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原始星

高

よみ方

げんしせい

英 語

protostar

説 明

生まれた直後の星のこと。
分子雲コアの中で進む星生成過程において、自己重力により収縮する中心では、高密度部分の圧力が最終的には大きくなり、収縮が止まって準静的な構造を持つ天体が発生する。この天体のことを原始星もしくは原始星コアと呼ぶ。その後は、周りのガスが原始星コアに降り積もることで、原始星コアの質量は増加する。原始星コアとそこに降り積もるガスを含めたものを原始星と呼ぶ場合もある。標準的な星生成理論によると、準静水圧平衡の天体は2種類存在し、それぞれ第一のコア第二のコアと呼ばれるが、観測的に通常議論される原始星に対応するのは第二のコアのことである。
生成された直後の星である原始星は濃いガスとダストに覆われていて、主に赤外線電波で観測される。多くの場合、高速分子流と呼ばれる高速のガスを噴出していることが観測されているが、これは電磁流体力学的に駆動されたガスの流れだと考えられている。原始星はその後、Tタウリ型星を経て主系列星へと進化して、太陽のような普通の星になる。主系列星では、中心温度が十分高くなって水素の核融合反応が起こっているが、原始星やTタウリ型星ではまだ水素の核融合反応は始まっていない。原始星やTタウリ型星が輝くためのエネルギー源は重力収縮に伴う重力エネルギーの解放である。

2019年09月30日更新

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    * 分子雲からTタウリ型星までの進化の様子。
    大西利和「分子雲から分子雲コアへ」、シリーズ現代の天文学第6巻、福井・犬塚・大西・中井・舞原・水野編『星間物質と星形成』9.1節 図9.1(日本評論社)