天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

恒星の進化

高

よみ方

こうせいのしんか

英 語

stellar evolution

説 明

恒星の内部構造の時間変化のこと。恒星は自己重力と圧力勾配のつり合った静水圧平衡に近い状態にあるが、化学組成の変化や質量放出によって次第に内部構造が変化する。恒星は星間ガスが自己重力により集まることで誕生する。表面からのエネルギー放出のために重力収縮が進み、中心部の温度が1000万度程度になると水素の核融合が始まる。このエネルギーの発生が表面からのエネルギーの放出とつり合うと安定的に恒星として輝く。この段階の恒星は主系列星と呼ばれ、太陽の場合は約100億年にわたって継続するが、質量の大きな天体ほどその期間は短くなる。
中心部の水素が枯渇すると、恒星は中心部をとりまく薄い殻状領域での水素の核融合(殻燃焼)によって重力を支えるようになる。このとき恒星は大きく膨張し、赤色巨星に進化する。太陽質量の約2倍以下の星では、電子縮退したヘリウム中心核が形成され、その成長とともに恒星の半径と光度が増加するが、やがてヘリウムフラッシュを起こし中心部でのヘリウム燃焼の段階に移行する。金属量の小さい星はヘルツシュプルング-ラッセル図(HR図)上では高温の星まで含む水平分枝を形成するが、金属量の高い星は低温側に集中するためクランプ星と呼ばれる。水平分枝がセファイド不安定帯に達すると、こと座RR型変光星と呼ばれる脈動変光星として観測される。太陽質量の約2倍以上の質量をもつ星でも水素殻燃焼段階で光度が増加するが、縮退した中心核は形成されず、やがて中心でヘリウム燃焼が始まる。中心核内のヘリウムが炭素と酸素に変わるにしたがって、光度はあまり変わらないまま温度が変化し、HR図上でループ(セファイドループ)を描く。ループがセファイド不安定帯を横切るところでは、セファイドとして観測される。
中心部でヘリウムが枯渇すると、電子縮退した炭素と酸素の中心核が形成され、星は再び殻燃焼段階に入り、膨張する。この段階の星は漸近巨星分枝星と呼ばれ、炭素と酸素とからなる中心核の周囲での不安定なヘリウム殻燃焼(ヘリウム殻フラッシュ)と、その周囲での水素殻燃焼によって輝く。表面からの質量放出も活発になり、やがて外層をすべて失って白色矮星へ進化する。その間にさまざまな変光現象を示す星や惑星状星雲などを経る。
太陽質量の約8倍以上の質量をもつ星では、中心部でヘリウムが枯渇するとヘリウム以降の重い元素の核融合が引き続いて起こる。8-10太陽質量程度の星は酸素、ネオン、マグネシウムからなる中心核を形成し、電子捕獲型の超新星爆発を起こすと考えられている。それ以上の質量をもつ星ではさらに核燃焼が続き、最後は中心核の鉄が光分解を起こし、重力崩壊に至る。ここでII型、Ib型あるいはIc型超新星爆発を起こし、中性子星ブラックホールを残す。
連星系では、星の間での質量移動により、進化はより複雑になる。連星間の距離が離れている場合でも、バリウム星CH星のように星風によって伴星に化学組成の異常が観測されるものがある。近接連星系では、ロッシュローブを超えて質量移動が起こる場合があり、共生星となったり新星矮新星などの爆発現象を示したりする。伴星からの質量降着により白色矮星チャンドラセカール限界質量を超えると、Ⅰa型超新星爆発を起こす。同様に、二つの白色矮星が合体してこの限界質量を超えた場合にもIa型超新星となる。

2018年04月12日更新

関連画像

*HR図上での小質量星の進化。斎尾英行「中小質量星の進化」、シリーズ現代の天文学第7巻、 野本他編「恒星」4章 図4.3(日本評論社)