天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3300語以上収録。随時追加・更新中!専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

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ATNF

オーストラリア電波望遠鏡国立施設を参照。

ハーバード分類で表面温度の系列に属し、B型星よりも低温の星。表面温度は~9,600(K)。質量は太陽の2倍程度。水素のバルマー線が最も強い。主な吸収線は電離金属線(MgII、SiII)。例、シリウス A1。

スペクトル分類(星の)を参照。

 

ベータモデル(銀河団ガスの)を参照。

光学系の分解能の基準の一つ。2つの近接した像点を2つであると区別できる限界として、1つの像点の回折による拡がりの第1極小点に2つ目の像点がある状態とする基準。このとき、2つの像点はそれぞれ光強度のピークとなり、その間には極小点(鞍点)が見られる。円形開口の場合は、2点間の離角 θ は、

sinθ=1.220λD

となる。ここで、λ は波長、D は円形開口の直径である。レイリー限界、回折限界あるいはレイリーの評価基準と呼ばれることもある。

A型特異星はAp星とも呼ばるA型星で、およそ1kG(0.1テスラ)以上の強い磁場を持っている。そのため最外層の乱流が沈静化されており、特定の元素が放射によって表面に持ちあげられ、化学特異星となっている。浮き上がってきた元素は、磁場の影響で表面上不均一に分布し、スポットと呼ばれる濃度の高い領域ができることが多い。その場所は自転によって我々から見え隠れするので自転周期で明るさが変化する(α^2 CVn型変光)。A型特異星は磁場の影響で角運動量を効率的に失うので、他のA型星に比べて、自転速度が遅くなっている(大半のAp星の自転周期は10日以上)。このようなゆっくりとした変光に加えて、Ap星には非動径振動による非常に速い(周期〜5−20分)変光を示すroAp(高速振動Ap型変光)星と呼ばれるグループが存在する。

 

レイリーの解像限界を参照。

補償光学系で波面測定の参照光源として利用できる明るい星が、観測対象天体のすぐ近くにない場合に、地上から高出力レーザービームを放って上空で発光する人工光源星をつくる。この人工星のことをいう。それまで明るい星のごく周辺でしか適用できなかった補償光学の適用範囲を格段に広げる方法として、1985年にフォア(R. Foy)とラベリー(A. Labeyrie)が提案した。高度20 km以下の大気中のダストや分子からレイリー散乱された光を利用する方法と、高度約90kmの上層大気中にある厚さ10 kmほどのナトリウム中性原子層をナトリウムD線で発振するレーザーで照射し光らせるナトリウムガイド星法がある。すばる望遠鏡では、ナトリウムD線で発振する和周波レーザーを開発し、2010年からナトリウムレーザーガイド星補償光学系を用いた回折限界の観測を実用化している。

ハッブル分類楕円銀河渦巻銀河の中間的構造をもつ銀河。レンズ状銀河を参照。

スローンデジタルスカイサーベイを参照。

火星に強い関心を持った天文学者ローウェル(P. Lowell)が私財を投入して1894年に設立した天文台。アメリカ合衆国アリゾナ州フラッグスタッフにある。光学技術者クラーク(A. Clark)が1896年に製作した歴史的な61cm屈折望遠鏡(現在は一般公開用)をはじめ74インチ(188cm)望遠鏡などを擁する。トンボー(C. Tombaugh)が1930年に冥王星を発見したことでも知られる。
2012年にはディスカバリーコミュニケーションズ社の出資により、口径4.3 mのディスカバリーチャンネル望遠鏡を建設した。2015年から本格的な科学観測をはじめたこの望遠鏡は、ローウェル・ディスカバリー望遠鏡と呼ばれるようになっている。ローウェル天文台は、6台の望遠鏡による天体観望など、市民に向けたさまざまな活動を展開している。
ホームページ:http://www.lowell.edu/

