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弱い重力レンズ効果

 

よみ方

よわいじゅうりょくれんずこうか

英 語

weak lensing effect

説 明

遠くの銀河から発せられた光が、途中で手前の銀河や銀河団のような強い重力場を通過するときに光路を曲げられ、銀河の形がゆがんだり増光したりして観測される現象を重力レンズという。そのうち、ゆがみや増光の程度が比較的小さなものを弱い重力レンズ効果という。また、重力レンズ効果の原因となる天体をレンズ天体という。多くの背景銀河の楕円率を測定し、場所ごとの平均値を調べることによって、楕円率のゆがみ(シアー)の2次元地図を作ることができ、そこからレンズ天体の質量分布やダークマターの広域分布などを推測することができる。宇宙論的歪みも参照。

2023年01月09日更新

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    弱い重力レンズ効果の説明図。以下のサイトにあるMichael Sachs氏作成の図を基に日本語説明を追加。
    https://en.wikipedia.org/wiki/Weak_gravitational_lensing
    銀河団SDSS J1050+0017 のすばる画像。矢印は強い重力レンズ効果をうけた銀河団背後の遠方銀河。弱い重力レンズ効果は画像を見ただけでは分からない。すばる望遠鏡ホームページより引用。(クレジット:国立天文台・ハワイ観測所)
    https://subarutelescope.org/jp/results/2012/01/19/860.html
    複数の銀河団に対する 強い重力レンズ効果と弱い重力レンズ効果双方の解析から得られた、銀河団内の平均的なダークマター分布。球状ではなく上下にゆがんでいるのが見て取れる。すばる望遠鏡ホームページより引用。(クレジット:国立天文台・ハワイ観測所)
    https://subarutelescope.org/jp/results/2012/01/19/860.html