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たたみ込み

 

よみ方

たたみこみ

英 語

convolution

説 明

画像処理の際に用いられるフィルタリング処理の一種で、1画素の情報をある特定のパターン(カーネル)に従って周囲の画素に割り振っていくもの。コンボリューションともいう。異なる状況で取得された画像を比較する際、星像サイズを合わせるためにガウス分布(正規分布)をカーネルとしてぼかし処理をするなどの際に用いられる。一般の画像処理ソフトで可能なぼかし処理も、大抵の場合たたみ込みを行っている。逆に、与えられたカーネルに対し、たたみ込み前の状態を逆算で求める処理は逆たたみ込みデコンボリューション)と呼ばれる。可視光や近赤外線の地上観測では、点像分布関数をカーネルとして逆たたみ込みすることで、同一視野内の狭い領域であれば大気によるゆらぎ(天然のたたみ込み)を補正することが可能である。また、多くの電波干渉計観測のように、そもそも点像分布関数に大きなサイドローブが存在する場合は、逆たたみ込みによる像合成が欠かせない。その具体的手法の詳細については、クリーン最大エントロピー法を参照。たたみ込み定理も参照。

2018年09月05日更新

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    たたみ込み処理の例。横軸を画素、縦軸をカウントとして、画像とカーネルに対したたみ込みを行った結果を示したもの。
    (岩室史英氏提供)