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リービット

 

よみ方

りーびっと

英 語

Leavitt, Henrietta Swan

説 明

リービット(レビット)(Henrietta Swan Leavitt;1868-1921)はアメリカの女性天文学者。セファイド周期-光度関係を発見した。マサチューセッツ州ランカスターで牧師の長女として生まれ、1892年ラドクリフ大学を卒業、その後重い病気にかかり聴力に障害を残したが、ハーバード大学天文台ピッカリング台長の元で、大量の写真乾板を測定し結果を計算して整理する女性グループ(計算担当であったことからハーバードのコンピューターと呼ばれた)の無給助手として仕事を始めた。

1902年にはハーバード大学天文台の助手となり、ペルーのアレキパにあったハーバード大学の観測所(ボイデン天文台)で撮影された大小マゼラン雲の多数の写真乾板から変光星を探す仕事を与えられた。小マゼラン雲中の16個の変光星(セファイド)の周期を求め、明るい変光星は周期が長いことに気づき、1912年には25個の変光星を用いて、明るさとその周期の関係式を求めた。その後ヘルツシュプルングシャプレーは、この周期‐光度関係に注目し、銀河系天の川銀河)中のセファイドで等級目盛りを校正して、セファイドの絶対等級を求めることができるようにした。リービットの発見により、セファイドを見つければ周期-光度関係を利用して銀河系内の星団や近距離にある銀河の距離が決められるようになり、宇宙の大きさを測る宇宙論的な研究が進展した。

その後リービットは、のちに国際基準の等級の原点となる北極星周辺の96個の星の等級を詳しく調べたが、1921年に胃がんが見つかり死亡、53歳であった。生涯で2400個にのぼる変光星と4個の新星を発見している。

2025年01月26日更新

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    ヘンリエッタ・スワン・リービット(レビット)
    http://physics.weber.edu/carroll/honors-time/Cepheids.htm
    リービットが変光星探しのために印を書き込んだ大マゼラン雲の乾板(プレート番号B26816;1900年)印は乳剤が塗られていない裏側のガラス面に書いてある。
    縣秀彦著 岡村定矩監修『ビジュアル天文学史』(緑書房)
    (原図:Astronomical Photographic Glass Plate Collection, Harvard College Observatory)
    リービットが発見したセファイドの周期-光度関係。左図では横軸の周期(日)は線形目盛りだが、右図のように対数目盛にするときれいな相関関係が見える。縦軸は見かけの等級だが、これらのセファイドは同じ距離にあるので絶対等級にしてもグラフの見え方は変わらない。
    縣秀彦著 岡村定矩監修『ビジュアル天文学史』(緑書房)
    (原図 Leavitt H.S. and Pickering, E.C. 1912, Harvard College Observatory, Circular, 173, 1)