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球状星団

高

よみ方

きゅうじょうせいだん

英 語

globular cluster

説 明

数十万から百万にも上る星がほぼ球状に密集する星団。中心に行くほど急速に星の密度が高くなる。銀河を取り巻くハローの中に分布し、種族Ⅱの天体に典型的な色-等級図を示す(両者の色-等級図の比較については散開星団を参照)。銀河系天の川銀河)の球状星団は銀河形成の初期段階にできたと考えられているが、近年の観測から、すべての星が同時にできたのではなく、何度かの星形成活動によってできたものがあることが分かってきた。

銀河系では約150個の球状星団が知られている。アメリカの天文学者シャプレー(H. Shapley)は1918年に、当時知られていた球状星団の分布の研究から、銀河系(当時は宇宙そのものと考えられていた)の大きさを推定し、太陽は銀河系の中心ではなく端にあることを示した。

一つの銀河に属する球状星団の形成史は、銀河形成過程に関する重要な情報を含んでいるため、近年は銀河系以外の近距離銀河の球状星団の研究も盛んである。大マゼラン雲には年令の若い球状星団もあり、また銀河合体など銀河同士の重力相互作用の影響でできるものもあるらしいことがわかった。一つの銀河に属する球状星団の光度関数は、宇宙の距離はしごの手段の一つとしてとして銀河の距離決定にも用いられる。

2023年04月17日更新

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    関連画像

    アングロ-オーストラリア望遠鏡で撮影された球状星団47 Tucの写真
    Anglo-Australia Observatory
    * シャプレーによる球状星団の分布図。左は銀河円盤を横から見た図で、網掛けの帯は吸収物質が濃く集まっているところ。右は上から見た図で、実線矢印と破線矢印はそれぞれ円盤の上方と下方を示す。図で「宇宙の端」と表記してあるのは、当時は銀河系が「宇宙」と考えられていたからである。、
    (Shapley 1918, ApJ, 48, 154にある図を改変)
    ソンブレロ銀河(M104)。多数の球状星団が見えている。
    https://apod.nasa.gov/apod/ap190329.html
    Image Data: NASA, ESA, Hubble Legacy Archive;
    Processing & Copyright: Rogelio Bernal Andreo (DeepSkyColors.com)
    ソンブレロ銀河(M104)の球状星団がラベル付きで示されている。
    https://www.universetoday.com/95801/astrophoto-incredible-deep-view-of-globular-clusters-swarming-the-sombrero-galaxy/