マイクロ波やミリ波を混合する装置または回路。英語のままカプラー、カプラ、あるいはカップラと呼ぶこともある。ヘテロダイン受信機では、天体からの電波と局部発振器の信号を結合するときに使われる。導波管による結合器や、ワイヤーグリッドや誘電体膜をもちいた準光学的結合器がある。
中心波長の数分の1の波長幅を持つ広帯域フィルターを用いる測光観測。測光システムに基づいたいくつかの波長帯で観測することにより、天体の色(多色の場合はスペクトルエネルギー分布)から天体の大まかな性質を調べることができる。
屈折望遠鏡の一種で、対物レンズと接眼レンズの両方に凸レンズを用いる。ガリレオ式望遠鏡と異なり、倒立像(上下がさかさまになった像)が見える。望遠鏡光軸に対して傾いた入射光線も、接眼部の瞳位置で見ることができるため、広い視野を持つ。ガリレオ式望遠鏡の視野が望遠鏡倍率の2乗に反比例して急速に狭くなるのに対して、ケプラー式望遠鏡では倍率の1乗に反比例するだけなので、高い倍率でも視野を確保できる。対物レンズの焦点面に十字線や縮尺目盛を挿入できる利点があり、観測対象の精密位置観測用の望遠鏡として使用される。現在使用されている屈折望遠鏡は基本的にはすべてケプラー式である。
ケプラー式望遠鏡は、ケプラーによって1611年にその最初の設計が発表された。ケプラー自身は実際の望遠鏡を製作しておらず、1615年にシャイナー(C. Scheiner)がケプラー式望遠鏡の実物を製作して天体観測に応用した。
回折格子を参照。
分光器を参照。
現代では、スイスクロノメーター検定協会が行う厳しい精度テストにパスした高精度な時計を指すが、天文学との関わりからは、海洋時計(マリンクロノメーター)を指すことがほとんどである。揺れる船の上でも使用でき、船の位置(経度)の測定ができるほどの精度を有するクロノメーターは18世紀にイギリスの時計職人ジョン・ハリソン(John Harrison)が発明した。
当時は大航海時代で海難事故が多く、船の位置を高い精度で知る方法の開発が望まれていた。1714年イギリス議会に、海上で経度を測定する方法の実現に向けて経度委員会が作られ、ニュートンも含めた学者からもアドバイスを受け、「経度法」が定められた。これは、海の上で経度を測る方法の実現をめざし、達成精度に応じて賞金を支払うものであった。最高精度である経度誤差2分の1度以内を達成した者への賞金は2万ポンドであった。これは国王の身代金の半分という巨額であった。
1693年にイギリスのヨークシャー州の大工の家庭で生まれハリソンは、独学で物理や機械工学を学び、ほぼすべての部品を木材で作った最初の振り子時計を1713年に完成させた。ハリソンは弟とともにクロノメーターの開発に取り組み1735年に初の船舶時計(H1)を完成させた。それ以後、月の観測から経度を決める方法に固執した天文学者との長い葛藤があり、ハリソンは困難状況の中、H2、H3へと時計の高精度化に取り組んだ。最終的にハリソンが1759年に製作したクロノメーターH4は、ポーツマスから西インド諸島のバルバドス島まで46日間の航海で誤差39秒という記録を打ち立て、紆余曲折はあったが1773年にハリソンはようやく賞金全額を獲得した。ハリソンのクロノメーターは修復されて、現在もグリニッジ王立天文台で時を刻んでいる。
中国や日本での古い記録上で、突発的に現れた天体の総称として用いられた言葉。「かくせい」と読むこともある。新星や超新星、彗星などが対応している。
サロス周期を参照。
反射望遠鏡において、楕円面を持つ凹面鏡を副鏡とした望遠鏡をグレゴリー式望遠鏡と呼ぶ。副鏡に凸面鏡(形状は双曲面)を用いて主鏡の焦点前に副鏡を配置するカセグレン式望遠鏡とは異なり、副鏡が主鏡の焦点面の後ろに配置されるのが特徴である。この形式の望遠鏡で、主鏡および副鏡を経由して結像される焦点をグレゴリー焦点と呼ぶ(焦点(望遠鏡の)を参照)。主鏡焦点面近くに遮光機構(バッフル)を設置すると、観測視野外からの迷光を完全に遮断することができる。また、副鏡が凹面であるため、製作時の検査が容易である。反面、副鏡がカセグレン式望遠鏡より大きくなり、望遠鏡の筒長が長くなってしまう。一般に、グレゴリー式望遠鏡の視野はカセグレン式望遠鏡よりも狭い。光は主鏡によって一度結像された後に、副鏡によって反射されて再結像される。
