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相対性理論

高

よみ方

そうたいせいりろん

英 語

theory of relativity

説 明

量子力学と並ぶ現代物理学の基礎理論である。研究者は相対論と呼ぶことが多い。量子力学が物質の根源的な構成要素である素粒子の法則を扱うのに対して相対性理論は、物体の運動の舞台である時間と空間を対象とする。
相対性理論の登場以前の古典物理学(ニュートン力学)においては、時間と空間は物理学の対象ではなく観測者や物体の運動に無関係な絶対的な存在であった。その意味で、ニュートン(I. Newton)の「絶対時間」、「絶対空間」と呼ばれることもある。19世紀末、光速度不変の原理(あらゆる慣性系で光速度が一定であること)の発見によって、時間と空間の絶対性は崩れた。それを受けて、時間の進みと空間の尺度は観測者の運動に依存するとして物理学の体系を書き直した理論が相対性理論である。相対性理論では個々の観測者が測定する時間と空間は時空と呼ばれる4次元連続体上の座標として表され、物理量は4次元時空上で定義され、物理法則はどの座標系においても同じ形をとるとされる。
相対性理論には特殊と一般があり、いずれもアインシュタイン(A. Einstein)によって定式化された。特殊相対性理論重力以外の物理法則を扱い、4次元時空は不変で絶対的意味を持つ。それに対して一般相対性理論は重力を扱う。一般相対性理論では4次元時空ですら力学的自由度をもち、「時空が曲がる」あるいは「時空がゆがむ」と表現される。時空の曲がりが重力場とみなされる。
従来相対性理論は、光速度に匹敵するほどの速い速度の運動や非常に重力が強い状況でのみ有用とされてきたが、カーナビゲーションでは特殊相対性理論の時間の遅れと一般相対論的な時間の遅れの両方の効果を考慮してはじめて実用可能となるなど、さまざまなところで高い精度が要求される現代では、日常的にも影響のある理論となっている。

2022年07月24日更新

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