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周期-光度関係

高

よみ方

しゅうきこうどかんけい

英 語

period-luminosity relation

説 明

主に、変光星について、その変光周期と平均光度の間で成り立つ法則。脈動変光星であるセファイドミラ型変光星での法則が有名。脈動変光星では、恒星の内部構造の不安定性が変光の原因となっていることを考えると、このような関係が説明できる。周期-光度関係を用いると変光周期から光度(したがって絶対等級)を求めることができるので、それと見かけの等級を比較することで、変光星までの距離を求めることができる。

マゼラン銀河中のセファイドに対してリービットにより発見されたセファイドの周期-光度関係(図1)は、銀河までの距離、ひいてはハッブル定数、を決める最も基礎となる距離指標である。それは宇宙の距離はしごの主要な構成要素なので、その精度を高める観測的研究は現在まで活発に継続されている。

マドア(B.Madore)とフリードマン(W. Freedman)は1991年に、マゼラン銀河中のセファイドに対して、可視光から近赤外線に渡る多波長観測をまとめて、当時の集大成とも言える周期-光度関係を導いた(図2)。波長が長くなるにつれ、周期-光度関係の振幅は小さくなり、傾きは急になり、関係式の周りのばらつきは小さくなる。高精度の距離決定には近赤外線での観測が有利であるが、振幅が小さいので発見は短波長の方が有利である。図3は大マゼラン銀河中で、1999年時点で10回以上の観測がある33個のセファイドの周期-光度関係である。

マドアとフリードマンらは2017年には、ヒッパルコス衛星のデータ等から高精度の距離が求まっている59個の銀河系天の川銀河)中のセファイドに対して可視光から近赤外線の6バンドで周期-光度関係をまとめた(図4)。関係式の周りのばらつき(σ)が図2より小さくなっている。図2、図3、図4から求まる周期-光度関係の式とその周りの分散(σ)を図5に掲げてある。周期-光度関係の式に色指数を含めて、周期-光度-色指数関係を作るとばらつきが小さくなることが知られている。2017年のVバンドの周期-光度-色指数関係ではばらつきがわずかに0.06等級となるものもある。2024年には、スピッツァー宇宙望遠鏡による中間赤外線データを用いた周期-光度関係も報告されている(図6)。

2025年01月23日更新

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    図1* リービットが発見したセファイドの周期-光度関係。左図では横軸の周期(日)は線形目盛りだが、右図のように対数目盛にするときれいな相関関係が見える。縦軸は見かけの等級だが、これらのセファイドは同じ距離にあるので絶対等級にしてもグラフの見え方は変わらない。
    縣秀彦著 岡村定矩監修『ビジュアル天文学史』(緑書房)
    (原図 Leavitt H.S. and Pickering, E.C. 1912, Harvard College Observatory, Circular, 173, 1)
    図2* セファイドの光度曲線(左)と周期ー光度関係(右)および周期光度関係の傾きとその周りの分散(ばらつき)の波長依存性(中下)。左図では、紫外線(上)から近赤外線(下)までの各バンドでの典型的なセファイドの光度曲線が示されている。波長が長くなるにつれて、振幅が小さくなり非対称性が弱くなる。また中下図に見られるように、波長が長くなるにつれて、傾きが急になり、分散は小さくなる。右図は大小マゼラン雲中のセファイドの各バンドでの周期ー光度関係。縦軸は見かけの等級であるが、大小マゼラン雲の星は地球からの距離が同じと見なせるので、距離引数の補正をすれば絶対等級目盛りになる。(原図はMadore, B.F. and Freedman, W.L. 1991, PASP, 103, 933)
    図3 大マゼラン銀河中で、1999年時点で10回以上の観測がある33個のセファイドの周期-光度関係。Tanvir 1999, ASP Conf. Ser. 167, 84)
    図4 59個の銀河系(天の川銀河)中のセファイドに対する周期-光度関係。
    Madore, Freedman, Moak 2017, ApJ, 842, 42
    図5* 周期-光度関係の具体的な式とその周りの分散(ばらつき)。
    図6 大マゼラン銀河中のセファイトに対する近赤外線と中間赤外線での周期-光度関係。
    Freedman and Madore 2024, IAU Symp, 376, 1