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NGCカタログ

高

よみ方

えぬじーしーかたろぐ

英 語

NGC catalogue

説 明

デンマーク生まれでアイルランドで活動した天文学者ドライヤー(John Dreyer; ドレイヤーとも表記)が1888年に発表した、星団星雲銀河など、見かけの様子が単独の恒星とは異なる天体の天球上での位置と様相を示したカタログ。NGCは、このカタログの正式タイトルである New General Catalogue of Nebulae and Clusters of Stars(「星雲と星団の新一般カタログ」)の頭文字三つからとった略称であるが、略称の方が広く一般的に使われている。

元になったのはウィリアム・ハーシェルと妹のカロライン・ハーシェルの「星雲カタログ」をジョン・ハーシェルが拡張して作った「星雲と星団の一般カタログ」(GCと略称される; 5,079個の星雲・星団を含む)である。これを拡張したので「新」が頭についている。NGCカタログには7840個の天体が掲載されており、1860年分点での赤経順に番号が付されている。メシエカタログと同様、NGCカタログに掲載されている天体は、NGCに続けて掲載番号を付し、NGC 224などと呼ぶ。NGCカタログを補足するものとして5386個の天体を含む二つの「インデックスカタログ(Index Catalogue: IC)」が、1895年(IC I; 1520天体)と1908年(IC II; 3866天体)に出版された。ICカタログ掲載の天体はIC 10等と呼ぶ。

スレンティック(Jack Sulentic)とティフト(William Tifft)は、パロマーチャートおよび特別に南天を撮影した写真上で、NGCカタログに記載された7840個のNGC天体を精査して、1973年に改訂NGCカタログ(The Revised New General Catalogue of Nonstellar Astronomical Objects:RNGC)を出版した。精査の結果、NGC天体のいくつかは複数の天体からなることが分かった。彼らは、これらをNGC番号に続くアルファベットで表記し、それぞれの天体の原記述に加えて新たな記述を加え、誤りを訂正し、さらにパロマーチャート上の座標を加えた。複数天体を分離した結果RNGCカタログには8,167天体が含まれるが、ICカタログ掲載の天体は含まない。これらの天体はRNGCの後ろに番号を付けて呼ばれるが、RNGC番号は基本的にNGC番号と同じである。

1988年にはシノット(Roger Sinnott)が、NGCカタログとICカタログに含まれる 13226 天体全てを2000年分点の座標で記述した NGC2000 カタログを出版した。これは現在ウェッブで公開されている。また、ドイツのシュタイニッケ(Wolfgang Steinicke)は、 1980年代初頭から現在まで、NGC/ICカタログ天体に関するデータの改良と充実を継続している。そのデータは、非営利目的には自由に利用できる。沼澤茂美、脇屋奈々代は2009年に、NGC/IC天体の写真集「NGC・IC天体写真総カタログ」を発行した。
シノットによるNGC2000のサイト
https://heasarc.gsfc.nasa.gov/W3Browse/all/ngc2000.html
スタイニッケの解説サイトとダウンロードサイト
http://www.klima-luft.de/steinicke/ngcic/rev2000/Explan.htm
http://www.klima-luft.de/steinicke/index_e.htm(トップメニューの [Publications] )

2024年01月18日更新

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    * GCカタログとRNGCカタログ
    * NGC2000カタログとスタイニッケの解説サイト
    * 沼澤茂美、脇屋奈々代「NGC・IC天体写真総カタログ」(誠文堂新光社)(撮影 岡村定矩)