天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3300語以上収録。随時追加・更新中!専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

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エアリーパターン

円形開口による点像分布関数をエアリーパターンと呼び、その強度分布は、開口直径 D、波長 λ、角度 θ で定義される 変数 x=πDθ/λ に対して、第一種ベッセル関数 J1 を用いて

P(x)=[2J1(x)x]2

で表される。 このパターンは、エアリーディスクと呼ばれる明るい円盤の周りを同心円の明暗のリング(回折環)が取り巻いている。回折限界も参照。

公転周期より長い時間スケールで軌道の変化を引き起こす原因となる共鳴関係。一つの惑星が太陽の重力だけを受けて太陽の周りを公転している場合にはその楕円軌道は変化しないが、別の惑星も公転していると相互重力により軌道が変化する。公転周期より長い時間スケールでの軌道進化を考える場合、摂動を及ぼす側の惑星をその軌道上にばらまいてできるリングから受ける重力として考えることができる。この力により他方の惑星軌道の近日点経度は徐々に回転し離心率はゆっくりと振動する。昇交点経度の回転と軌道傾斜角の振動も起きる。これらは周期が数万年から数百万年という、公転周期に比べて非常に長いタイムスケールでの変化であり、永年摂動と呼ばれる。

永年摂動により軌道が変化する惑星系に小天体が置かれたとき、小天体の近日点経度と昇交点経度も変化する。小天体がある特定の軌道長半径を持つ場合、近日点経度あるいは昇降点経度の移動速度が惑星と小天体とで等しくなる場合がある。そのような関係にあると惑星からの重力作用が積み重なるため、小天体の離心率や軌道傾斜角が非常に大きくなり軌道不安定となりうる。このような共鳴関係のことを永年共鳴と呼ぶ。 太陽系の場合、近日点経度に関する永年共鳴では、ギリシャ文字 ν に、対応する惑星の番号(水星が1、海王星が8)の添字をつけて、たとえば土星との共鳴の場合は ν6 と表す。昇降点経度に関する共鳴は1と惑星の番号を用い、たとえば土星との共鳴の場合は ν16 と書く。永年共鳴は小惑星太陽系外縁天体の軌道進化に大きく影響を及ぼしたと考えられ、惑星形成過程にも影響を及ぼした可能性がある。軌道要素も参照。

摂動関数を展開したときに、永年摂動に寄与する項のこと。たとえば、低軌道を周回する人工衛星は大気の抵抗を受けて徐々に高度を下げていくが、この大気抵抗を与える摂動は永年項の成分を持つ。永年共鳴も参照。

偏光プリズムの一種。ウォラストンプリズムを参照。

積分型の検出器システムに固有の雑音(ノイズ)。積分型の検出器では、光子によって生成された電荷をコンデンサに蓄積し、その 蓄積前後の電圧変化を測定するが、電圧を読み出す際に検出器や電子回路に由来する電気的な雑音が避けられない。これを読み出し雑音といい、一般的には、雑音の大きさを電子数に換算した値を用いる。 読み出し雑音以外にも多くの種類の雑音があり、天体検出の信号対雑音比(S/N比) を決める雑音はすべての雑音を合わせたものとなる。 背景光や天体からの光子による電荷に対しては、入射光子数の平方根に相当するゆらぎが雑音となる(ショット雑音)。入射光子数が少ない高分散の分光観測や積分時間の短い観測の場合には、理論的に避けられないショット雑音に比べて読み出し雑音が無視できなくなることがある。このような場合には、読み出し雑音をできるだけ小さくする工夫が必要である。X線イメージインテンシファイア、フラットパネル検出器、X線テレビカメラ(サチコンなど)、イメージングプレートなどが代表的な積分型検出器である。雑音も参照。

摂動永年共鳴を参照。

遠くの銀河から発せられた光が、途中で手前の銀河や銀河団のような強い重力場を通過するときに光路を曲げられ、銀河の形がゆがんだり増光したりして観測される現象を重力レンズという。そのうち、ゆがみや増光の程度が比較的小さなものを弱い重力レンズ効果という。また、重力レンズ効果の原因となる天体をレンズ天体という。多くの背景銀河の楕円率を測定し、場所ごとの平均値を調べることによって、楕円率のゆがみ(シアー)の2次元地図を作ることができ、そこからレンズ天体の質量分布やダークマターの広域分布などを推測することができる。宇宙論的歪みも参照。

二つの物体間の角度、特に船上で水平線からの天体の高度を測定するためによく用いられる計器。望遠鏡と反射鏡を組み合わせて使うことで、天体と水平線を同一視野内で見られるようにし、視野内での両者の上下方向の位置が一致して見えるときの目盛りから天体の高度がわかる仕組みとなっている。目盛り環が60度(360度の六分の一)であるところからこの名前がついた。反射鏡を利用しているために、60×2=120 度までの角度を測ることができる。もともとは、1731年にイギリスのハドリー(J. Hadley)が目盛り環が45度の八分儀を発明したが、経度を測るために90度以上の角度を測る必要から六分儀の方が普及した。四分儀もある。
以下に六分儀の原理が理解しやすい解説図がある。
https://en.wikipedia.org/wiki/Sextant#/media/File:Using_sextant_swing.gif

