放射量度のこと。この語「エミッションメジャー」をそのまま用いることも多い。
表面温度が1万度から3万度の恒星はB型星に分類されるが(スペクトル型(星の)を参照)、その中で水素輝線を示す(または、以前に示した)ものを特にBe型星(eはemission lineの意味)と呼ぶ。高速で自転し、遠心力によって放出されたガスが恒星の周りに円盤状に分布していると考えられている。ガスの放出は定常的ではなく、活発に放出を起こす期間と比較的静的な期間を繰り返す。また、ほとんどのBe型星は、周期およそ1〜0.5日程度の準周期的光度変化を示す。X線連星系のパルサーの伴星はBe型星であることが多い。スペクトル分類(星の)も参照。
1 重力マイクロレンズを参照
2 マイクロレンズアレイを参照。
フリッカ雑音を参照。
1988年に刊行された星表で、1976年から国際天文学連合(IAU)が制定した天文定数系の採用や春分点の位置の補正が行われるなど、FK4カタログから大きな改訂がなされた。FKとはドイツ語のFundamental Katalogに由来し、このシリーズの5番目ということでFK5の名がある。2000年にはFK6カタログが出版された。FKシリーズは長らく基本星表として用いられてきたが、現在その役割はヒッパルコスカタログ(ヒッパルコス衛星を参照)にとって代わられている。
フーリエ変換を使うスペクトル解析などの分野で、無限区間で定義されている関数 f(x) (-∞<x<∞)の有限区間(a ≦ x ≦ b)だけを取り出すために用いられる関数。窓関数 w(x) は
w(x) ≠ 0 (a ≦ x ≦ b)、
w(x) = 0 (x < a または x > b)
という性質を持つので、g(x)=f(x)w(x) は区間 (a ≦ x ≦ b)でのみ値を持ち、その外では0となる。最も単純なものは 区間 (a ≦ x ≦ b)で w(x)=1 とする矩形窓である。
実際には g(x)=f(x)w(x) のフーリエ変換から求めた g(x) のスペクトルから f(x) のスペクトルを復元するので、具体的な問題ごとに適切なさまざまな窓関数が考案されている。
矩形窓のほか、ガウス窓、ハン窓、ハミング窓などがある。
宇宙項(宇宙定数)がなく圧力も無視できる宇宙において、曲率がゼロで平坦な宇宙の密度を指す。この場合の宇宙は、膨張の運動エネルギーとポテンシャルエネルギーがちょうどつり合っており、膨張速度は次第に小さくなるが、永遠に膨張を続ける。任意の時刻における宇宙の臨界密度はその時刻のハッブルパラメータ
フェルミ粒子には、素粒子の性質の一つであるカイラリティが、右巻きのものと左巻きのものと2種類存在するが、カイラリティが同じものを組み合わせてできた質量項をマヨラナ質量と呼ぶ。一方、左巻きと右巻きを組み合わせて作った質量項をディラック質量と呼ぶ。ディラック質量項は、そのフェルミ粒子が持っているチャージ(たとえば、レプトン数)を保存するが、マヨラナ質量項があるとチャージ保存が破れる。したがって、標準理論のフェルミ粒子でマヨラナ質量を持ち得るのは、電荷を持たないニュートリノだけである。
常微分方程式の初期値問題の数値解を求める方法の1つ。微分方程式自体と、独立変数
電波銀河の多くでは、中心核から吹き出すジェットの先端に、プラズマの流れが銀河間ガスでせき止められてできるローブと呼ばれる電波で明るい丸い構造が中心核に対して対称的に2つ存在するが、そのローブの形状によって分類したタイプのこと。
ローブの付け根である中心核と接続するあたりが明るく、外側に向かって暗くなるものをFR I型、ローブの外側の縁が明るく、その縁にホットスポットと呼ばれる明るく輝く点が見られるFR II型がある。この分類を行ったファナロフ(B.L. Fanaroff)とライリー(J.M. Riley)の名前にちなんでこう呼ばれる。
ハーバード分類で表面温度の系列に属する高温の星。表面温度は~29,000(K)。質量は太陽の約2.5-12倍。水素のバルマー線は中間。主な吸収線は、中性ヘリウム線(HeI)、電離炭素(CII)、酸素(OII)、ケイ素(SiII)の線など。例、エリダヌス座のアケルナル B3。
スペクトル型(星の)を参照。
一般相対性理論によれば時間と座標はばらばらに扱うことはできず、座標系ごとに時刻を定義できる。太陽系準拠系における力学時は太陽系力学時(TDB)、地心準拠系における力学時は地球力学時(TDT)と呼ぶ。両者には1ミリ秒程度の周期的な差があるが、平均的な歩度(進み具合)は等しく、単位は国際単位系の1秒である。
太陽系力学時は惑星や準惑星、太陽系小天体の運動など、太陽を周回する運動の記述に、地球力学時は人工衛星など、地球を周回する運動を記述するのによく使われる。なお、地球力学時は地球時(TT)と実質的に同一である。
過去の資産がたくさんあるので力学時の使用は禁止されてはいないが、現在では座標時の使用が推奨されている。これは、太陽系準拠系と地心準拠系では時間の進み具合が異なるにもかかわらずどちらも国際単位系の1秒を基準としていることにより、両者の時間や長さのスケールが食い違い、天文定数が「定数」でなくなるなどの問題点があるからである。天文定数系も参照。
サイズと質量が小さな銀河の総称。一般にUBV測光のBバンドでの絶対等級が-18等程度より暗いものをいう。 表面輝度も巨大銀河に比べて暗い。矮小銀河は、矮小楕円銀河(記号dE)、矮小楕円体銀河(記号dSph)、矮小不規則銀河(記号dIまたはdIrr)、青色コンパクト矮小銀河(記号BCD)、非常に暗い矮小銀河(記号UFD)に大別される。
