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国際天文準拠系

 

よみ方

こくさいてんもんじゅんきょけい

英 語

International Celestial Reference System(ICRS)

説 明

国際天文準拠系(International Celestial Reference System; ICRS)は、歳差章動理論依存から脱却すべく考案された天球座標系の概念である。太陽系重心を原点とし、遠方の天体に対して回転しない座標系(慣性系)で、元期J2000.0においてこれまでの理論による赤道座標系およびFK5カタログとその誤差の範囲で一致するように定められた。1997年の国際天文学連合(IAU)総会で採択、1998年より採用されている。

ICRSという概念を当初具現化したのは電波観測に基づくICRF(International Celestial Reference Frame)であった。これは地上からの超長基線電波干渉計(VLBI)観測によって得られた、銀河系天の川銀河)の外にある電波天体(クェーサーなどの活動銀河核)の位置を基準とした座標系であった。ICRFは国際地球回転・基準系事業(IERS)によって維持されており、観測の進歩に伴い2010年にICRF2、2019年にICRF3が採用された。

電波ではなく光学(可視光)観測によってICRSの実現に貢献した座標系は当初ヒッパルコス天球座標系(HIPPARCOS Celestial Reference Frame; HCRF)であった。この構築にはヒッパルコス衛星によるヒッパルコスカタログから多重星を除いたデータが用いられた。その後、より高精度のガイア衛星のデータが利用できるようになり、2022年からはGaia-CRF3が採用されている。

国際天文準拠系(ICRS)に関するIAU第31回総会決議B3(2021年)
https://drive.google.com/file/d/1a-gZ8NZQtGpKart-UOSa3WgnxVp4ls_3/view

2025年10月06日更新

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