天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3300語以上収録。随時追加・更新中!専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

New

レーマー

 

よみ方

れーまー

英 語

Roemer, Ole Christensen

説 明

レーマー(Ole Christensen Rømer [Römer または Romer とも];1644-1710)はデンマークの天文学者。しばしばレーメルとも表記される。木星衛星の食現象の観測から、光速度に関する定量的な数値を歴史上初めて求めた。

オーフスの商人の子として生まれ、コペンハーゲン大学に学ぶ。1671年、パリ天文台からジャン・ピカール(J. Picard)が、ブラーエ(Tycho Brahe)の天文台跡地の経度を決定するための、木星の衛星の食の観測に協力したことが縁でパリに赴き,パリ天文台長カッシーニ(G. Cassini)のプロジェクトだった木星衛星の食の観測と研究に加わった。地球の公転運動によって、地球が木星に近づく際には衛星イオの食の間の時間が短くなり、遠ざかる際には長くなることに気づき、これは光の速度が有限なためと解釈、光の速度を求めた。1676年にレーマーの得た光速は約21.3万 km/s で、実際の光速より3割ほど遅い値だが、その具体的な速さを求めて光の速さが有限であるとしたことは画期的であろう。しかし、当時は光速は無限であるという考えが支配的であったため、1728年のブラッドレー光行差の発見まで、広く受け入れられることはなかった。

1681年にデンマークに戻り、コペンハーゲン大学の天文学教授となった。1683年には王立数学者として、デンマークで最初の国家的な度量衡システムを導入している。また、水の沸点と雪の融点を2定点に採用した温度計を考案したが、これはG.D.ファーレンハイトに直接受け継がれ、現在の華氏温度となっている。

2024年10月17日更新

この用語の改善に向けてご意見をお寄せください。

受信確認メール以外、個別のお返事は原則いたしませんのでご了解ください。

    関連画像

    画像をクリックすると拡大されます

    ヤコブ・コニングによる肖像画(1700年頃)
    https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Rømer,_Ole_(ur_Berømte_danske_maend).jpg