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激変星

 

よみ方

げきへんせい

英 語

cataclysmic variable(star)

説 明

白色矮星ロッシュローブを満たす晩期型主系列星からなる近接連星系の総称。大きな変光現象を伴う。連星間距離は太陽半径程度、軌道周期は1~10数時間。白色矮星表面で降り積もったガスが起こす水素の熱核暴走反応による新星降着円盤の物理状態の変化により大きな光度変化を起こす矮新星などがある。矮新星では、晩期型星表面から流れ込むガスが白色矮星の周りで降着円盤を形成し、やがて主星に落ち込んでいくが、白色矮星の磁場が強くて降着円盤の形成が妨げられる場合があり、強磁場激変星と呼ばれる。

伴星から流入するガスが降着円盤にぶつかる点は明るく輝き、ホットスポットと呼ばれる。ホットスポットは軌道位相によって見え方が変わり、系全体の明るさが変化するので、軌道周期を求めるのに利用される。

降着円盤は原始惑星系、X線連星、活動銀河核など、様々なスケールの天体現象で活動性の源となっている。再帰新星も参照。

2019年09月19日更新

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    赤い恒星(左)のガスが白色矮星(右)に流れ込み降着円盤を形成している様子(想像図)。(クレジット:NASA)http://www.nasa.gov/images/content/62486main_Making_a_Nova.jpg
    代表的な矮新星はくちょう座 SS(SS Cyg )の光度曲線。縦軸は実視等級で、 横軸はユリウス日。 4 等程度の増光を数十日程度の時間尺度で繰り返している。理科年表オフィシャルサイト「激変星とは何か」より引用。
    https://www.rikanenpyo.jp/kaisetsu/tenmon/tenmon_029.html