ローマン宇宙望遠鏡
よみ方
ろーまんうちゅうぼうえんきょう
英 語
Nancy Roman Space Telescope
説 明
アメリカ航空宇宙局(NASA)が2027年に打ち上げを予定している次世代の広視野赤外線望遠鏡。2010年のディケイダルサーベイ(decadal survey)で大型衛星計画では第1位に位置づけられた。NASAは2020年5月に、NASAの初代主任天文学者であるナンシー・グレース・ローマン(Nancy Grace Roman: 1925-2018)を記念して、この望遠鏡をナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡(略称 ローマン宇宙望遠鏡)と名付けると発表した。それまでは、Wide Field Infrared Survey Telescopeの頭文字を取ってWFIRSTと略称されていた。
主鏡の口径はハッブル宇宙望遠鏡と同じ2.4 mであり、月軌道の外側で地球から月の裏側約150万kmの距離にあるラグランジュ点L2から可視光と近赤外線(波長0.48-2μm)で宇宙の広域サーベイ観測を行う。主要研究分野は、ダークエネルギーと太陽系外惑星であるが、観測時間の25%は公募観測に当てられる。
ダークエネルギーの研究では、バリオン音響振動測定、弱い重力レンズ効果測定、Ia型超新星、赤方偏移空間の歪みの観測から宇宙の加速膨張の歴史、構造形成史を調べ、その原因がダークエネルギーなのかそれとも一般相対性理論の修正が必要になるのかを明らかにする。太陽系外惑星は重力マイクロレンズ法と直接撮像法で検出する。
主力となる観測装置は広視野カメラ(Wide Field Instrument: WFI)で、焦点面にH4RG-10(4kx4k 画素, 10μm/画素の赤外線撮像素子)を18素子並べて、ハッブル宇宙望遠鏡とほぼ同じ分解能で約100倍広い0.28平方度の空をカバーする。グリズムによる低分散分光機能も有している。計画されている2000平方度の深い近赤外サーベイからは、赤方偏移zが8を超える宇宙初期の銀河が多数発見されると期待されている。もう一つの装置は、太陽系外惑星の直接観測に必須のステラーコロナグラフである。
日本グループは、ステラーコロナグラフ装置のコンポーネント提供、地上局支援、すばる望遠鏡および地上近赤外線マイクロレンズ探査専用望遠鏡による連携観測などを基にWFIRSTプロジェクトに参加を検討している。
ホームページ: https://www.nasa.gov/content/goddard/nancy-grace-roman-space-telescope
NASAのプレスリリース
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-telescope-named-for-mother-of-hubble-nancy-grace-roman
ローマン宇宙望遠鏡とその観測装置などを紹介する動画
https://www.youtube.com/embed/W805TLOhVVE?si=NqXosPZgSmK0IsuM”
2024年01月08日更新
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