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宇宙のスケール因子

 

よみ方

うちゅうのすけーるいんし

英 語

scale factor of the universe

説 明

宇宙の相対的大きさの時間的変化を表す関数。宇宙のスケールファクターとも呼ばれる。a(t)で表し、現在(t=t_0)での値を1に規格化することが多い。膨張宇宙において、十分離れた距離にある任意に選んだ2つの銀河の距離は大きくなりつづける。これらの銀河の距離は、時刻の関数としてスケール因子に比例して変化する。スケール因子は宇宙全体の時間進化を記述するための基本的な量である。遠方銀河からの光は宇宙膨張によって波長が伸び、スペクトルが赤方偏移して見える。波長の伸びは、光が出発した時点におけるスケール因子の逆数に比例する。このため、光が出発した時刻におけるスケール因子の値は観測可能な量である。また、角径距離光度距離など、宇宙論的に重要な観測量はスケール因子の時間変化により定まる。

2020年07月09日更新

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    関連画像

    * 宇宙のスケール因子の概念図。
    (作成 岡村定矩)