ある方向に波長分散された光(スペクトル)を、その分散方向とは垂直方向に分散するためのプリズムや回折格子などの分散素子。垂直分散素子ともいう。エシェル分光器において、エシェル回折格子による高次回折光を次数ごとに分解するために用いられる。
光学系を特徴づける軸のことで、光学系を通過する光束の向かう方向を定める。多くの光学系(レンズ、カメラなど)は回転対称形をしており、そのような系においては、光軸は系の光学的な対称軸と一致する。一般に、光学系は光軸上を通る光線について最適化されているため、複数の光学系を組み合わせた系を製作する際には、各々の光学系の光軸を一致させる必要がある。
可視光以外の波長で観測され検出された天体の、可視光(近年では近赤外線も含む)での対応天体のこと。電波観測や高エネルギー観測で見つかった天体に光学対応天体があると、その理解が大きく進むことが多い。可視光観測は天文学の創生の時代からの長い歴史があり、多種多様の天体について、可視光データの蓄積がある。そこで、未知の天体が発見されたとき、その光学対応天体を同定して、その精密位置や可視光の性質を手掛かりにその正体に迫るという試みが広くなされる。光学的同定も参照。
望遠鏡の架台の形式の一種。鉛直方向の回転軸(方位軸という)と水平方向の回転軸(高度軸という)の周りに望遠鏡を回転させて、天体指向および追尾を行う。方位軸は重力方向に設置されているため、回転しても重力の影響は変わらない。また、高度軸は方位軸の回転に関わらず、常に重力に対して垂直である。このために、経緯台は機械構造的に極めて安定した駆動をすることができる。ただし、それぞれの駆動軸は赤道儀とは異なり、天体の動き(地球の回転)とは無関係に設置されているため、天体の追尾においては両軸を同時に不等速駆動する必要がある。このことは近年の計算機制御技術の発達によって、もはや問題とはなっていない。
経緯台は、その機械的安定性のために、大型望遠鏡の架台として優れている。したがって、現在では口径6 m以上の大型望遠鏡においてはすべて経緯台が採用されている。中小口径望遠鏡においても、設置が簡便で安定している経緯台が架台として採用される傾向にある。
電磁波が有限な厚さの物質中を透過する際に吸収される程度を示す物理量で、変数
特定の周波数
である。ここで、
光学的厚さが大きい場合を光学的に厚い、小さい場合を光学的に薄いと呼び、その境界として
吸収係数の物理次元は長さの逆数[L-1]なので、それを長さで積分した光学的厚さは無次元量である。
可視光以外の波長域で観測され検出された天体や現象に対し、可視光観測によってその光学対応天体を探し、同定すること。
光の強度の吸収による減少を決める量。光学的厚さともいう。粒子の吸収断面積α(アルファ)、数密度nの層の厚みdsの光学的厚みdτは dτ= n α dsで定義され、無次元量である。これにより光の強度Iの変化dIは dI = -I dτ となる。
OTFとも呼ばれる。正弦波状の明暗のコントラストを持つ物面(光源)を光学系を用い て結像させたときに、得られる像面での明暗のコントラストと位相の ずれを正弦波の空間周波数ごとに求めた関数。光学系に対す る入出力の関係を記述するもう一つの関数である点像分布関数とは、互いにフーリエ変換の関係にある。瞳関数も参照。
入射X線によりガス中で生じた一次電子群を、電場で加速することによってシンチレーション光(蛍光)を発生させ、この励起光を光電子増倍管で電気信号として取り出すX線検出器。比例計数管よりエネルギー分解能が2倍ほど高く、てんま衛星に初めて搭載された。
黄道座標系を参照。
光学素子単体もしくは複数の光学素子からなる光学系で、焦点距離(f)の有効口径(D)に対する比(F=f/D)。F比あるいは焦点比ともいう。焦点位置からみた光束の角度広がりに対応する。数値が小さいほど光束の角度広がりが大きく、明るい光学系となる。
望遠鏡の場合は主鏡単体や主鏡と副鏡の組み合わせでの口径比が有用な指標となる。たとえば、すばる望遠鏡の主鏡の口径比はF/1.83で、カセグレン焦点での口径比はF/12.2である。