スペクトルエネルギー分布を参照。

ジョセフソン接合のこと。超伝導ミキサーとして使われる高周波素子で、超伝導膜(Superconductor)-薄い絶縁膜(Insulator)-超伝導膜(Superconductor)の3層構造で構成される。

表面輝度を参照。

暦(れき)の日にちにつけられている「先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口」の六つの符帳のこと。中国の民間信仰に由来するとされているがルーツは定かでない。14世紀に日本に伝わったとされるが、現在の六曜になるまでには多くの変遷があった。六曜のそれぞれには吉凶などの運勢が定められているが、その解釈も流派により異なるものもあった。本家の中国でも日の吉凶とはほとんど関わりないと考えられていたという記録もある。

明治5年の改暦に際して、旧暦にあった日の吉凶を占う暦注は禁止されたが、もともとそこに含まれていなかった六曜は禁止の対象でなかったために以後、暦注の一種として流行した。科学的根拠は全くないものだが、明治以降の市民生活にかなりの影響を与えてきた。しかし、「結婚式は大安に」などの風習を考慮しない人も次第に増えてきている。

多くの銀河団の中心に存在する巨大な楕円銀河のことで、明るさはLB~1011 L程度以上と、われわれの天の川銀河銀河系)の10倍以上になる。ヤーキス分類の一つのタイプである(ヤーキス分類の中でこのタイプのみが現在でも広く使われている)。
銀河団の重力ポテンシャルの底に位置することから、周りから銀河やガスを降着しながら大きく成長したものと考えられる。銀河団の中心付近にcD並みの巨大銀河が複数個存在したり、一つも存在しないものもあり、このような特徴によって銀河団を分類するのがバウツ-モルガン分類といわれるものである。

宇宙空間の各点は本質的に同等であり、宇宙には端も中心も特定の向きも存在しない、という宇宙原理を満たす一様等方宇宙の計量のこと。その計量での時空間隔 ds

ds2=c2dt2+a2(t)[dr21Kr2+r2(dθ2+sin2θdφ2)]

と表すことができる。ここで、t は時間、(r,θ,φ) は空間極座標、K は空間の曲率の符号であり、±1 または 0 のいずれかの値をとる。a(t)スケール因子と呼ばれ、宇宙の大きさの時間変化を表す量である。

特異等温球モデルを参照。

アメリカ航空宇宙局(NASA)とヨーロッパ宇宙機関(ESA)が共同で開発して、1990年に打ち上げた太陽極域軌道探査機。1992年2月に木星に接近したのち、スイングバイにより軌道傾斜角を黄道面に垂直にして、太陽の極域を観察する軌道に乗った。太陽緯度が高い領域での、太陽活動、太陽風、惑星間磁場、惑星間ダストなどの観測を行った。太陽風は中ないし高緯度では強く風速も 700-800 km/s に達すること、また、黄道面から離れると、ダストの主成分は太陽系外起源の星間ダストであることを明らかにした。

振動子強度を参照。

1987年2月23日に大マゼラン銀河中で発見された超新星。B0.7~B3型星がII型超新星爆発を起こしたものと考えられている。爆発時の最大光度は絶対等級MV=-15.9 等とされ、見かけの等級でも2.6等に達した。望遠鏡発明以来、最も太陽系に近いところで発見された超新星爆発であり、さまざまな観測結果から超新星爆発についての理論が大きく見直されることになった。また、SN1987Aから爆発時に放出されたニュートリノカミオカンデで検出され、これが世界初の太陽系外天体からのニュートリノ観測となった。この業績を含むニュートリノ天文学の開拓に対して小柴昌俊東京大学名誉教授が2002年のノーベル物理学賞を受けている。

超新星はその英語の頭文字SNに続き、発見年の西暦、発見順の大文字のアルファベット1文字(A-Z)が付された名前で呼ばれ、27個目以降はアルファベット1文字に代わりaa,ab,,az, ba,bb,,bzのように小文字のアルファベット2文字が付される。SN1987Aは1987年で最初に発見された超新星である。これで生じた超新星残骸もSN1987Aと呼ぶ。