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高速電波バースト

 

よみ方

こうそくでんぱばーすと

英 語

fast radio burst

説 明

電波(110 MHzから8 GHz)で観測される、継続時間が数ミリ秒ないしそれ以下の強力な(約10 mJy-100 Jyの)電磁波パルス。英語(Fast Radio Burst)の頭文字を取ってFRBと呼ばれることも多い。個々のバーストはFRB YYMMDD、最近ではFRB YYYYMMDDXのように、FRBの後に年月日とアルファベットをつけて識別される。
最初の現象は2007年に電波パルサーを探査していたローリマー(D. R. Lorimer)達によって発見されたが(ロ-リマーバースト: FRB 010724)その正体は不明だった。パークス天文台の電波望遠鏡で高時間分解能電波サーベイを行っていたソーントン(D. Thornton)達が、2013年にローリマーバーストと同じ種類のバーストを4個発見し、全天で頻繁に観測される高エネルギー天体現象であることを示唆して Fast Radio Burst と名付けた。これをきっかけに世界の多くの電波望遠鏡を使ったサーベイが行われ、2021年時点で700個以上の高速電波バーストが見つかっている。このうち約20個はバーストを繰り返すことが知られている。また、約10個ほどの母銀河が同定された。
高速電波バーストのパルスは、発生源から地球に届くまでの間にある銀河間物質星間物質中の電離ガスの影響で、周波数が低いほど遅れて到着する。その量は分散量度として測定される。したがって、高速電波バーストの分散量度は、発生源の距離を推定する手段でもあり、銀河間物質や星間物質の性質を調べる宇宙論の手段ともなる。これまでに見つかった高速電波バーストはほとんどが銀河系天の川銀河)の外から来たものと考えられている。
2020年に銀河系で起こったマグネターのバーストから高速電波バーストが検出され、発生源の一つはマグネターであることが確定した。ただし、銀河系外の高速電波バーストの正体はまだ分かっていない。

2022年03月16日更新

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    パークス天文台の電波望遠鏡で発見された最初の28個のFRB。縦軸は電波強度で横軸は時間(幅2秒)。左上の数字がFRBの名称、右上の数字は分散量度(単位はpc/cm^3)。
    Petrof, E. et al. 2019, The Astronomy and Astrophysics Review, 27, 4
    いくつかのFRBのパルス形状(上)とダイナミックスペクトル(下)。縦軸は上図は電波強度で下図は周波数、横軸はいずれも時間。
    Petrof, E. et al. 2019, The Astronomy and Astrophysics Review, 27, 4