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ヘリウムフラッシュ

 

よみ方

へりうむふらっしゅ

英 語

helium flash

説 明

暴走的なヘリウム燃焼。主系列星のような恒星内部での核燃焼の安定性は、核燃焼が活発になると星が膨張して温度が下がり、核燃焼が抑えられることにより保たれている。ところが、小質量星(太陽質量の2倍程度以下)が主系列を終える段階では、ヘリウム中心核の密度が高まり、電子が縮退した状態になる。この状態では星は電子の縮退圧で支えられるため、赤色巨星段階の水素殻燃焼によりヘリウム中心核が成長し、ヘリウム燃焼が始まって温度が上昇しても圧力が変化しないため膨張が起こらず、ヘリウム燃焼の暴走が起こる。これがヘリウムフラッシュである。この暴走は電子縮退が緩むほどに高温になるまで続き、その後は安定的なヘリウム燃焼の段階(水平分枝星またはクランプ星)に移行する。

2018年08月20日更新

関連画像

太陽と同じくらいの軽い質量の星のHR図上での進化路。横軸は対数表示の有効温度、縦軸は対数表示の太陽光度で規格化した光度。ヘリウムフラッシュは赤色巨星進化の最期に起こる。フラッシュ発生後コア内での電子の縮退が融け、星は急速に水平分枝へと移行する。この間の星はHR図上には現れない(点線)。括弧内の数字はそれぞれの進化段階での経過時間、単位は年。吉岡一男著『宇宙とその進化』第5章(分担執筆有本信雄)。放送大学印刷教材