マジックガンマ線望遠鏡を参照。
彗星が太陽に接近したときに彗星から反太陽方向に延びる明るい構造。塵の尾(ダストテイル)は、彗星から放出された塵(ダスト)粒子が流出したものであり、明るく広がり太陽光を散乱して白色から黄色がかった色をしている。太陽放射圧の効果で弓なりに弧を描くのが特徴である。イオンの尾(イオンテイル;ガスの尾、プラズマの尾、などと呼ばれることもある)は、彗星からガス分子として放出されてコマに含まれる電離したイオンが、太陽風磁場によって引きずり出されたもので、青みを含んだ色をしている。イオンは磁力線に沿って運動するため、幅は狭くて直線的である。
宇宙の膨張を表すハッブル-ルメートルの法則で、銀河の後退速度
を表す比例定数
ハッブル定数と万有引力定数
で表される値は、宇宙膨張の時間変化の様子を判定する基準となる臨界密度である。現在の宇宙の密度を臨界密度で割ったものを密度パラメータ
重要な宇宙論パラメータである
その後、精度の高い新しい銀河の距離決定法が開拓され、セファイドの観測限界を大きく拡大したハッブル宇宙望遠鏡キープロジェクト終了時の2001年には、
ハッブル定数の決定精度が昔より格段に高まったために、近年は、CMBから求まった値
この問題の解決に向けてすでに新しい取り組みが始まっている。カーネギー研究所とシカゴ大学の研究者によるカーネギーハッブルプログラムでは、 これまで種族Ⅰのセファイドに基礎をおいてきた距離はしごを、種族Ⅱのこと座RR型変光星と赤色巨星を使って構築し直して、両者の整合性を確認しようとしている。2018年4月にはガイア衛星の第2次データ公開が行われ、13億個の星の年周視差が報告された。最終結果に基づいて、多数のセファイドや赤色巨星の距離が精密に決まれば距離はしごの精度はさらに高まるであろう。2015年に初めて観測された重力波も今後観測数が増えれば重要なハッブル定数の決定法となるだろう。南極望遠鏡(South Pole Telescope: SPT)とアタカマ宇宙論望遠鏡(Atacama Cosmology Telescope: ACT)によるCMBの精密観測も計画されている。
2016年以降のハッブル定数の決定に関してはハッブル定数の緊張に記述してある。
一様からのずれなどを表すゆらぎの進化において、ゆらぎの振幅が小さい場合にはゆらぎの高次項を無視することができるため、ゆらぎについて線形重ね合わせの原理が成り立つ。このため、ゆらぎをフーリエ分解すると、各フーリエモードは独立に進化する。この段階のゆらぎの成長を線形成長と呼ぶ。線形成長段階では、ゆらぎの進化がフーリエモードごとに小自由度の系として解析できるため、理論的取扱いも比較的容易である。ところが不安定性によりゆらぎの振幅が成長して大きくなると、ゆらぎの高次項が無視できなくなり、非線形効果が効くようになる。このようなゆらぎの成長を非線形成長と呼ぶ。非線形成長では、各フーリエモードが複雑に絡み合って、非常に複雑な成長をするようになる。このような成長段階を解析的に厳密に取り扱うことはできない。このため、非線形モデルや数値的手法など近似的な方法によって調べられている。
天体での溶融を経験した隕石で、溶融のため金属鉄成分が沈降して抜けて、ケイ酸塩成分が固化したものである。コンドライトのように球粒の鉱物コンドリュールは見られず、鉱物組成や構造は地球の火成岩と似ていて、天体内部の火成活動を反映している。エ(英語のa)は否定を表す接頭辞である。エコンドライトのなかには、コンドリュールはないが、大規模な溶融を経験せずコンドライトに近い化学組成を持つ隕石もあり、始原的エコンドライトと呼ばれる。エコンドライトの中で、HED隕石(ホワルダイト、ユークライト、ダイオジェナイトの3種の隕石の頭文字を取っている)は小惑星ベスタ、SNC隕石(シャーゴッタイト、ナクライト、シャシナイトの3種の隕石の頭文字を取っている)は火星が起源であると推定されている。月起源のエコンドライトも発見されていて、月隕石と呼ばれる。石質隕石、小惑星、火星も参照。