矮小銀河は暗いので、その研究は局所銀河群中の矮小銀河から始まった。サンデイジを中心に行われた、ラスカンパナス天文台の2.5 m イレーネ・デュポン望遠鏡によるおとめ座銀河団の大規模写真サーベイ(ラスカンパナスサーベイ:1979-86)に基づく研究により、局所銀河群以外の矮小銀河研究の道が開かれた。カナダ-フランス-ハワイ望遠鏡を用いたCCDによるおとめ座銀河団サーベイ(次世代おとめ座銀河団サーベイNGVS:2012-)ではラスカンパナスサーベイで見つかったものよりずっと暗い矮小銀河が多数見つかっている。また、スローンデジタルスカイサーベイやハイパーシュプリームカムによるサーベイでも多数の矮小銀河が見つかり、矮小銀河の研究は近年活発におこなわれている。
旧ソ連が1960-70年代に行った火星探査プロジェクト。マルスと名前がついているのは打ち上げに成功した1号から7号までだが、そのほかに打ち上げに失敗した衛星が多数ある。
地球から火星への探査機の打ち上げ機会は、ほぼ2年おき(780日)である。1960年に2機の火星探査機の打ち上げに失敗した後、1962年に打ち上げたマルス1号は、火星へ到着する前に通信が途絶した。1962-71年の間に7機の火星探査機が失敗した後、1971年に火星表面への軟着陸を目指してマルス2号、3号が打ち上げられた。2号の着陸船は大気突入時に破壊されたか地上に衝突して失敗、3号の着陸船は12月2日に着陸に成功したが、ノイズの多い画像を1枚送信しただけに終わった。質量分析器やローバ(車輪ではなくスキー板状の駆動機構を持っていた)による観測データは得られなかった。2号、3号の軌道船は火星周回軌道に入り、火星表面や大気の画像を取得している。1973年には4機の火星探査機(マルス4, 5, 6, 7号)の打ち上げに成功したが、電子回路などのトラブルにより当初の目的を達成することはできなかった。マルス4号は火星周回軌道に入れなかったが、5号は周回軌道に入り2週間ほど、火星表面の撮像を行った。マルス6号は火星表面に着陸したが、おそらく着陸時の衝撃のため通信が途絶。マルス7号は、着陸軌道に入ることができなかった。相次ぐ失敗のため、ソ連はターゲットを火星から金星にむけ、ベネラ計画を推進することになった。
光が伝搬するための媒質と考えられていたエーテルの存在を示すためにマイケルソン(A. Michelson)とモーリー(E. Morley)によって1887年に行われた実験。エーテルが光を伝える媒質で、地球がエーテルに対して運動している場合には、地球の運動方向とその垂直方向では光が等距離を往復しても要する時間が異なることを、 光の干渉を用いて検出しようとした。その後の精度を高めた実験により、結果的にエーテルの存在を否定することになった。
ハーバード分類で表面温度の系列に属し、A型星よりも低温の星。表面温度は~7,200(K)。質量は太陽の1.25倍程度。水素のバルマー線は中間。主な吸収線は中性金属線、電離金属線、カルシウムH、K線。例、カノープス F0。
スペクトル型(星の)を参照。
F値またはf値とも言う。口径比を参照。
アンドロメダ銀河のこと。メシエカタログの31番目の天体。NGCカタログではNGC 224。銀河であることがわかるまではアンドロメダ星雲と呼ばれていた(大論争を参照)。局所銀河群に属する渦巻銀河で、天の川銀河(銀河系)と並ぶ局所銀河群で最大の銀河である。太陽系からの距離は769±29 kpcで、絶対等級はMv=-21.2等。中心核が2つに分裂しているように見えることがわかっているが、星間塵の影響で見かけ上2つに見えるだけなのか、過去に矮小銀河が合体した最後の痕跡なのかは未だわかっていない。天の川銀河とは異なり、外縁部を除くと円盤部も比較的古い星が多く、星間分子ガスも外縁部以外にはわずかしかない。金属量の銀河内位置による違いが少ないことや、ハローに分布する星が不規則な構造を示していることなどから、M 31は多数の矮小銀河が合体してできたことが示唆される。また、天の川銀河での高速度雲に対応すると考えられる中性水素原子ガスの構造も見つかっており、G型矮星問題と合わせて、銀河外からの物質の降着が今も進行中であることを伺わせる。M 32とNGC 205という2つの小さな楕円銀河が周囲を巡っている。
米国ハワイ州ハワイ島の北部にある標高4205 mの山。裾野にあたる太平洋の海洋底から測ると、10203 mの高さがあり、山体としては世界で最も高い山である。山頂平原には多数の噴石丘があり、最高点であるプウ・ヴェキウは噴石丘の1つである。山頂付近は世界で最も天体観測に適した場所の一つで、日本のすばる望遠鏡を含めた世界各国の13台の望遠鏡が設置されている。これらの望遠鏡群はマウナケア国際天文台群と呼ばれる。 冬期間には雪が降る悪天候が数日以上続くこともある。
宇宙科学研究所が開発と運用を行ってきた3段式の固体燃料ロケット。1997年2月12日に1号機が電波天文衛星「はるか衛星」を鹿児島宇宙空間観測所(内之浦)から打ち上げた。全長は30.8m、直径は2.5mで、低軌道への打ち上げ能力は1.85tであった。2006年9月23日の太陽観測衛星「ひので衛星」の打ち上げを最後に利用を終了した。この間、4号機(X線天文衛星(ASTRO-E))の失敗を除き、4つの天文観測衛星と2つの惑星探査機を成功裏に打ち上げた。