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はくちょう座X-1

 

よみ方

はくちょうざえっくす1

英 語

Cygnus X-1

説 明

はじめて発見された、確実な恒星質量ブラックホールを含むX線連星系として有名なX線源。地球からの距離は約1900 pcと推定されている。変光星でもあり、はくちょう座V1357星(V1357 Cyg)という名前もある。X線放射は不規則な時間変動を示すことが知られている。また、VLBI観測によりジェットが噴き出していることが分かっており、マイクロクェーサーにも分類される。
青色超巨星と、太陽質量の20倍程度の質量をもつブラックホールが、周期約5.6日で共通重心の周りを回っていると考えられている。超巨星からブラックホールに物質が強い重力で引き寄せられて降着円盤がつくられ、高温に熱せられてX線を放射し、円盤に垂直方向にはジェットが噴き出していると解釈されている。ブラックホールは毎秒800回転という高速で回転している。
ブラックホール連星X線連星も参照。

2022年07月06日更新

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    はくちょう座X-1(Cyg X-1)の想像図。右側の大質量の青色超巨星(HDE 226868)から物質がブラックホールの重力に引かれて流れ込み、降着円盤をつくっている。降着円盤と垂直方向にはジェットが噴き出している。
    https://chandra.harvard.edu/photo/2011/cygx1/