冥王星が発見された後、海王星以遠の太陽系外縁部に多数の小天体が円盤状に分布しているという考えを1943年にアイルランドのエッジワース(K.E. Edgeworth)が、また1957年にオランダ出身でアメリカのカイパー(G.P. Kuiper)が提唱した。長い間、そのような天体は確認されなかったが、1992年にジューイット(D.C. Jewitt)とルー(J. Luu)が、冥王星よりも遠い天体1992QB1を発見した。それ以来、次々と天体が発見されて、エッジワースやカイパーが提唱した円盤状の天体群が現実のものとして存在することが明らかになった。この円盤を、エッジワース-カイパーベルト(カイパーベルト)と呼び、天体をエッジワース-カイパーベルト天体(カイパーベルト天体)と称している。
狭義には、海王星軌道(30天文単位=au)から55 auまでの間に分布する天体に対しての呼称で、(セドナに代表される)遠日点と軌道傾斜角の大きな散乱円盤天体とは区別している。2019年1月に、ニューホライズンズ探査機が、エッジワース-カイパーベルト天体であるアロコス(Arrokoth; アロコットとも表記: 2014 MU69)に最接近してその画像を送ってきた。これは探査機が近傍から撮影した最も遠い天体である。太陽系外縁天体も参照。
アメリカのカリフォルニア州パサデナの南東約260 kmに位置する標高1700 mのパロマー山にあるカリフォルニア工科大学所属の天文台。ヘール(G.E. Hale)の努力でロックフェラー財団から資金援助を受け、口径200インチ(5 m)の望遠鏡を建設するためのサイトとして選ばれた。1936年にドームが完成し、戦争のため計画よりも約7年遅れて1948年に望遠鏡が完成し、ヘール望遠鏡と名付けられた。
パロマー天文台にはこのほかに、48インチ(1.2 m)のパロマーシュミット望遠鏡、60インチ(1.5 m)反射望遠鏡などがある。ヘール望遠鏡と同じく1948年に完成したシュミット望遠鏡では、アメリカ地理学協会の出資によって、翌年から北天の全天写真サーベイ(パロマー天文台スカイサーベイ)が行われ1956年に完了した。このサーベイ写真のコピーは世界中の主な天文学の研究機関で利用され、現代天文学の基礎となった。ヘール望遠鏡とシュミット望遠鏡を擁するパロマー天文台は、開所以来半世紀近く、世界の観測天文学の中心であった。
ホームページ:http://www.astro.caltech.edu/palomar/
電磁波との相互作用により原子や分子が励起すること。励起を参照。
マルチミラー望遠鏡を参照。
太陽黒点の半暗部にある水平面方向の筋状構造に沿った外向きの流れ。光球で観測される吸収線のドップラー速度観測により、インドの研究者エバーシェッド(J. Evershed)が1909年に発見した。この流れの起点は黒点暗部側にある光球深部からの高温ガスの湧き出し部にあり、内部半暗部では明るい筋状構造に沿って、そして外部半暗部では暗い筋状構造に沿って音速で外向きに流れた後、半暗部外周部で沈み込む。この描像は、ひので衛星の高解像度観測により確立した。
地球から見える表側の月の表面のうち、暗い(アルベドの低い)地域の呼び名。明るい(アルベドの高い)地域は高地(月の)と呼ばれる。斜長石を多く含む岩石からなる高地にたいして、海は月の内部から噴出して巨大衝突盆地を埋めた玄武岩質の溶岩からなる。海は月面の20%ほどを覆っていて、大部分は表側に存在して裏側には少ない。海を埋める玄武岩の厚さは1-2kmほどであり、その下には高地の地殻が存在する。アポロ探査が取得した岩石の年代測定とやクレーター年代学から、海の玄武岩マグマの噴出の多くは35-40億年前に起きていること、最も若いものでは13億年前の火山活動があったことがわかっている。
棒渦巻銀河を参照。
渦巻銀河のうち中心部に棒状構造が見られる銀河のこと。棒渦状銀河ともいう。ハッブル分類も参照。
散光星雲で見られる電離ガスからの強い輝線 放射をボウエン(I.S. Bowen)は次のように説明した。
