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アレシボ天文台

 

よみ方

あれしぼてんもんだい

英 語

Arecibo Observatory

説 明

米国の自治領であるプエルトリコのアレシボにある米国立天文電離層センター(NAIC)の電波天文台。コーネル大学とアメリカ空軍研究所の研究者らが中心となり、アメリカ国防高等研究計画局が資金を出して建設、1963年に完成した口径305mの固定電波望遠鏡が主力装置。初期はコーネル大学が運営の中心だったが、近年は米国科学財団(NSF)、セントラルフロリダ大学などが運用している。
地表に固定された直径305 mの球面鏡を主鏡とする電波望遠鏡は、一時期に受信に利用できる開口は直径270 mである。観測波長は約3 cmから1 mである。天頂方向付近しか観測できないが、副鏡の向きを変えることによって天頂から20度弱の範囲内にある天体は観測可能で、地球の自転を合わせるとかなりの範囲を観測することができる。パルサーや地球電離層の観測的研究で複数の重要な成果を挙げている。また、送信機を備えており、レーダーとして使用することで、太陽系惑星に関する研究でも成果を挙げている。特に、地球外文明探査(SETI)で用いられたことでも有名で、1974年には8キロパーセク(8 kpc=2.5万光年)離れた球状星団M13に向けて地球文明に関するメッセージ(アレシボメッセージ)を電波信号として送っている。
2020年12月1日朝(現地時間)に、140 mの高さにある受信プラットフォームを支える3本の鉄塔がすべて壊れ、重量約900トンの受信プラットフォームがワイヤケーブルと共に落下し、地上の主鏡に壊滅的な損害を与えた。この望遠鏡では8月と11月にもケーブルが切れて落下する事故があり、全米科学財団(NSF)は11月19日に電波望遠鏡を廃止して解体することを発表していた。1963年の完成以来、2016年に中国の500メートル球面電波望遠鏡(FAST)が完成するまで、固定型ではあるが単体としては世界最大の電波望遠鏡であった。
ホームページ:http://www.naic.edu/ao/landing

アレシボ天文台の305 m電波望遠鏡が崩れ落ちる映像

https://youtu.be/embed/ssHkMWcGat4

2020年12月06日更新

関連画像

アレシボ天文台の全景
出典: http://www.naic.edu/ao/photos
2020年11月のケーブル落下事故後の写真。
出典 セントラルフロリダ大学
https://www.ucf.edu/news/arecibo-observatory-telescope-to-be-decommissioned-after-second-cable-break/
2020年12月1日の受信プラットフォーム落下事故後の写真。
https://www.sciencealert.com/the-arecibo-telescope-platform-has-collapsed
Credit: Ricardo Arduengo/AFP