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浮遊惑星

 

よみ方

ふゆうわくせい

英 語

free-floating planet

説 明

通常の太陽系外惑星とは異なり、恒星のまわりを周回していない、質量が約13木星質量以下の天体。自由浮遊惑星とも呼ばれる。英語ではfree-floating planet (FFP) のほかに、 rogue planet、 interstellar planet などさまざまな呼び方がある。
浮遊惑星の検出では、近くに明るい恒星がないため、高コントラスト観測よりも高感度観測が重要になる。また、低温度天体のため赤外線における探査が有効である。最初の浮遊惑星は、カメレオン座、オリオン座、ペルセウス座、S106などの星形成領域の探査観測により直接撮像によって報告されたが、発見数は限られていた。さらに、撮像観測だけでは天体の色を考慮しても背景星の混入が避けられないことも指摘されている。それらを確実に除くためには、候補天体の分光観測固有運動の測定も不可欠となる。
すばる望遠鏡などを用いたSONYC(Substellar Objects in Nearby Young Clusters)プロジェクトでは約6木星質量の浮遊惑星も分光で確認された。また、カメレオン座のOTS44は、アルマ望遠鏡により原始惑星系円盤が付随している証拠も得られている。
一方、直接撮像観測とは独立に、重力マイクロレンズ法によっても浮遊天体の存在が示唆されている。重力マイクロレンズ現象とは、ある星(ソース星)の前を別の星(レンズ星)が横切ると、レンズ星の重力によってソース星からの光は曲げられてレンズの様に集光され、ピーク状の増光現象が観測されることである。増光期間はレンズ天体の質量の平方根に比例し、普通の星で約20日、木星質量では約1日になる。住ら(2011)は銀河中心方向の観測から、増光期間が2日以下の増光現象を10例検出し、それらが木星質量程度の浮遊惑星であることを示唆した。統計的には、銀河系天の川銀河)全体では少なくとも恒星の数と同程度数の浮遊惑星が存在する可能性も示している。
浮遊惑星の成因としては、通常の恒星や褐色矮星のように自己重力で収縮して形成される説と、恒星のまわりで惑星として形成され、それらが惑星系から飛び出した説に大別される。
最近、フランス・日本などのチームにより、大規模な撮像観測と固有運動を組み合わせて背景星を有効に除いた結果、さそり座の星形成領域で約100個の浮遊惑星が直接撮像により一度に発見された。その結果、初めて統計的な議論に基づいて後者の放出説の成因が支持されている。

2022年01月10日更新

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