天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3300語以上収録。随時追加・更新中!専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

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準矮星

平均的な矮星主系列星)よりも光度の低い恒星(英語名称の最後の star は省略されることが多い)。光度階級ではⅥに相当し、HR図上では、主系列よりも左下に現れる。これは金属量の低い主系列星に対応している。金属量が低いと、放射圧が低いために恒星半径が小さく、大気の密度が高くなることにより、光度が低く、スペクトル線の幅が広くなるためにこのような違いが生じる。光度階級も参照。

超伝導ミキサーを参照。

種族(星の)を参照。

超伝導膜---薄い絶縁膜---超伝導膜の3層からなるジョセフソン接合を利用した周波数変換器。非線形性が強く、低雑音であることからヘテロダイン受信機の周波数変換器としてつかわれる。観測周波数 80 GHz - 1 THzには、ニオブ(Nb)を超伝導材料としてNb-AlOx-NbやNb-AlN-Nbの3層膜がつかわれることが多い。SISミキサー、超伝導トンネル型ミキサーとも呼ばれる。混合器も参照。

種族(星の)を参照。

ジョセフソン接合を持った超伝導リングで、微小な磁気の変化に鋭く反応することを利用した高感度の磁気センサーとして用いられる。Superconducting quantum interference deviceを略してSQUIDとも呼ばれる。共振型重力波検出器においては高感度の電流増幅器として用いられている。

主系列星と赤色巨星の中間的な光度をもつ恒星(英語名称の最後の star は省略されることが多い)。光度階級ではⅣに相当する。太陽程度の小質量星は、中心部の水素が枯渇すると、赤色巨星へ進化する。HR図上では、進化の途上で主系列段階よりもやや高い光度を保ちながら、低温の領域へと移行していく。球状星団のHR図上ではこの進化段階に対応する系列が現れる。

最近は、地球儀と同様に天球上の天体の位置を記したものを指すことが多いが、一般には天球上の天体の運行を表すモデルとしての渾天儀のことを指す。

ヨーロッパ南天天文台がチリのセロ・パラナル山に建設した4基の有効口径8.1 mの光学赤外線望遠鏡につけられた固有名称。1998年に最初の望遠鏡が完成。各望遠鏡には3つの焦点があり、全体で12台の観測装置が装備され、さまざまな観測を行っている。4基の望遠鏡からの光を合わせて光干渉計とする観測も実現している。VLTは南の宇宙の光学観測の最大拠点となっている。
口径8m級の大型望遠鏡の一般名称として用いられる場合はvltと小文字で書く。
ホームページ:http://www.eso.org/public/teles-instr/vlt.html

多数の同種粒子(分子や原子や電子)からなる物質で、2つのエネルギー準位間において高いエネルギー準位にある粒子数の方が低い準位にある粒子数よりも多い場合をいう。逆転分布ということもある。この準位間で電磁波の放射吸収を伴う遷移可能な場合が特に重要である。物質が熱平衡に近い熱力学状態にある場合、量子状態ごとの粒子数は低エネルギーに対応する方が多い(図(a)参照)。特に、熱平衡状態ならば、この粒子数の比はボツルマン分布になり、ボルツマン因子で定義される1つの温度(励起温度)で表現できる。しかし、特殊な状況下では、粒子数の比が逆転し、反転分布が実現する場合がある(図(b)参照)。この状態で、ボルツマン分布に基づく温度を形式的に適用すると

$$T_\mathrm{ex}=-\frac{1}{k}\Delta E\ \ln \frac{n_2}{n_1}$$

で定義される励起温度 $T_\mathrm{ex}$ は負となる。このため、反転分布は負温度分布とも呼ばれる。反転分布だと、吸収よりも誘導放射の効果が顕著となるため、メーザーやレーザーが発生する。

反転分布を定常的に発生させるには、自発放射が起こる率よりも高い率で低エネルギー準位から高エネルギー準位に粒子が供給される必要がある。そのために、いったん、さらに高い準位に衝突や電磁波吸収などによって粒子を励起させ、それが自発放射などによって該当する遷移の高エネルギー準位に豊富に供給される過程が必要となる。この過程をポンピングという。

