天文学辞典 | 天文、宇宙、天体に関する用語を3000語以上収録。専門家がわかりやすく解説します。

New

海部宣男

高

よみ方

かいふ のりお

英 語

KAIFU Norio

説 明

日本の天文学者(1943-2019)。新潟県生まれ。1968年、東京大学大学院理学系研究科修士課程修了、同大学助手、助教授を経て、1988年、国立天文台教授。1972年、「銀河中心領域の構造および活動性」で理学博士を取得。大学院生時代から野辺山宇宙電波観測所45 mミリ波電波望遠鏡の設計・建設に参加し、赤羽賢司、森本雅樹らとともに中心的な役割を果たした。また、当時の世界水準を大きく凌駕する大型の音響光学型電波分光計を開発し、宇宙電波分光学の発展をもたらした。1990年からすばる望遠鏡建設に参画、1997年には国立天文台ハワイ観測所初代所長に就任し、すばる望遠鏡建設の指揮を取った。

研究面では、45 mミリ波電波望遠鏡を用いて星間分子の探索や星形成の研究を行った。その業績により、仁科記念賞(森本雅樹と共同受賞)「ミリ波天文学の開拓」(1987年)、日本学士院賞「星間物質の研究」(1998年)を受賞した。

2000年からは国立天文台長としてVERAやALMAの建設を推進したほか、大学共同利用機関の法人化に取り組んだ。また、東アジア地域天文学の共同研究を発展させるために東アジア中核天文台連合(EACOA)を立ち上げ、東アジア天文台(EAO)設立への道筋をつけた。2005年から2011年には日本学術会議会員(第三部長)として、ボトムアップ型の「大型施設計画・大規模研究計画マスタープラン」を策定する枠組みを確立した。2012年から2015年には、日本人としては古在由秀に続いて2人目となる国際天文学連合(IAU)会長を務め、国際普及室(OAO)の設置を始めとするIAUの組織や制度の改革を行った。2018年には日本天文学会への功労に対し名誉会員の称号が授与された。

一般向けの書物を多数著したほか、野辺山宇宙電波観測所設立当時から研究成果のアウトリーチ活動や科学者の社会的責任を問いかける活動にも積極的に取り組んだ。また、新聞社の書評委員を務めるほか、和歌や俳句にも造詣が深かった。

天文月報追悼記事
http://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/2019_112_08/112-8_564.pdf

2021年10月03日更新

関連画像

海部宣男氏 IAUホノルル総会(2015年)
(IAU提供)