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メシエカタログ

高

よみ方

めしえかたろぐ

英 語

Messier catalog

説 明

18世紀に彗星を探していたフランスの天文学者メシエ(C. Messier, 1730-1817)が彗星と紛らわしい拡がった天体のカタログとして作成したもの。メシエカタログに含まれる天体は頭文字Mの後にカタログ掲載の順番号をつけて表記される。メシエは1751年からパリのクリュニー僧院跡の観測所で半世紀以上も観測を続け、生涯で13個の彗星を発見した。1774年からはメシャン(Pierre F.A. Méchain)が観測に協力した。

メシエカタログの第1版は1774年に出版され、M1~M45の45天体を含んでいた。これに対してM46~M68の23天体を追記した第2版は1780年に出版された。さらに1781年にはM69~M103の35天体を追記した最終版(M1~M103)が出版された。その後、メシエやメシャンが観測した記録のある7天体(M104~M110)について歴史家による調査確認などが行われ、1970年頃までにM1~M110の110天体をメシエカタログの天体、すなわちメシエ天体とすることが広く合意された。

メシエ天体には、超新星残骸の M1(かに星雲)、球状星団の M3、渦巻銀河の M31(アンドロメダ銀河)、輝線星雲の M42(オリオン大星雲)、散開星団の M45(プレアデス)、惑星状星雲の M57(環状星雲)、楕円銀河の M87など、明るくアマチュアにも人気のある有名な天体が含まれている。 パリから観測が難しい赤緯-35度以南の大小マゼラン雲などは含まれていない。

 

メシエ天体の一覧は本辞典の「有用な諸データの表」にある。
https://astro-dic.jp/about/table/
メシエ天体
https://astro-dic.jp/messier-objects/

2024年05月01日更新

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    現在の「国立中世美術館」(クリュニー美術館)。中央に見える塔の上にメシエの観測所があった。
    https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Paris_2012-aout-0006-2-Hotel-de-Cluny.jpg
    * メシエカタログ。カタログのページは http://www.messier.seds.org/xtra/Mcat/
    より抜粋。(作成 岡村定矩)
    メシエ天体の星図上での位置。
    https://en.wikipedia.org/wiki/Messier_object#/media/File:MessierStarChart.svg