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スペクトル分類(星の)

高

よみ方

すぺくとるぶんるい(ほしの)

英 語

spectral classification

説 明

恒星のスペクトルを吸収線の種類と強度によって分類したもの。現在のスペクトル分類の基になったのはハーバード分類である。これは1901年にハーバード大学天文台キャノン(A.J. Cannon)とピッカリング(E.C. Pickering)によって提案され、後に刊行された、ヘンリードレーパー星表に採用された分類である。当初スペクトル線の見え方に基づいて整理された型であったが、それを現在の順番に並べたハーバード分類は恒星の表面温度の系列に対応することがわかった。ハーバード分類型を横軸に、絶対等級を縦軸にとったHR図は、星の構造と進化の研究の最も基礎的な手段となった。しかし、温度が同じであっても絶対等級が異なる星があることは知られていた。これを区別するための光度階級が1940年代にヤーキス天文台モルガン(W.W. Morgan)とキーナン(P.C. Keenan)によって導入され、ハーバード式のスペクトル型と光度階級を組み合わせた、MK分類が現在広く使われている。スペクトル型(星の)も参照。

2021年10月20日更新

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    * 星のスペクトル型の分類系列(ハーバード分類)。アルファベットで表す。安藤裕康「星の明るさと色」、シリーズ現代天文学第7巻、野本・定金・佐藤編『恒星』1.1節 図1.1(日本評論社)を改変。
    星のスペクトルのハーバード分類。O型ではヘリウムの吸収線が見え、B型からA型では水素のバルマー系列の吸収線(Hα~Hε)が顕著である。F型からG型にかけてはカルシウムのH線とK線が強く、K型に向かうにつれ多数の金属の吸収線で紫外部分の連続光が弱まる。M型星ではさまざまな分子とくにTiOのバンドが目立つ。
    (粟野諭美・田島由起子・田鍋和仁・乗本祐慈・福江 純 共著『マルチメディア 宇宙スペクトル博物館<可視光編>天空からの虹色の便り』裳華房に掲載の図を編集して作成。O型からK型までは主系列星(V)、M型は巨星(III)のスペクトルであることに注意)。
    星のスペクトルのハーバード分類(カラー版)。一番上のM42はオリオン大星雲(HII領域)のスペクトルで輝線スペクトルである。
    (粟野諭美・田島由起子・田鍋和仁・乗本祐慈・福江 純 共著『マルチメディア 宇宙スペクトル博物館<可視光編>天空からの虹色の便り』裳華房より引用)。
    https://www.shokabo.co.jp/sp_opt/star/list/csp_s.jpg
    星の光度階級の概念図。 大脇 直明、磯部 琇三、斎藤 馨児、堀 源一郎著「天文資料集」(東京大学出版会)1989年
    * 太陽から200パーセク以内にある約18000個の恒星のHR図。光度階級も示されている。
    安藤弘康「星の明るさと色」、シリーズ現代の天文学第7巻、野本・定金・佐藤編『恒星』1.1節 図1.4(日本評論社)(原図はSowell et al. 2007, AJ, 134, 1089)