高温の早期型星や降着円盤でHeⅡから放射される波長30.4nmの紫外線により、周囲のガスのCⅢ、NⅢやOⅢイオンが励起されると、464-465nm付近の青色光を含む一連の光子を放出して基底状態に戻る。これをボウエン蛍光機構と呼んでいる。
太陽系においては、惑星、準惑星、太陽系小天体を周回する人工物ではない天体を衛星と呼ぶ。リングを構成するような氷や岩石、ダストは、衛星とは呼ばない。地球型惑星では地球に1個、火星には2個あるのみで衛星は少数であるが、木星型惑星はそれぞれ多数の衛星を保有する。準惑星である冥王星やエリスのほか、太陽系外縁天体や小惑星でも衛星を保有する天体は数多く発見されている。冥王星と衛星カロンは共通重心が冥王星の外にあるため、冥王星の周りを周回する衛星ではなく二つの天体による連星系と定義されることもある。
太陽系外惑星の回りを周回する太陽系外衛星(系外衛星)も存在すると考えられており、いくつかの候補は見つかっているが、確定的なものはまだない。
人工衛星も参照。
木星のガリレオ衛星の一つ。直径3140 kmの氷衛星である。表面は厚さ3 km以上の氷に覆われており、ひび割れが多数見える。表面にはクレーターがほとんど見られず、地表面が活発に更新されていることを示している。この地質活動は放射性元素の壊変による熱と木星との間の潮汐加熱により維持されている。
アメリカ航空宇宙局(NASA)のガリレオ探査機による観測から、エウロパの氷地殻の厚さは平均10-30 kmであり、その下には100-150 kmの厚さを持つ地下海水が存在すると推測された。また、地上観測からも表面に水氷、ナトリウム塩、マグネシウム塩などの存在が示唆されており、エンセラダスと同様エウロパの地下には液体の海が存在することは確実視されている。2023年4月に打ち上げられたヨーロッパ宇宙機関(ESA)のJUICE(木星氷衛星探査機;2034年頃に木星軌道に投入;日本からも参加している)、2024年10月に打ち上げられたNASAのエウロパ・クリッパー(2030年頃に到達)など、将来の探査機による調査が待たれる。
参考:3Dモデル https://science.nasa.gov/jupiter/moons/europa/
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/100400538/
原子が串刺しの団子のように直線上に並んでできている分子。2原子分子は全て該当するし、原子3個以上で構成されている分子にも直線上に並んだものが多数ある。星間空間にある星間分子としては、一酸化炭素 CO や一酸化ケイ素 SiO の他、シアン化水素 HCN や HCO+(厳密には、これはイオン)などがあり、また炭素がたくさん並んだ C3,C5,HCN,HC3N, HC5N, HC11N などの炭素鎖分子も発見されている。直線分子の回転エネルギー準位
で与えられる。ここで
複数のバイモルフピエゾ素子に正負の駆動電圧を印加することにより、鏡面を局所的に凹凸させる可変形鏡。波面曲率センサーとのマッチングが良い。補償光学、波面センサーも参照。
太陽活動に起因する地球近傍の宇宙環境条件の変化のこと。宇宙天気のある状態を引き起こす現象は宇宙天気現象と呼ばれ、太陽フレア、コロナ質量放出、高速太陽風の源のコロナホール発生などの太陽面現象である。たとえば、太陽フレアが発生すると、地球に降り注ぐX線と紫外線量が大きく変化し、また高エネルギー粒子が生成されて地球上層大気や地球近傍の宇宙環境はその影響を受ける。コロナ質量放出現象は地球磁気圏に擾乱を与え、地磁気嵐を引き起こすことがある。これらの宇宙環境変化は、宇宙ステーションで生活する宇宙飛行士の放射線被曝や、社会基盤としての気象衛星、通信衛星の故障、地上の発電システムの停止などを引き起こすので、事前に防御措置をとるために宇宙天気予報の研究が行われている。
宇宙天気予報サイト(情報通信研究機構)
https://swc.nict.go.jp/knowledge/relation.html