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ローウェル

 

よみ方

ろーうぇる

英 語

Lowell, Percival

説 明

ローウェル(Percival Lowell;1855-1916)はアメリカの天文学者。火星に知的生命が住んでいるという仮説を展開し、冥王星を予言した。ボストンの名家に生まれ、子供の頃から星に興味を持ち、ハーバード大学で数学、古典文学などを専攻した。1876年に卒業、1883年に来日し、1893年までに4度、合計3年間日本に滞在した。朝鮮にも招かれ、『NOTO - 能登・人に知られぬ日本の辺境』『朝鮮』『極東の魂』などを著わした。スキアパレリ(G. Schiaparelli)による「火星運河の発見」の報に刺激され、1894年にアリゾナのフラグスタッフに私設のローウェル天文台を建設して火星を熱心に観測した。『火星』『火星とその運河』などを出版して、火星人論を強く一般社会向けに主張した。運河の存在は、その後の火星探査機の観測などにより否定されているが、H・G・ウェルズの『宇宙戦争』、ブラッドベリの『火星年代記』などSF小説や映画が生まれるきっかけになった。1902年、マサチューセッツ工科大学の客員教授となり、彼の天文台は太陽系研究のセンターになった。また、海王星より外側にある仮想惑星について天体力学の摂動計算を行ない、その探査を同天文台で実施した。彼の死後に、台員のトンボー(C. Tombaugh)が1930年に新惑星を発見し、冥王星と命名されている。

2024年11月17日更新

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    ローウェル
    パーシバル・ローウェル(1900年頃)
    https://www.gettyimages.co.uk/detail/news-photo/portrait-of-the-american-astronomer-percival-lowell-1900s-news-photo/141553112