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分子雲コア

高

よみ方

ぶんしうんこあ

英 語

molecular cloud core

説 明

星間分子雲中で密度が高い領域を指す言葉。主要な成分である水素が主に水素分子状態(H2ガス)で存在している星間分子雲の温度は絶対温度 10 K 程度であるため、水素分子成分を輝線で観測することは困難である。そのため、比較的多数存在している一酸化炭素(CO)分子の電波領域の回転遷移輝線などで主に観測される。分子雲コアはその電波輝線強度の高い領域に対応している。十分に密度が高い領域では、ガス中に存在している星間ダストが熱的に放射する連続波電波も観測される。分子雲コアの中心では星が生成されると考えられている。第一のコアも参照。

2023年04月27日更新

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    * 一酸化炭素同位体の輝線によるおうし座分子雲の電波地図、上図は13CO(J=1-0)輝線によるもの。分子雲が紐状になっていることがわかる。下図は18CO(J=1-0)輝線で見た電波地図で、密度の高い分子雲コアの分布を示している。赤丸は可視光で見ることができない若い原始星、白丸は可視光で見ることができるTタウリ星。
    大西利和「分子雲から分子雲コアへ」、シリーズ現代の天文学第6巻、福井・犬塚・大西・中井・舞原・水野編『星間物質と星形成』9.1節 口絵6(図9.2)(日本評論社)
    分子雲からTタウリ型星までの進化の様子。
    大西利和「分子雲から分子雲コアへ」、シリーズ現代の天文学第6巻、福井・犬塚・大西・中井・舞原・水野編『星間物質と星形成』9.1節 図9.1(日本評論社)