1958年にエイベル(G.O. Abell)が発表した銀河団のカタログ。パロマー天文台シュミット望遠鏡で撮られた 879 枚の写真乾板を眼視検査して見つかった2712 個の銀河団が掲載されている。このカタログは、1968年にツビッキー(F. Zwicky)が発表したカタログとともに、銀河団の研究の基礎データとして長く用いられた。
1989年には、もとのカタログに南天の 1364 個の銀河団を追加した、合計 4076 個の銀河団のカタログが、エイベルと2人の共同研究者によって発表されている。この新しいカタログは3人の頭文字をとって ACOカタログと呼ばれている。

宇宙マイクロ波背景放射を参照。

移流優勢流を参照。

一般に空間(時空)の近傍の2点間の距離の2乗が、2点間の座標の2次形式で表されるとき、その空間(時空)をリーマン空間(時空)と呼ぶ。座標の2次形式の係数をメトリックテンソルと呼び、2階の対称テンソルである。リーマン空間(時空)における空間(時空)の曲がりは、メトリックテンソルとその1階と2階の偏微分からつくられる4階のテンソルで表され、これをリーマンテンソルという。4次元のリーマンテンソルは256個の成分をもつが、添え字の対称性から独立な成分は20個だけである。そのうちの10個はリーマンテンソルを縮約して得られる2階のリッチテンソルが決めるが、残りの10個を決めるのが4階のワイルテンソルである。
一般相対性理論においては時空の曲がりを決めるアインシュタイン方程式は、リッチテンソルを用いて書くことができ、物質の分布を表す2階のストレス-エネルギーテンソルが境界条件(あるいは初期条件)を除いてリッチテンソルを決めるという構造になっている。したがって物質がない場合、リッチテンソルはゼロであるが、リーマンテンソルのすべての成分がゼロというわけではないので、時空は平坦であるとは限らない。ブラックホール重力波は物質がなくても時空が曲がっている例である。

適合格子細分化法を参照。

中性水素(HI)原子ガスが欠乏した渦巻銀河のこと。銀河団の中心に近い渦巻銀河ぼどHIガスが欠乏していることが確認されている。銀河団に渦巻銀河が落下してきた場合、銀河団ガスからの動圧によって銀河ガスのはぎ取りがおこるため、このような現象がみられると考えられている。これらはやがて貧血銀河を経てレンズ状銀河に進化すると考えられる。環境効果(銀河の)も参照。

現在の日本の人工衛星の打ち上げに用いられる主力大型ロケットで、日本初の純国産H-IIロケットの改良型。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した。1段目と2段目ともに液体燃料ロケットエンジン(LE-7A、 LE-5B)を用いており、搭載するペイロード(人工衛星や探査機などの打ち上げ目的部分)の質量に応じて、固体ロケットブースタ(SRB-A)や固体補助ロケット(SSB)を追加する。静止トランスファ軌道(静止軌道への準備軌道)への打ち上げ能力は3.8-6.0t。フェアリング(先端のカバー)を含んだ本体(ブースターなどを除く)の直径は4m、全高は53mである。13号機から打ち上げは三菱重工業が行っている。天文関係の近年の打ち上げとしてでは、小惑星探査機はやぶさ2探査機(26号機)、X線天文衛星ASTRO-Hひとみ(30号機)などが利用し、赤外線天文衛星SPICAなどが利用を予定している。M-Vロケットも参照。
ホームページ:http://www.jaxa.jp/projects/rockets/h2a/

三体問題を参照。

すばる望遠鏡に搭載された、エシェル分光器のこと。High Dispersion Spectrographの頭文字をとって命名された。製作メーカーはニコン。装置全体の大きさは6 m x 6 m x 3 m、重量は約6 tであり、すばる望遠鏡搭載観測装置の中で最大である。最大の波長分解能はR=16000、入射光子の観測効率はシステム全体(望遠鏡、分光器光学系、検出器)を通して最大13%(500-600 nmの波長帯)である。

HDSは大型で高精度の高分散分光を行うため、望遠鏡が動いても装置にかかる重力方向の変わらないナスミス焦点に設置されている。気温変化による分光器構造物の熱伸縮を避けるために、装置全体が温度制御された小部屋の中に入れられている。高分散分光能力を生かして、古い星や近傍銀河の星、あるいはクェーサー などに見られる吸収線を詳しく観測して、宇宙の元素合成銀河銀河間物質の進化の研究に成果を挙げている。

ヘンリードレーパー星表を参照。

ハーバード分類で表面温度の系列に属し、F型星よりも低温の星。表面温度は~6,000(K)。質量は太陽とほぼ同じ。水素のバルマー線は弱い。主な吸収線はカルシウムH、K線(CaII)、中性鉄線(FeI)、CH分子。例、太陽G2。

スペクトル型(星の)を参照。

ビーム半値幅を参照。