配と呼ぶ。色勾配を生じさせる主な原因は、動径方向における星の金属量の変化(金属量勾配、重元素量勾配)と星の平均年齢の変化(年齢勾配)である。金属量が多く、平均年齢が高いほど、色は赤くなる。楕円銀河の負の色勾配は主に、外側ほど金属量が低くなる金属量勾配によるものである。星の平均年齢は外側ほどむしろ高く、金属量勾配の効果をやや打ち消しているらしい。一方渦巻銀河は金属量も年齢も外側ほど低い傾向があり、負の色勾配を生じさせる。ただし星の年齢と金属量を互いの影響を受けずに正確に測ることは容易ではないため、結果の解釈には注意も必要である。
測光システムにより定義される異なるバンドで測定された等級の差。短い波長帯での等級から長い波長帯での等級を引いた値で(等級は明るいほど小さくなるため)、色指数が小さいほど高温で青く(シリウスはB-V=0.00)、大きいほど低温で赤い天体(ベテルギウスはB-V=1.85)となる。通常の主系列星は、Bバンド(青)からVバンド(緑)付近でスペクトルの強度が最大となるため、B-V の値がよく用いられる。より高温の超巨星などではUバンド(近紫外域)を、より低温の赤色巨星などではRバンド(赤)やIバンド(近赤外域)を含めた色指数が有効となる。黒体放射も参照。
