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ビリアル質量

 

よみ方

びりあるしつりょう

英 語

virial mass

説 明

ビリアル定理を基にして、天体の運動エネルギーから求められる質量のこと。ビリアル定理によれば有限の空間内を運動する多粒子系が(熱)力学平衡状態にあるとき、そのポテンシャルエネルギーは運動エネルギーの2倍となる。運動エネルギーはたとえば球状星団楕円銀河では速度分散から、渦巻銀河では円盤の回転速度から求められる。それらの天体の大きさ(半径)がわかれば、ビリアル定理の式を天体の質量について解くことができる。こうして求まる質量がビリアル質量である。恒星系の場合には、力学質量あるいは重力質量とも呼ばれる。ビリアル平衡も参照。
分子雲の場合には、分子輝線のドップラー速度幅か分子輝線のドップラー幅\Delta vと、発光体(分子雲)の半径Rから見積もられる質量。具体的には\alpha \Delta v ^2 R / Gと表記される。ここで\alphaは形状を考慮した1程度の無次元数(現代の天文学第6巻8章では 0.9)。ビリアル定理によると、力学的平衡にある発光体では、発光体の内部運動のエネルギーや磁気エネルギーの和は、重力エネルギーの半分と等しい。従ってビリアル質量は、発光体を重力的に束縛するために必要な質量を表す。これに対して分子輝線の光度から見積もられる質量を、光学質量(luminous mass) と呼ぶ。

2018年03月06日更新

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