HR図上で主系列に属する星。中心部で水素の核融合を起こしている段階の恒星。矮星ともいう。

楕円銀河の中の星の運動の速度分散 σと銀河の絶対等級Mとの間に成り立つ関係で、 絶対等級を全光度 L (M=-2.5 log L)で表すと L は σ のほぼ4乗に比例する。 1976年にこれを発見した人の名前、フェイバー(Sandra Faber)とジャクソン(Robert Jackson)にちなんでこう呼ばれる。 これは銀河内部の速度分散が自己重力ポテンシャルとほぼつり合って準平衡状態にあることを示唆する。 渦巻銀河に見られるタリー-フィッシャー関係の回転速度を速度分散に置き換えたものに対応する。 楕円銀河には速度分散表面輝度有効半径の3つの物理量が 基本平面を形成していることが知られているが、 フェイバー-ジャクソン関係は、この3次元空間での基本平面を速度-光度平面に射影したものと考えることができる。
1987年にドレスラー(Alan Dressler)らによって、ばらつきのより小さい Dn-σ 関係が発見されるまで、楕円銀河の距離指標関係式として広く用いられた。

銀河を構成する星を分類する方法の一つ。アメリカの天文学者バーデ(W. Baade)が1944年に提唱した。金属を多く含むものが種族Ⅰ(PopⅠ)、少ないものが種族Ⅱ(Pop Ⅱ)である。宇宙で最初に生まれた初代星は金属をまったく含まないと考えられ種族Ⅲ(Pop Ⅲ)に分類されるが、実際には種族Ⅲの星はまだ見つかっていない。種族ⅠとⅡの星は、金属量だけでなく、銀河の中での分布の様子も異なる。種族Ⅰは薄い円盤を構成するのに対して、種族Ⅱの星は膨らんだバルジハローとその中にある球状星団を構成する。種族ⅠとⅡは、銀河の形成過程において、誕生した時期が異なる星である。銀河形成の初期、まだ銀河円盤ができていなかった時期に種族Ⅱの星ができ、その後で、円盤状になったガスの中で種族Ⅰの星ができた。このことを反映して、2つの種族のHR図は系統的に異なっている。バーデの提唱以後、「極端な種族Ⅰ」、「渦巻腕種族」、「円盤種族」など、種族の細分化が試みられた時期があったが、最近では、観測が進んだこともあり、色指数などを用いた定量的な分類が種族による細分類よりも広く使われている。

種族(星の)を参照。

磁場やスペクトル線の強度が周期的に変動する恒星新星のモデルで、自転軸と磁軸が斜交しているものをいう。

開口合成望遠鏡の素子アンテナは通常、地上に固定されている。しかし地球が自転しているため、天体から見ると、これらアンテナ対が作る投影基線ベクトルは時々刻々と変化する。このことを活用し、視野中心に対する遅延を随時合わせながら、より多くの空間周波数成分を取得して像合成を行うタイプの電波干渉計のことを、超合成電波干渉計と呼ぶ。

彗星小惑星など新天体の発見や、新星超新星や注目すべき変光星の増光などの突発現象の情報を発信する活動を行っている非営利組織。CBATと略称されることが多い。「IAUサーキュラー」を不定期に印刷物(葉書サイズ)で発行してきたが、2002年から電子版の「天文電報」(Central Bureau Electronic Telegrams: CBETs)も発行しはじめ、現在はCBETsのみとなっている。
1882年に太陽のごく近くを通過した彗星が出現したことをきっかけに、新天体の発見を報告する組織としてドイツのキールで創立された。第一次世界大戦が起きたためデンマークのコペンハーゲン天文台に移り、そこで1964年まで運営された。1965年にアメリカのハーバードスミソニアン天体物理学センターに移った。さらに2010年には、責任者とともにハーバード大学地球惑星物理学教室に移った。国際天文学連合(IAU)ができてからはその第6委員会も支援していたが、2015年に第6委員会は改組により消滅し、IAUとの直接の関係はなくなった。
電子版天文電報ホームページ  http://www.cbat.eps.harvard.edu/

 

 

化学特異星を参照。

2つの恒星が、長期間にわたる位置観測から、実際にお互いの周りを公転運動していることが確認できている連星。実視連星の軌道は、主星の周りの伴星の楕円運動として表すことができ、軌道要素は、軌道傾斜角 $i$、昇交点経度 $\Omega$、近星点経度 $\omega$軌道長半径 $a$離心率 $e$、公転周期 $P$、近星点通過時刻 $T_0$の7つである。 $i$は軌道面が基準面となす角であり、$\Omega$は基準面上の北から東まわりに測って交点までの角をいう。軌道面内での軌道の形、位置関係を表すのが $a$$e$$\omega$(軌道面上で昇交点から近星点まで運動の向きに測った角度)である。さらに、その軌道上で伴星がどのような位置にあるかを指定するのが $P$$T_0$である。

地上からの恒星の位置観測には大気ゆらぎが大きな問題となるが、短い露出時間で撮影された画像を重ね合わせるスペックル技術により確認された連星はスペックル連星と呼ばれることがある。

たたみ込みの逆演算である。たたみ込みを参照。