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マルチミラー望遠鏡

 

よみ方

まるちみらーぼうえんきょう

英 語

Multi-Mirror Telescope(MMT)

説 明

アメリカ合衆国アリゾナ州のホプキンス山の山頂にある、口径6.5m反射望遠鏡。正式名称は「MMT」。スミソニアン研究所とアリゾナ大学によって共同で設立されたMMT観測所によって運用されている。
この望遠鏡は、2000年に改修されるまでは、口径1.8 m反射望遠鏡を6本、単一の経緯台に同架させてそれぞれの望遠鏡からの光を集光する形式のものであった。この形式からマルチミラー望遠鏡と名づけられた。この望遠鏡は、有効口径4.5 mであり、完成当時(1979)においては、旧ソ連の6 m望遠鏡、パロマー天文台の5 mヘール望遠鏡に次ぐ世界第3位の有効口径を持つ望遠鏡であった。ただし、各望遠鏡で得られる光の位相を合わせて集光することが非常に困難であったため、視野が狭く、分光観測専用に用いられていた。
2000年に架台やドームをほぼそのままにして6本の望遠鏡同架形式から、単一の6.5 m主鏡を持つ形式への大改修が行われた。この改修により、集光力が増し、広い視野を観測できるようになった。改修後は、「マルチミラー望遠鏡」から「MMT」へ改名された。「MMT」は「Multi-Mirror Telescope」の頭文字を取ったものではなく、それ自体で一つの完結した名称となっている。
ホームページ:http://www.mmto.org/

2018年03月10日更新

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    6本の1.8m望遠鏡を同架したオリジナルのマルチミラー望遠鏡(左)と、6.5m単一主鏡に改造されたMMT(右)。
    http://www.mmto.org/sites/default/files/images/MMT_beforenafter.preview.png