ベラルービン天文台
よみ方
べらるーびんてんもんだい
英 語
Vera C. Rubin Observatory
説 明
チリのセロ・パチョンでサーベイ観測専用のシモニー・サーベイ望遠鏡を運用する天文台。渦巻銀河の平坦な回転曲線の観測からダークマターが存在することを実証した女性天文学者ベラ・ルービン(Vera C. Rubin)にちなんで2020年に命名された。単にルービン天文台と呼ばれることが多い。正式名称は NSF-DOE Vera C. Rubin Observatory である。
当初大型シノプティック・サーベイ望遠鏡 (Large Synoptic Survey Telescope: LSST)計画と呼ばれていたルービン天文台計画は、1990年代中頃にアメリカのアントニー・タイソン(Anthony Tyson)とロジャー・エンジェル(Roger Angel)らによって「ダークマターテレスコープ」として構想された。2001年の decadal survey で取り上げられさまざまな予算で開発が進められてきた。2010年のdecadal survey で地上望遠鏡としては優先順位第1位となり、2014年にアメリカ国立科学財団(NSF)から完成に必要な予算が措置された。NSFの予算とLSSTコーポレーションが得た個人や財団からの寄付を基に、全米天文学大学連合(AURA)がLSSTの建設を統括した。観測サイトと望遠鏡の製作はアメリカ国立光学天文台(現在はアメリカ国立光学赤外線天文学研究所: NOIRLab)が行った。データセンターの構築は米国立スーパーコンピュータ応用研究所が行ったが、2022年頃からSLAC国立加速器研究所に移行した。カメラは別途米国エネルギー省(DOE)の予算で、SLAC国立加速器研究所が製作した。2020年に天文台がベラ・ルービン天文台と命名されたのと同時に、LSSTという望遠鏡名称も、初期に多額の寄付をしたチャールズ・シモニー(Charles Simonyi )に因んでシモニー・サーベイ望遠鏡となった。
シモニー・サーベイ望遠鏡は口径8.4 m(有効口径は6.49 m)の広視野光学赤外線望遠鏡で、9.6平方度(満月45個分)という超広視野を 3.2 ギガピクセル(32億画素)のLSST Cameraでカバーする。このカメラは紫外線から近赤外線まで(波長320-1050 nm)をカバーする u,g,r,i,z,y の 6枚のフィルターを有し、イメージスケールは 0.2"/pixel である。天文台から見える南天の約18,000平方度(全天の約40%)のサーベイを数夜で完了する。一夜の観測で得られるデータは10 TB(テラバイト)に達する。ルービン天文台はこのサーベイを繰り返して10年間継続する時空間レガシーサーベイ(Legacy Survey of Space and Time: LSST)を目的として建設されたものである。2025年4月15日にファーストライトを成功させ6月23日に初期画像を公開した。そして構想以来約30年を経た2026年6月29日に、かつて例を見ない大規模なサーベイ観測を開始した。
ルービン天文台による膨大なデータは天文学のあらゆるテーマに画期的なインパクトを与えると考えられているが、主要なテーマとしてホームページに書かれているのは以下のものである。
ダークマターの性質(The Nature of Dark Matter)
太陽系天体のカタログ化(Cataloging the Solar System)
変動する空の探査(Exploring the Changing Sky)
天の川銀河(銀河系)の構造と誕生(Milky Way Structure & Formation)
ホームページ https://rubinobservatory.org/
画像閲覧用スカイビューワー https://skyviewer.app/
ベラ・ルービン天文台の紹介動画(英語)。完成約2年前の2023年4月20日撮影。サーベイ計画の概要を'New Scientist'のレポーターが解説している。
この動画は1100枚の画像を元に作られた。2つの銀河のクローズアップからはじまり、約1000万個の銀河へとズームアウトする。これらの銀河はルービン天文台の10年間の時空間レガシーサーベイで撮影される200億個の銀河の0.05%にすぎない。シモニー・サーベイ望遠鏡が視野の広さと分解能の高さをともに実現していることがよくわかる。
Credit: NSF-DOE Vera C. Rubin Observatory
ルービン天文台が公開した最初の画像のうち、おとめ座銀河団と三裂星雲+干潟星雲画像を動画で示したもの。シモニー・サーベイ望遠鏡が視野の広さと分解能の高さをともに実現していることがよくわかる。
Credit: RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA | edited by Space.com's [Steve Spaleta]
2026年07月03日更新
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