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ロシター-マクローリン効果

 

よみ方

ろしたーまくろーりんこうか

英 語

Rossiter- McLaughlin effect

説 明

太陽系外惑星のトランジット(トランジット法参照)中に、中心の恒星スペクトル線の波長が時間と共に偏移する効果。ロシター効果と呼ばれることもある。
自転している恒星を見ると、恒星面の半分は近づき、半分は遠ざかるので、ドップラー効果により近づく側から出た光は青方偏移、遠ざかる側から出た光は赤方偏移して観測される。一般に恒星表面を分割して観測することはできないので、この効果により恒星のスペクトル中の輝線や吸収線に幅がつく。
太陽系外惑星のドップラー法の観測において、トランジット時(トランジット法を参照)には惑星が恒星の一部を掩蔽するため、その部分の恒星の自転の効果がスペクトル線のドップラー偏移に現れる。すなわち青方偏移した側が隠されていると全体の平均としては偏移が赤い方にずれ、赤方偏移した側が隠されると平均の偏移は青い方にずれる。
中心星が太陽型星の場合の偏移のずれは、木星型惑星のサイズでは20 m/s程度、地球型惑星のサイズでは0.2 m/s程度となる。従って、巨大惑星のロシター-マクローリン効果を検出することは比較的容易である。太陽系外惑星で最初にこの効果が検出されたのは、ケロー(Didier Queloz)らによる2000年のHD209458bの観測である。この効果を用いて、逆行惑星や軌道面が傾いた太陽系外惑星が発見された。100個を超える太陽系外惑星のスピン(自転)-軌道間角度が報告されている。

 

2022年01月23日更新

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    ロシター-マクローリン効果の概念図。順行の場合(上の図)、トランジットの前半は中心の恒星の青方偏移した光が一部隠されるので、スペクトル線のドップラー偏移の平均は赤い方(視線速度がプラス側)にずれ、後半は逆になって青い方(視線速度がマイナス側)にずれる。逆行の場合(下の図)はその逆に、トランジットの前半で青い方にずれ、後半で赤い方にずれる。
    https://web.astro.princeton.edu/sites/astro/files/styles/pwds_slideshow_image/public/galleries/orbits.png?itok=2PsubGJe
    をもとに作成。