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光度距離

 

よみ方

こうどきょり

英 語

luminosity distance

説 明

見かけの光度に基づいて遠方天体の距離を表す量。 宇宙膨張や空間の曲率の効果が無視できないほど遠方では光度距離と角径距離という2つの異なる距離を使い分ける必要が出てくる。光度距離 $d_{\rm L}$は、$d_{\rm L}^2=L/4\pi{f}$ によって定義される。 ここで、$L$ は絶対光度、$f$ は観測されるフラックス(放射エネルギー流束)である。 天体までの座標距離を $r$ とすると、$d_{\rm L}=a_0\,r\,(1+z)$ で与えられる。ここで、 $z$ はその天体の赤方偏移$a_0$宇宙のスケール因子の現在の値である。 角径距離 $d_{\rm A}$ との間には、$d_{\rm L} =(1 + z)^2d_{\rm A}$ の関係がある。
膨張宇宙で遠方の天体までの距離を測る場合、光が届く間にも宇宙は膨張していることに注意が必要である。光度距離と赤方偏移の対応については有用な諸データの表9を参照。
表9 https://astro-dic.jp/redshift-age-distance/

2023年09月21日更新

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    * 赤方偏移と距離(左)および時間(右)の関係。右図の宇宙年齢の線は、その赤方偏移の天体が宇宙年齢がどの値のときの姿を見せているかを示している。
    梅村雅之「宇宙進化と赤方偏移」、シリーズ現代の天文学第4巻、谷口・岡村・祖父江編『銀河I』第2版 5.1節図5.2 (右)と図5.3(左)(日本評論社)